12 楽園
お待たせです。
小さな島に一人の女性が降り立った。まあ、美人であるには違いないが、まだ発展途上の少女と言った方がしっくりくるだろう。
ここは日本の本州から東千八百キロメートル、面積一.五一平方キロメートル、二等辺三角形の小さな島、南鳥島である。
(ここが、私のもの、私の領地か。まあ、狭くても陸だ。負けた身としては文句も言えまい。でも、陸地が。わ、わたしのも・の!ひゃっほう!)
『でも、君にタダであげる訳じゃないよ。それ相応の仕事をして貰う、その代価がこの島だ。日本での永住権とこの島の大部分の占有権だ。飛行場や各種インフラ設備を除いたほぼ全てを君の自由にしていい』
「へえ、でも代償って高くつきそうね?」
『まあ、気が進まないならこのまま縛につき裁きを受けて貰うだけだよ。まあ、一生外に出られないぐらいなら運が良い方だと言うくらいの結末がまっているけどね』
「魔性の者も口が上手くなったようね。受ける受けないで言ったら勿論受けるわよ」
『そうかい、じゃあ君も今日から警察の手先、いや僕たちの下請けだから「孫の手」かな・・・・・・』
「・・・・・・回想、おわり」
「ふーん、しかしチャイナドレスっていまどき。どういうセンスしているのかね、あの化生の猫は・・・・・・」
章梦柔は、池に映り込む青いチャイナドレスをひとしきり鑑賞すると島の探検を始めた。いや、己が領地の検分である。自分の領地と考えると緩む頬を無理やりに引き締める。
少し歩くとヤシの実が転がって来た。喉が渇いたと拾おうと近付くと・・・・・・
「Encount」と文字が表示され、三メートルほどのヤシガニのお化けが現れた。
はい、はい。
「裏拳、踵落とし!」
章梦柔は、掛け声とは全然違う横回し蹴り一発でお化けヤシガニを倒す、と。
「カニ缶を手に入れた!」
「もう、チャイナドレスといったら中国語表記でしょうよ。まあ、いいけどね」
「Encount」
「桃缶を手に入れた!」
「Encount」
「ウサ缶を手に入れた!」
「Encount」
「クジラの大和煮缶を手に入れた!」
植物の魔物、兎の魔物、クジラの魔物・・・・・・
章梦柔は、全てワンターンで仕留めた。適当な技名を発声しながら。
「次は、稲妻旋風脚がいいかな?それとも、土砂降りハイキックかな。どっちにしろ意表をついて、正拳突きでいくけど」
『君は、システムのお約束というのがどうにもお気に召さないようだね』
「ふっ、現れたな。警察の手先、今日こそ決着を着けてやる!」
『いや、まだまだ君には働いて貰わないと・・・・・・』
「そう、私の冒険は始まったばかりなのかしら?」




