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猫は七度死ぬ  作者: ぶらっく3だ
2章 楽園編
19/24

19 野心

必殺技、炸裂!?

 貧富の差が発生したのは有史以来、小麦、米、トウモロコシなどの穀物を栽培し貯蔵することにより富の蓄積が始まり、土地の争奪による争いから職業としての戦士がその力故に支配階級となることが多くなっていった。

 同じ頃、穀物貯蔵庫を荒らすネズミを狙う猫たちが人間と共に暮らすようになった。これは狩猟時代から人間に飼い慣らされた犬たちよりもずっと後だったため猫の方が野性味をより濃く残している。


 昔暗黒大陸と呼ばれたアフリカ大陸の姿も今は無く、いくつかの箱舟が浮かぶばかりである。戦争によるセーフティーネットであったギリシャ時代の奴隷制よりも単純な労働力だけが求められた黒人奴隷がより過酷な運命を強いられたのは時代の必然であったのか。

(くっ、こ、こんな温い世界がまだあるのか?ゆ、許せぬ・・・・・・

 妬ましい。ああ、いつの日か我もあの世界で復活を・・・・・・)



『いいですか、一度しか見せませんからね』

「お、おう」

 ロボ婦警の前の岩が微妙に振動したかと思うと、粉々に崩れていった。

『これが、共鳴破壊レゾナンス・クラッシュです。物質の固有振動数を見切ってその振動数に極めて近づけた振動を与え、破壊する技です。キモは、固有振動数の見切です!』

「し、師匠。もう少し、簡単な技をお願いします」

『・・・・・・ 仕方ないですね。では、これを』

 ロボ婦警が何気なく振るった手刀が振り切る直前、数メートル離れた岩礁が真っ二つに切れて倒壊した。

  「あのう、さっきより難易度上がったんですが」

『・・・・・・ ふう、今日は止めにしましょう。あなたの凄さに、驚嘆を覚えませんわ』

「師匠、俺に惚れると火傷するぜ」

『・・・・・・ 本当に、そのダイヤモンドのメンタルだけは素晴らしいですわね』

 


 深夜の海、二人の男女が密会しているシーンに遭遇して東条斎酒のテンションはダダ下がりであった。

「もう、ネコったら優しすぎなのよ。貴男は ・・・・・・」


 サンゴ礁の外縁部で、優美な女性が気合一声、大波を切り裂く。

 効果に満足できないのか首を振って俯く。


『苦労しているようだね』

『はい、才能の無い人間に教えるのはとても忍耐が要りますのね。私の技を伝授するのも上手くいかなくって』

 平べったい浮き輪に乗った三毛猫の問いに、ロボ婦警が心労を吐露する。

『ああ、ロボ警部から聞いたよ。君が悩んでいるって、だから僕が来たんだよ』


 月に照らされた浜で、三毛猫の眼から光が放たれ、様々な映像が映し出されていく。それを熱心に見ていたロボ婦警は感嘆の声を漏らす。

『ネコ様の技は、どれも芸術品のように美しいですわ・・・・・・

 「にゃんだーキック」、なんてあざとく危険な技なの!?私ですら危うくあの誘い受けに引き込まれてしまいそう』

『ここまで見せておいて身も蓋も無いことを言うけど、そもそも通常男性の筋力なんて二百キログラムの重りを持ち上げるとか、瞬間的に二トンの衝撃力を発生させるのが精々だよ。それも筋肉の断裂や骨折などの負傷を負う覚悟で自らのリミッターを外してね』

『・・・・・・ 』

『圧倒的に彼等、人間の資質が足りないのさ。

 だから、少し彼を任せて貰えるかな?』

『ええ、それは結構ですが。どうするおつもりですか?』

『簡単なことだよ、足りなければ別の物で補うだけさ』 

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