表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界最強だったボッチの俺が、幼女に敷かれる武器屋の看板娘に!  作者: うずはし
第一章 勇者の俺は武器屋の看板娘になる
10/18

08 きれいに洗おう

誤字報告ありがとうございます。


 異世界の湯けむり。そして、満天の星空を眺めながらの露天風呂。

 そこそこ空いているし。いいねー、最高だよここ。


「よし、ミミ。そこの椅子に座りなさい」


 俺は、湯船の脇にミミを座らせる。ちょこんと座ったミミの姿は、まあまあ可愛いかな。


 いきなり湯船に飛び込むのはマナー違反、それ位俺も知っているさ。

 入る前に体の汚れを落とさないとね、これ常識。最低限のエチケットですよ。


 特にミミは色んなものが体にくっ付いているから、そのままお湯に浸かると大変な事態になりかねない。

 受付の美人お姉さんにも迷惑かけたくないしな。


 先ずは湯船の温度を確認。うん、熱過ぎず丁度良い。


 そして、桶に目一杯お湯を汲み取り、ミミの頭からザバーっとぶっかけた。

 どうよ? おチビちゃん。


 微動だにせず相変わらずのノーリアクション。まあ期待はしていなかったけどね。


 石鹸をしっかり泡立てて、頭から洗っていく。ゴシゴシ。


「んー、汚れが酷すぎて泡立ちが良くないなあ」


 シャンプーという画期的なアイテムは無いから、石鹸で頑張って髪を洗わなければいけないけど、これは結構大変だ。洗い流してもう一回、ゴシゴシ。


 目に泡が入っちゃいけないから、ミミは自然と目を瞑っている。よし、このまま顔も洗っちゃおう。


 お顔は掌で丁寧に。むにゅむにゅ。


 うん、だいたい綺麗になったかな。もう一度頭にお湯を掛けて洗い流す。


「おおっ、お前結構可愛い顔してるな」


 今まで汚れが酷く判らなかったが、ミミの髪は明るい赤色。だが、傷みが激しく艶は無い状態だ。

 ちゃんと手入れすれば、鮮やかな赤色になるかもしれない。


 そして、顔も意外と可愛いぞ。

 整った顔立ちにくりくりと大きな瞳。仏頂面で瞳が淀んでいるところが非常に残念だが、これは今から将来が楽しみですぞ、ってな感じ。


 幼女だと思って期待はしていなかったが、これはなかなかの逸材である。


「……さてと、次は体なんだけど……」


 俺は周りをキョロキョロと見回す。おじさんが三人程湯船に浸かっていて、こっちを怪しんでいる様子はない。


「俺の考えすぎか……だよな、四歳児相手に変に意識するってのも可笑しな話だし。それに、他人には仲の良い兄妹に見えているのかな?」


 十歳以上離れている兄妹か。まあ、アリっちゃあアリなんだろうけど。


 意を決して、今度はタオルのような布に石鹸を泡立てて、ミミの体を洗っていく。

 そうは言っても女の子だから、肌が荒れにはきをつけないと。力任せにゴシゴシしないように気を付ける。

 

「せなかぁー、みぎうでぇー、ひだりうでぇー。はい立って」

 

 ミミはスクっと立ち上がる。


「お、おしりー、みぎあしー、ひだりあしー。はいこっち向いて」


 やべ! すげえ恥ずかしくなってきた。顔が火照っているのはきっと湯気が熱いせいさ。ふぃー。

 ミミはクルリとこっちを向いた。


「お、お、おむねー、おなかー、お、お、お、お、お、ぉまたー。うし! 洗い流すぞー!」


 じゃばー、じゃばー、と全身の泡を流せば、綺麗に生まれ変わったミミの出来上がり。

 いやー、まだ湯に浸かっていないのに、のぼせている俺って一体……


 洗い残しが無いか、まじまじと見てしまう俺。汚れが気になっちゃうからしょうがない。

 決していやらしい考えは無いからな。決してロリコンじゃ無いからな。



 そんな事を考えていると、目の前のミミが一瞬ピカっと光る。


「え? 何、ミミどうした? 今、全身光ったよな」


 俺は心配してミミの顔を見ると、淀んでいた瞳が、綺麗な赤色の瞳に変わっていた。キラキラしている。


「おい、マジか。どうしちゃったんだよ」


 他に変化は無いかとミミの体をあちこち確認するも、特に変わった所は無いようだった。


 だが、


「…………ィ」

「え?」


 ミミの口から、ぼそりと何か発したようだが。


「ミミお前、喋れるのか? 喋れるようになったのか?」


 ミミは小さく頷く。

 おおおおー、何か知らんがミミが成長したぞ。滅茶苦茶嬉しい。


「なあ、ミミ。何か喋ってくれ、俺にその声を聞かせてくれよ」

 

 俺はミミの肩を掴み、必死に訴えた。

 嬉しさのあまり、目からは涙が零れ落ちていたかもしれない。

 

 そしてミミは口を開いた。


「ヘンタイ」


 幼女の衝撃発言に、俺はその場に跪いてしまった。

 何故だろう、俺のガラスのハートがひび割れた気がする。



 とはいえ湯船に浸かれば、その気持ち良さに旅の疲れが一気に吹き飛ぶ。極楽極楽!

 ミミも肩まで浸かって、目がとろりとなっていた。

 おいおい、気持ちいいからって寝ちゃうなよ。

 

 

 俺は夜空を見上げ、ひと時の休息を堪能していた。

 





ここまでお読みくださりありがとうございます。

気に入って頂けましたら、評価やブクマを。感想等も遠慮なく。

筆者のモチベUPに繋がりますので、どうぞ宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ