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再戦に燃える元勇者(旧プロローグ)

初回投稿時に作ったプロローグです。

内容として「序章」というよりは「最終章」的な物語の終盤のお話になっています。

これってプロローグとしてどうかなと悩み、現在のプロローグ「あれは勝てる戦いだったのに」を書き直しました。

でも、折角作ったのに勿体無いなあ、と思い再び貼り付けてしまいました。

そんなの読みたくないぞ、という方は飛ばして頂いて結構です。


では、旧プロローグスタート



 長い暗闇を抜けて、俺の意識が戻ると……そこは、見覚えのある場所に!?



「まさか! 本当に!」


 そこは、暗く薄気味悪い城内の広い一室だ。

 そして正面には暗黒のオーラを纏った化け物が鎮座している。


「……クッ! やっとこの場所に戻って来れたぜ!」


 忘れもしない、記憶に深く刻まれた因縁の決戦場。


 肘から先を失っていた俺の右腕は、さっきまで出血に伴い激しい痛みを放っていた。

 それが、何事も無かったかのように綺麗さっぱり復元されている。

 あちこち負傷した体も、今は元通りになっていた。


 そして……そう、俺は万全の態勢で再び魔王の前に立っているのだ。


「フッ……久しぶりだな、魔王様よ」

「……知らぬ顔のようだが。何者だ貴様?」


 魔王は地響きのような唸る声で、俺に問いかけた。


「しがない勇者さ。リベンジマッチをと思ってね」

「リベンジマッチ?」

「そ、過去に一度あんたに負けているんで、再戦って訳」

「はてさて……全く身に覚えは無いが、まあよかろう。幾ら挑もうとも儂には勝てんからな、雑魚が!」


 深紅に光る眼球で睨む魔王。流石に世界の覇者だけの事はある、圧が凄いぜ。


 だがしかし、俺は怯まない。


「悪が今回は勝たせてもらうぜ!」

「よかろう。掛かってくるがいい」

「では、遠慮なく」



 ここに来るまで色々とあったが、ようやく辿り着く事ができた。

 

 それは、いつも俺の側に居てくれた少女の犠牲があったからこそ。


 そう……もう二度と会えないと判っていながら……俺の為に!


「ミミ……。お前のことは一生忘れない! 今まで本当にありがとう」


 ミミの笑顔、ミミの声、ミミの仕草、ミミの香り。


 畜生! 彼女のことを思いだすと、また涙が溢れ落ちそうになる。


 思い起こせば、俺がダメダメになってから、今までずっと支えてくれていた。

 今回だってそうだ、俺がグズグズしていたからこんな事に。


 だから彼女には、感謝してもしきれない程の恩がある。


 もしかしたら俺はミミのことを……

 

 いいや、とにかく今は魔王を倒すことだけに集中しよう。

 失敗することは許されないからな。それこそ彼女が報われなくなる。


 悲しむのはその後だ。



「なんだ貴様、既に恐怖で震えておるではないか。戦う前からそれでは、殺す価値もないのう」

「うるさい! 今、色々と感傷に浸っているところだ!」

「まあ無理もない。儂の姿を見た者は皆、怖気づいてしまうからな」

「くそ、馬鹿にしやがって! ミミの分までキッチリお返しするからな! 覚悟しろ!」


 俺は魔王のどす黒い顔を睨みつけた。

 魔王の赤く光る眼がギラリと睨み返してきた。それと同時に暗黒の覇気が跳ね上がる。


 俺も負けじと魔力を開放しようと思ったが、その前に頭に手を当てて確認する。


 大丈夫だ、アレは無い。ほっと一安心。


「じゃあ、本気を出させてもらうぜ」


 俺は漆黒の剣『アロンダイト』を構えた。久しぶりに握るその感触は、敗北を喫したあの日を思い起こさせる。


「ほう! その剣を扱う者。貴様はまさか……」

「ああ! そのまさかだ!」


 剣を構えたまま、魔力を全開放!

 眩い俺のオーラが、薄気味悪い魔王の部屋を明るく照らす。


「悪名高い、あの『ケンゾウ』か! 噂は聞いておる……ならば、それ相応のもてなしをしようぞ」

「悪名とは失礼な! 我が名は『勇者ケンゾウ』。世界最強の剣士だ!」


 魔王は玉座から立ち上がると、大剣を片手に歩み寄る。


「幾ら強かろうが、この儂には勝てぬ。先の挑戦者達のようにな! ガッハッハッ!!」

「しゃらくせえ! 今度こそ、その首頂くぜ! いざ、覚悟!」



 白と黒の強大な魔力がぶつかり合い、最後の戦いが始まった。


 終焉に向かって。


 

 



エタらせたくないと思い、エンディング部分から書いてしまったのです。

本編の話が進めば、このお話もそれに合わせて段々と修正がされていく感じです。


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