十四話 実技試験が始まるよ!
「実技試験の説明を始める!」
大女は全員が集まったところで説明を始める。
よく見ると彼女の肌は少し紫がかっている。
「実技試験は3つのパートに分かれる。第1パートは、ここから見えるスタート地点を出発し校舎をぐるりと回ってゴールである闘技場を目指してもらう」
大女は説明を続ける。
どうやら、単純な体力測定みたいなもののようだ。
闘技場までのコースには遮蔽物などがあり、基本的にはどんなものを利用してもよいのでゴールを目指せばいいようだ。
まぁ、障害物走みたいなもんか。
「第2パートは闘技場一階での魔獣の捕縛。二体を捕縛したらそのまま地下へ向かえ」
魔獣か。そーいえば、見たことないな。
ウサギみたいなのだといいけど、トラとか出て来たらチビる。
魔獣に重傷や致命傷を負わせた場合は減点らしい。
「第3パートはは闘技場地下一階での模擬戦だ。対戦相手は学園生と教師陣で分担する」
これは、予想通りだな。
受験生同士での戦闘も考えていたが、どうやら第1パートと第2パートで上位入賞者から順に強い相手と当たるようになるらしい。
正直オルダリエを達成できなくても俺はいいが、学園生活は送りたい。
そこそこのスピードで第2パートを抜けて無難な相手に当たる方が嬉しいな。
第1パートがクリアできれば、第2パート第3パートはクリアできなくても採点の対象になるみたいだ。
まぁ、5歳から受けれるんだからそんなもんだろう。
「それでは組み分けを発表する!呼ばれた者は前へ」
大女が手元の布をチラリと見る。
「第1組!スフェール=ペルヴナント=オーカ」
お、いきなり俺だ。
俺は大女の側へと行く。
「あれがスフェール家の……」
「まだ小さいな」
「今年はミキシ国の王子も受験してるって聞いたぞ」
「は?そんなわけねーだろ?!なんで王都の第1学園の方に行かないんだよ」
なんか、俺の名前が呼ばれたらすげーざわつき出したんだが。
父は意外と有名なのか?まぁ、屋敷は確かにデカいが。
まぁ、奴隷商人の息子ってことで有名だとしたらとんだ悪名だろう。
あとどこぞの王族の話とかまで出てるし。
「カスヴァル=ミキシ=グルータル=ウェリゼラ=ジン」
うわっ。舌噛み切りそうな名前だな。
たしか、この悪魔の国では名前が長い方がえらいんだっけ?
ん?ミキシってさっき言ってた南の国だよな。
「よろしく頼む」
俺の隣に並んだのは黒の長髪に額から伸びる一本の角が印象的な少年だった。
見た目の年は俺より1つ2つ上か。
「よろしくお願いします」
俺はジンと呼ばれたその少年に挨拶をする。
俺の組は他に3人。
男の悪魔が二人に、女の悪魔が一人。
女悪魔を見る。俺よりも年齢は上だろうか。
もしかしたら同い年かもしれない。
大きな青い瞳に背中から生えた翼が特徴的だ。
たしか名前はメロウとか言ってたな。
「それでは第1組。はじめ!」
俺たちは一斉にスタートする。
実技試験編は少し長くなるかもです。