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猫は七度死ぬ  作者: ぶらっく3だ
1章 ネコふたたび
10/24

10 分析

 東条斎酒(ゆき)は警視庁から支給されたデジカメを駆使して現場の遺留品、証拠を写真と共に採取していく。天下の警視庁の支給品だけあって並大抵のハッカーでは日時の改ざんはもとより、外部からデータを閲覧することも出来なくなっている。

「ネコ、このカメラ気に入ったわ。桜の代紋も伊達じゃないですね。難点を言えばデザインがお洒落じゃない所ですが、レンズがカールツァイスじゃなくてニコンな所もポイント高いですよ、ぼかしに味を求めた芸術性じゃなくて再現性を重視してる感が好感が持てます」

『僕のハンドラーが鑑識の資格を保有しているとか、僕も鼻が高いよ』

「ふふっ、別に褒めたって何も出ませんよ」


 なるほど、今どき爆薬をどうやって入手したのかと思えばわかってしまえば簡単なことか。塩素系の漂白剤と農業用肥料から時間を掛けて抽出、合成したとはね。

 だとすると、動機はあっても手段がないと思っていた箱舟の住人も捜査線上に乗ってきたということか・・・・・・


「ネコ?犯罪抑止課から届いた分析資料を見て独りで納得したような顔しないで説明プリーズ!」

『・・・・・・』


 二0XX年、紅の災害勃発時にその対処を誤った大国は(ことご)くその力の源泉たる支配する大陸ごと滅んだ。現在では、かつての大国の存在は記録と記憶、そして大陸が沈んだ場所に点在する巨大なビルを模した箱舟が名残を残すのみ。 そう、箱舟の住民はかつての大国の末裔であり、難民、いや咎人(とがびと)であった。

 また、世界通貨にもっとも近いものであった米国通貨ドルもその地位を失った。宇宙時代に、旧来の札束など何の価値も持たなかったのは当然の帰結であり主役の座は仮想通貨、霊子(レイス)に引き継がれた。


 ユーラシア大陸が沈む、かつて中国が存在した辺りに浮かぶ箱舟の一つで工作員、章梦柔(チャン・モンロー)は、可憐、魅力的ではあるがあざとい笑顔で空を見上げる。幾つもの米ドル紙幣で造られた紙風船が風に乗って東の島へと旅立って行く。何時になったら、揺れない大地に住むことが出来るのか?

「憎い、ただ島国に生まれたというだけで陸地を独占的に使用している奴等が・・・・・・」

『そんなに、陸に住みたいなら口を利いてあげてもいいよ。ちょっとした条件は飲んでもらうけどね』

 いつの間にか、見知らぬ三毛猫が尻尾で紙風船を弄びながら章梦柔に話しかけてきた。

「え?猫、もしかして化け猫?ここへは誰も入って来れないはずのに。まあ、いいわ。そんなこと、どうでもいい。ここで私を見た以上は、生きては返さないんだから!」

 章は、にやりと笑うと紙風船の起爆装置に手を掛けた。

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