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少しづつ

朝イチで妹に叩き起こされました。なんでも「朝練があるから朝食作るの手伝って!」とのこと。だったら何で昨日の内に言わないかなぁ。まあ、今更だし仕方ないか。


「玉子とベーコン焼けたよ。………味噌汁も出来たし」


「サラダと食器準備できたよ!」


「じゃあ盛り付けて食べようか」


小学生の頃は今のようにアパート暮らしではなく、両親と暮らしていたので楽ではあった。少し遠い高校に入学したため、こうしてアパートに住んでいる。なぜ希がいるのかというと、少しだけアパートの方が妹の通う中学校には近い。希は朝練などで時間を大切にしているので、一分一秒無駄にしたくないらしい。


「ごちそうさま!」


「弁当持った?」


「持ってるよ!行ってきますっ!」


「行ってらっしゃい」


ドタドタと家を出ていく希。何だかんだ、これが楽しいと思う僕は変わっているのかもしれない。ここ数年ずっと2人で生活してきたから家事には慣れたし、むしろ楽しい。


「さて、僕も準備しないと」


今日もいつも通り準備して、いつも通り出発する。何も変わらない。いつもの見てきた日々。これが一番だね。窓や火元の確認をして、僕も家を出た。今日は天気も良いし、予報も晴れだったから、大丈夫だろう。


―――――――――――――――――――――――――


学校に着き、教室に入る。教室には那須賀君や篠原さんが来ていた。他にも数名がもう来ている。みんな徒歩通学だからか、それなりに早く登校しているみたいだ。


「山岸さん、出来たよ」


「本当?わあ!可愛い!ありがとう!」


「どういたしまして」


山岸さんの笑みに、僕も自然に笑みがこぼれた。喜んでもらえて何よりだよ。やっぱり人のためになることってやりがいがあるし、何より喜んでもらえてうれしい。


「~~~!」


どうしたんだろう?なぜか顔を背けられてしまった。んー?まあ、気にしないでおこうかな。多分聞いても教えてくれなさそうだしね。那須賀君はこっちを見て「まーたやってるよ」とか言ってるけど、何のことだろう?


「おはよう、有ヶ谷くん」


「おはよう、委員長」


「光一、宿題を写させてくれ」


「仕方ないなぁ」


「よっし!」


まあ、いいや。本当は自分でやらなきゃ意味無いんだけど。僕も甘いなぁ。そう思いつつ、那須賀君に宿題のノートとプリントを手渡す。


「次はちゃんとして来てね」


「おう!」


『お人好しすぎるよな』


『ええ、そうね』


みんなひそひそ話してるけど、何だろ?気になるけど、まあいっか!そろそろ朝礼の時間だ。


「お前らー席につけー。出席とるぞー」


だるそうな態度で出席を取るのは僕ら1組の担任、本田先生。普段からこんな感じなんじゃなくて、朝が弱いからこうなっているだけらしい。いつもは真面目な先生だよ。


「沖田………菅谷………三上…………柳沢…………。よし、全員いるな」


何事もなく出席も取り終わり、本田先生は出席簿を閉じる。そして、メモを見ると、


「連絡事項は―――特にないな。解散なー」


そう言って本田先生は教室を出ていった。また騒がしく、雑談が始まる。みんなそれぞれグループに別れ、話をしている。その集まりを"カースト"なんて呼んでる人もいるけど。


僕らのグループには那須賀くん、篠原さんがいる。ちなみに、上位カーストって呼ばれているのは西条くんのグループや隣のクラスの桜田くんのグループだったかな?


「なあ、光一。魔学見たか?」


「うん。見たよ」


「なかなか面白そうだよな、あれ」


「キャラも良いし、作画も綺麗だしね」


「なになに?何の話?」


「魔学………えと魔法少女の学園日記っていうアニメの話なんだが………分かるか?」


魔学こと魔法少女の学園日記は主人公の女の子を中心にして、さまざまな事件が起き、それを主人公が魔法少女となり解決していくという物語になっている。原作小説や漫画は読んだことないから、どうなるかは見てのお楽しみだね。


那須賀くんは分かりやすい説明をしている。篠原さんは興味深そうに聞いているみたい。そうしていると予鈴が鳴った。しばらくして数学の先生が入ってきた。


「皆さん、席について下さい。授業が始まりますよ」


先生の合図でみんなが席に座る。そこで、クラス委員長の篠原さんが椅子からスッと立ち上がり、号令をする。


「起立。礼」


「「「「「お願いします」」」」」


「じゃあ5ページ開いてください」


まだ新学期も始まって間もない。ほとんどの授業が中学の復習のようなものだから、特に難しくはない。


「じゃあ………金井さん。第3問題の2番解いてください」


「○○○です」


「はい、正解です。ではつぎに―――」


授業は順調に進んでいく。可もなく不可もない。別に問題自体は難しくない。ただ、一部では茶化しがあったり、寝ていたりと、真面目に受けない人もちらほらと。


「光一、ここ、教えてくれ………!」


「うん、良いよ」


那須賀くんは先生に聞こえないように聞いてきた。ちょうど今やっているところの応用だった。これくらいなら多分分かりやすく教えれば理解できると思う。そうして、時間は過ぎていく。


―――――――――――――――――――――――――


いよいよ放課後がやって来た。勉強は嫌いじゃないけど、この学校の授業は進学校ということもあり長い。いや、時間は長くはないんだけど、字の量も、話もひとつひとつ長い。そのためかなり長く感じてしまうんだ。


「んー!ふぅ」


「光一、また明日なー」


「うん、また明日」


那須賀くんはそう言って部活に向かった。少しずつ教室から生徒が部活やら帰宅やらで出ていく。僕はその音を聞きながら、帰り支度を済ませていく。ずっと平穏な日常が続く。それが、僕は好きだから。

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