13 パンとサーカス
暑い、汗が目に染みるぜ。「おっと、こんな所でダイビング落ちは御免だ!」
高波で揺れた足場を踏み外しそうになった、自分に舌打ちする。少しでも気を抜いて落下事故なんて起こしたら鉄頭の現場監督に大目玉を喰らう。流石に安全ベルトはしているが落下、救助されてから体調チェック、カウンセリング等の試練を潜り抜け、その後に現場復帰、鉄頭の現場監督は今流行のロボット様だから一人三役、四役をこなすのは当たり前だが、こちとら人間様だ、ロスタイム分の残業や不払いの賃金とかの損失を考えたら誰だって慎重になろうってもんだろう。
なんとか今日の割り当て分の太陽光発電パネルの清掃作業を終えた俺は仲間たちと別れて部屋に戻っていつものように番組を見始めた。
「あっ危ない!」
ふう、思わず声を掛けてしまったが、彼女はなんとかサメの化け物の攻撃を躱して反撃、そして倒した。
俺が、応援してないと危なっかしいんだからな。それに変な技の名前を叫ぶけどちっとも行動と合ってないよな。
でも可愛いよな、チャンちゃんて・・・・・・
うん?何だ、運営からのお知らせ?
『いたずらに才能を眠らせてる、そこのあなた!
南鳥島では、章梦柔総統の下で活躍する若き勇者を募集しております。詳しくは、番組最後に表示されますURLにアクセス、確認の上参加表明をしてください。
では、引き続き番組をお楽しみくださいネ・・・・・・』
「おう!これは、チャンちゃんといっしょに遊んだり暮らしたり、もしかしたらあんなことや、こんなことも出来るのか?
これは、行くっきゃねぇ!」
・・・・・・
なんか、寒気がしたんだけど。
章梦柔は、不思議な部屋の中に居た。青く透き通った結晶体で囲まれた部屋だ。「なんか、聞こえた気がするんだけどなあ?
たしか、レベルアップしましたとかなんとか・・・・・・
ほんと、日本語で通すのか英語でやるのか統一して欲しいわね、もう中途半端なんだから。これだから日本人のシステムって」
『あなたの経験値が一定数に達したのでレベルアップしました。各性能値が上昇しました。
ぶっちゃけ、少し強くなったということよ』
真っ赤な炎が揺らめく不思議なドレスを着た少女が、目の前に浮かんでいた。
「いつのまに。ところで、あなた誰?」
『私は、しがないホムンクルスよ。今は敵の軍門に下って雑用をやらされているわ。そう、あなたのようなルーキーを教え導くのが私の今のお仕事・・・・・・
つまり、雑用よ』
「なんだか、失礼な奴ね。で、私に何を教えてくれるの?」
『そうね、領土の増やし方ってのは知ってるかしら?』
「え?この島、拡張できるのか、どうやるんだ!」
『簡単なことよ。世の中の真理、そう、お金があればなんだって出来る!
一千万円じゃなくて、今はそう、一千万霊子で一平方メートル拡張できるわよ』
「一千万霊子って、銀座の平均公示地価の約三分の一じゃねえか。ボリすぎだろう」
『物を知らない子ね。この島はサンゴ礁のすぐ外は千メートル級の深海なのよ、そこを開発するんだから大金が必要なのはガキでもわかるでしょうに』
「だけど、こんな離れ小島でどうやって金を稼ぐんだよ」
『まあ、魔物を倒すとか、貿易をするとか宝探しをするとか。その他、いろいろね。でも、そんなあなたに朗報よ。
近々、この南鳥島に新たな住民が来るのよ。そいつらは、全てあなたの手下だからこき使って稼がせればいいわ。
じゃあ、がんばってね』
「私の手下?あれ、もう居なくなりやがって!」




