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猫は七度死ぬ  作者: ぶらっく3だ
2章 楽園編
15/24

15 航海

お待たせです。

 薄暗い空、荒れる海、だが心は浮きたっている。

「つ、遂に箱舟の暮らしから抜け出せたんだ。まあ、選考会で落選して端役しか貰えなかったがそんなことはいい。

 次に繋げれば、兎に角一つのステップは掴んだんだ!」


 船には、数十名の希望に燃えた箱舟の民が乗っていた。番組の趣旨から有意な若者たちだったがレギュラーを勝ち取るまでには至っていない、最終選考に残った者たちだった。

「オーディションでは、失敗したがいつか、チャンちゃんのカニ缶でカニ炒飯を作って一緒に食べるんだ!」

「べ、別に章梦柔チャン・モンローに逢いたいから来たんじゃなくてよ。箱舟の窮屈な暮らしに飽きただけなんだからね!」

「ふっ、離れ小島とは言え日本の領土に移住できるとは。これを足掛かりに、新宿でホストクラブを開いて稼ぎまくってやる!」

「やっほーい、章の側で空気が吸えるぞ!」

 

 若干怪しいのがいるが、将来有望な若者たちではあった。


 ビーッ、ビーッビーッ。

『クジラが本船の針路上二キロメートルに出現、乗組員は直ちに捕鯨用意!』

「おー、超高級品のホタルクジラじゃないか。これで手当ては三倍だな!」

「まあ、首尾よく捕獲できればだがな」

疑似餌(デコイ)を放て!」


 奇妙な機械仕掛けの魚状の物体が船務長の指示で、射出された。その疑似餌は一定のパターンで発光しながらホタルクジラを船の横に誘き寄せる。


「ようし、牽引フィールドで捕まえるぞ。用意、撃て!」

 船の右舷九00メートルの位置で不可視の力場に捉えられたホタルクジラが虚しく身を震わすが一度捉えられたら逃げることは不可能だった。


『ふう、みんな良くやった。帰港後のボーナスは期待してくれ!』

「うおー!やったあ!」

 船員たちの歓声に、羨まし気に辺りを見回す乗客たち。それも無理もないこと、ホタルクジラと言えば宇宙からもたらされたクジラの中のクジラ、最高の珍味であったのだから。

 

 無事航海を終え、目的地である南鳥島に原始的な丸太を結び付けて作られた筏にのって上陸した若者たちの冒険はここに始まった。


 

「しかし、よろしいのですか?箱舟の住人をわずかといえども、島に受け入れてしまって」

「構わないさ、未来の無い箱舟の中で自暴自棄になって暴れられるよりも、希望を胸に野垂れ死んで貰う方がましさ。我々はあくまでも犯罪抑止課だからね、ロボ警部」 


 



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