表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
綺忌怪界  作者: 食パン
8/11

殺戮者の子供騙し

にしても長期滞在と言っとけば親も訝しまないのね。

一人くらいの親は捜索願出すと思うけど。

まぁその前に終わらせばいいものよね。

走り回ったせいか相当寝込んでいた。

起きた時はもう太陽が高い位置にある。

僕はもうテンプレートと化した起床からの行動を淡々と済ませていた。


嫌に静かな館内を歩いて回る。

僕は3週程して少年の部屋へ寄る。所謂朝の運動、ウォーミングアップという奴だ。


少年はいつも通り椅子に座っていた。

もう見慣れたと言っても過言じゃない。


そしていつも通り今日の計画を聞く。

そこまではいつも通りだった。

そう、そこまでは。


少年が提示した計画。

それは「自分が死ぬ」であった。


流石に早すぎるだろう、と止めに掛かったが僕の方が早まっていただけだった。


死に真似をして存在を消す。

そうあの時の青年みたいに不意を打つのだ。と。


実行は夜飯時。

そしてまた退屈な時間が流れる。


包丁に紅いインクを塗る。

少しだけ僕の血も混ぜてみる。


服の胸元に血を垂らす。

足りない部分をインクで染め上げる。


包丁は折って刺さっているように見せる。


完璧だ。


少年が他の犠牲者を牽制してくれるらしいから僕は演技に浸れる。



夜飯時。皆が降りてくる。


ドアを開けた瞬間悲鳴が上がる。予定調和だ。

余りにも煩い悲鳴だ。


少年がまず皆を落ち着かせる。

そして僕に歩み寄り包丁を抜くモーションをとる。

勿論包丁は見えない。



そして僕を抱え少年の部屋に連れていく。

これで僕は「死んだ」ことになった。

此処からは暗殺、犠牲者にとっては地獄より舞い戻った殺戮者として見えるだろう。

見える前に殺すんだが。


僕らは用意していた夜飯を食べる。

これが意外と美味しい。久しぶりに豪華なモノを食べた。



さて、もう今日も終わる。

1人殺して寝よう。

今日は短かった。



緑玉髄のナイフを持ち出し僕は髭濃い男の部屋へ向かった。

こいつは早く殺しとかないと後々面倒だ。

力もあるし。


しかしその力も想像力には関係がなかったみたいだ。

幾ら万力を以て僕に抗おうとその前に男は地に伏す。


そりゃさっき死んでいた人が殺しに来るなんて思わないはずだ。

しかし人殺しが起きたというのに呑気な奴である。





この調子で、どんどん...


僕はもう死神と言っても過言ではない...?

僕は人なのか...?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ