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家でゆっくりするのも悪くないって思ったり


「さてさて……、今やっと家に到着したわけだが、どうすっかなぁ」


 馬、狼、狼の順に目線を向けると、俺はそう呟いた。

 リコルノは子供であるため大して図体はデカくない。もともと神聖な生き物であるためか獣臭さも全くないため家の中にあげてもそこまで問題はないだろう。

 狼も同様かと思ったが……、どうやらフェンリル以外はほとんど他の狼と変わりがないらしい。かなり臭いはきつかった。

 とりあえず、俺とキュリアは敷地内へ入り、狼とリコルノを庭の中へと誘導する。


「俺の家が動物園になる日もそう遠くないかもな」


 そう言った瞬間、リコルノから強烈な蹴りが俺の懐へと入り込んだ。肋骨が内臓に突き刺さった気がする。いや、俺の身体は相当丈夫、気がするだけだたぶん。

 リコルノの表情からかなり不機嫌な様子が伺える。馬の表情から感情を読み取ることができるとか、俺もうかなりテイマースキル極めたんじゃね?


「にぃ、大丈夫?」


「あー、心配すんな。悪いのは俺だから」


 てくてくと心配そうに駆け寄ってくるキュリアに無事を伝えると、俺は玄関の扉を開けた。

 狼たちには事前に家の中には入らないよう言い聞かせてある。

 俺のテイマーとしての熟練度が上がっているのか、神様の加護のおかげなのか知らないが(まあ恐らく後者だと思うけど)、狼たちは俺の言うこともある程度聞いてくれるみたいだ。


 家の中に入ると、リビングに移動し、ソファーに座る。

 するとキュリアも同じようにリビングに移動し、ソファーの上にちょこんと座った。


 まあ、座るまではよかった。

 そこまではよかったんだが……何もすることがない。

 ふと、キュリアの方へ顔を向けてみる……が、大変疲れていたようだ。既に俺のひざを枕にしてスヤスヤと眠りについている。


「まああれだけ暴れまわってたしな。当然と言っちゃ当然だけど」


 静かに寝息をたてているキュリアの頭をそっと撫でる。

 キュリアは少しばかり触れられるのが不満だったのか若干顔をしかめたが、すぐに安心した表情に変わった。

 可愛らしい表情してるけど、見た目は完全に女の子……いや、女の子なんだけどさ、正直なとこ龍の姿のままがよかったな……なんて。

 

 思えば依頼のために街から出発したのが早朝。達成してギルドに帰り着いた頃には昼過ぎ、今ではもう夕方近くなのか、だいぶ日が沈んできた気がする。


 ルナたちも衣服を買いに行くだけだし、そんなに時間はかからないだろうと思うが、今のところ全くそのような気配はしない。

 女子の買い物は長いというが、それは金なし貧乏だったルナも同じなのだろうか……、いや、金のことを気にしすぎるぶん、余計に長いのだろうか。


「なあリコル……もうリコでいいか。ちょっと話し相手なってくれよ」


「別に、リコは話したいとは思ってない」


「って喋れるんかい」


 リコルノはそう言うと一瞬にして人の姿に変わり、俺の目の前で窓をノックした。

 その窓は床から天井までの縦長の構造をしているため、開ければ中に入ることができる。

 俺は衣服もちゃんと着ている、眼鏡をかけた水色ボブの子供を家へと招き入れた。


「村でお世話になったときから人に心くらい許してる。姿は警戒してたから変えてた」


「おいおい……ってことは姿は容易に変えることができるってことかよ」


 あの本に書いてあることと違うぞ。あの本デタラメ書いてんじゃねーか? いやでも元の姿に戻れないとも書いてはなかった……か?

 ふとそんな考えが頭をよぎったが、今のところお世話になってるしそれは置いておくことにした。


「心を許した相手には人の姿じゃないと失礼。大人たちは人間嫌い。だから人の姿にはなったことない」


「それってそんな理屈みてーなのあったんだな。ただの習性かと」


「そんなわけない。リコもちゃんと考えてる」


 いや、キュリアとか見てるとそんなの感じないだろ? 決まりなんてもの全く考えてなさそうだしさぁ……。

 俺はキュリアの方へ目を向けると、未だに膝の上で爆睡してるのを見て、はぁ……とため息を吐いた。


「幸せそうな表情してんなこいつ」


「うん、可愛い」


 覗き込んでるとこ悪いけど、お前も大して変わんないからな? 見た感じるんるんより小さいだろお前。

 改めて眺めてみると、意外と小さい。キュリアよりは大きいが、大して変わらないんじゃないかと思うほどだ。


 てか、眼鏡かけてるけど視力悪いのだろうか。


「リコ、お前目が悪いのか?」


「どうしてか、人の姿になると見えなくなる。これはもらった」


 おそらく眼鏡を渡したのはあの少女だろう。他に心を許してそうな人なんて心当たりないし。

 

「てかお前、人の姿なれんなら、るん達と一緒に服買いに行けばよかったのによ。それあの村で渡された服だろ? ボロボロだし」


「いい、今度行く」


 眼鏡だけは青いフレームで可愛らしいデザインなのに、服がそれだと台無しじゃねーか。

 まあ、今度でもいいか。と俺はため息を吐く。


 この後ルナ達が帰ってくるのは30分も後のことだった。

 3人揃ってソファーの上で熟睡してる姿を見て驚いたのか、その時のルナの声で目を覚ましたのは覚えてる。

 るんるんが着てるボーイッシュな服が思ったより似合ってると笑ったところ、るんるんが真っ赤な表情をしたところ。そこからの記憶がない。


 なぜか気づいたら次の日の朝で、俺は皆から見守られている中ベッドから目を覚ました。

 何があったんだ?俺……。

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