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魔法って難しい?

 紙を見た僕の目に飛び込んだのは、魔法という言葉。

 現実世界ではありえないと思われるソレは、漫画ラノベ好きな僕等の興味を引くには十分な言葉だ。


「魔法は分かるんですけど、創造ってどういう意味ですか?」


『お答えしましょう。読んで字の如く、何かを作り出す魔法です』


 神様、全然答えになってない・・・。

 どういう魔法か知りたいのに、作り出す魔法って。

 言葉だけ見ればそれくらい分かるわ!


「ぐ、具体的に説明してもらえますか?」


『そうですね。例えば車が欲しいと思えば、それを作り出すことが出来ます』


「す、凄い!試しに作ってください!」


『私は作れませんよ。この創造魔法という魔法は、魔王特有の魔法です。まずこの魔法に必要なのは、ある程度の知識が必要です。車と言っても、どのように作られているのか等を知っていないといけません。車の形をしていても、エンジン等の仕組みが分からなければ、車は走りませんから』


「なるほど。外見しか分からなければ、ただのハリボテしか作れないという事ですね。逆に言うとある程度具体的なら、自分の考えた物作れるという事ですか?」


『どのような物を作るか分かりませんが、その通りです。阿久野さんがもし車の形をした自転車を作ろうとして、それが性能として間違っていなければ、ちゃんと走れるような自転車も作れますよ』



 簡単な説明だけど、ほとんど錬金術みたいなものだろう。

 知識が無いと難しそうだ。

 大学で学んだ程度の知識でどうなるかは分からないが、思った以上に応用が利くのかもしれない。



『それと創造魔法は、素材にこだわるのであれば、それも前以て準備した方が良いですよ。簡単なものであれば地面から土や砂鉄等を用いて作れますが、金や銀、この世界特有であればミスリルやアダマンタイトを使ったものも作ることが出来ます』



 益々、錬金術の類だな。

 でも道具を必要としないでそれ等を加工出来るというのは、ある意味凄い事だろう。



「なるほど。大体は分かりました。ちなみにどうやったら使えるんですか?」


『頭の中で想像してください。慣れれば一瞬で作れるようになります。過去の魔王の中には、一瞬で城を建てたりした人物も居ますから』



 それは凄い!

 僕等にそこまで使いこなせるだろうか。

 しかしこの魔法、兄さんに使えるのか?

 知識が必要とか難しいんではなかろうか。



 【うん!なんとなく分かった!】


 え!?分かったの!?


 【素材とそれに関する多少の知識だろ?自分の使ってる物なら多少は勉強してるさ】


 兄さんからこんな言葉が聞けると思わなかった!



『どうです?試しに何か作ってみては?』


「分かりました。ちょっと待って下さい」


 兄さん。ちょっと代わるから作ってみない?


【良いのか?いっちょ魔法っていうの使ってみたかったんだよね】


 目を閉じると立ち眩みがした気がした。

 気付くとさっきのようにVRゴーグルをしたような状態に。





 じゃあやってみるか!


 近くを見渡すとその辺に落ちている枝を拾う。


 なかなか大きい枝が無いな。いっそのことその木で試してみよう


 目の前にそびえ立つ木を見上げ、右手で幹を撫でる。

 自分の身体より太い幹に触れながら、いつも使っていたアレを思い浮かべた。


「これでどうだ!!」


 触れていた辺りから光出し、徐々に木を覆っていく。

 少し眩しい。

 光の強さが徐々に弱くなってきたと思ったら、右手で触れていたはずの木は無くなり、代わりにある物が手の中に納まっていた!


「出来たぞー!思ったより簡単に出来るもんだなぁ!」



 俺が魔法で創りだした物、それはバットだ!

 背が縮んだからか、思っていたより長く感じるな。

 とりあえず振ってみるか。

 ・・・おぉ!いつも使ってるのと同じような感覚だ!

 身体が違う割にはしっくりくるのは何故だ!?



(凄いよ兄さん!よく作れたね!)


「ハッハー!やっぱり考えられるのは、普段から使っているものだな!ちなみに量ってみないと分からないが、重さとかもこだわったぞ?俺が普段使ってる910グラムになるようにしてみたんだが、正確な数値になってるかは分からないけどな」


『お見事です。初めてにしてはスムーズに出来てましたね』


「本来なら木の種類によって反発力とかも変わるからこだわりたかったんだけど、異世界の木の種類なんか知らないから。まあこれでもボールは打つことくらいは出来るでしょ」


(今度は僕も試していい?)


 おう!代わるか!


 目を閉じて再びコウと入れ替わった。





「じゃあ今度は僕がやってみます」


 うーむ、まさか先に兄さんが成功するとは。

 これはちょっと悔しいな。

 同じ木で作るのも面白くないし、ちょっと趣向を変えてみよう。

 まずは両手で地面に触れてっと。



 地面に触れた掌の辺りから微かに光が集まり、黒い物が少しずつ集まりだす。

 集まった黒い物体が丸くなっていき、それは出来た。


「完成した!」


 黒光りするそれは、そこそこ重かった。


【なんで中華鍋・・・?】


「特に思いつかなかったから。簡単に作れそうかなって思って・・・」


『いやいや、二人とも成功するなんて凄いですよ!過去の魔王達も失敗の繰り返しで、徐々に成功したんですから。知識量の差ですかねぇ』


 神様はなんとなしに言うが、そんな難しい魔法なのか。

 兄さんが成功するくらいだから、そこまで難しいと思ってなかったな。


『では、この魔法については分かりましたね?あまり関わるのも世界によろしくないので、私は失礼しようと思います』


「はい。ご指導ありがとうございました。」


『また何かあったら連絡を下さい。次回は使いを出しますので。それではまたお会いしましょう』



 そう言い残すと、頭の中に聞こえていた声は消えていった。

 よし!この魔法の練習をしながら、これから何処に行くか考えよう!

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