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告白の次の日

なんてこった。


失敗してなんぼと思っていた告白にOKを貰えるとは。あの告白の後『明日からよろしくお願いしますね』と言われその場で別れ、その後は成功した事からのショックで適当に過ごしていた…ようだ。ユウジから学校が終わるまで終始『何ボーッとしているんだ?』と言われ続けていた事しか頭に残っていない。


そして今は自分の部屋のベッドの上でゴロゴロと寝返りをうっている。夜眠れない中年オヤジみたいだ。

今日の出来事は夢なのだろうか?と今までならそう思うだろう。でもそう思いきれない所もある。しがないバイク便の配達員をしている最中にトラックと正面衝突。あの時の体が宙に舞う感覚は今でも残っている。今、俺がいるこの十一年前の世界は単に時間を飛び越えただけなのかそれとも夢なのか、あるいは…死んだ後のあの世って奴がこんな感じなのか…


夢だとしたら残酷だ。フラれたならばそうゆう夢だったで済むのに、OKを貰えてしまったんだ。このままベッドの上で眠りについて次に目覚めた時、病院のベッドの上だったり地獄の閻魔様に『お前はもう死にました』なんて言われたりしたら…今日の事は糠喜びだ。


…寝よう。全ては明日になったら解る。告白の時点で勝負を賭けたんだ。それをまた眠ると言う形でやるだけだ。







今日の気分はハイだ。勝負に勝った。朝目覚めれば目に映ったのは、実家の自分の部屋。携帯の表示には十一年前の、しかし昨日から一日たった日付が表示されていた。


告白に成功したその次の日に俺は居るんだ。


フフ、ニヤニヤが止まらない。多分を俺は物凄く気持ちの悪い顔をしているに違いない。そしてその顔のまま学校に登校しているんだ。若干数から変な目で見られているんだろうなぁ。


「なんだその気色悪い目は?昨日といいマジでどうかしたんじゃないかタカ?」


昔からずっとつるんでいるユウジからもこの反応だ。何とでも言え。俺はもう今までの俺とは違うんだ。


「そうかもねユウジ君」

「…気色悪い!ユウジ君だと?病院に行け!」


目の前のユウジ君が何か言ってるけど気にも止めない。


教室の自分の席に座り今か今かと彼女が、豊城桜が来るのを待っている。


「何が嬉しくて相棒のこんなニヤケ面を見なきゃいけないんだ……おい、今日もお姫様の到着だ」


言われなくても分かっている。教室のドアをくぐり今日も豊城桜がニコニコと笑顔を振り撒きながら教室へと入ってくる。


「あ、沢村さんおはようございます!」


俺を見つけるや否やハキハキと明るい声で挨拶。俺も挨拶を返そうとした瞬間、バッと教室にいる全ての生徒が一斉に俺の方を向いた。


怖いよ。そんなタイミングよく向かれたら。ヒッ、て情けない声が出ちゃったよ。前の席に座るユウジもお前、マジか?とでも言いたげな顔をしている。

豊城桜はニコニコとしながら俺の方を見ている。名指しで呼ばれたからには少なくとも昨日の関わりは夢では無く本当にあったことになっているらしい。


「タカ、これどうゆうこと?」

「昨日、告白して、OK貰えた。それだけだ」



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