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演目終焉
遂に彼まで消えた。
舟は10隻。持って行かれた屍は9体。
僕は一生此処で暮らすのだろう。
その一生ももうすぐ終わる計算だが。
彼はやはり単純だ。僕の演技には気付いてくれると信じていたのに。
もう嵐は来ない。過ぎ去ったのだからいつか迎えは来るだろう。
その時には美しい死体で、ね?
館内を歩き回る。
足音は僕のしかしない。至極当然だが新鮮だ。
ふと下をみるとやはりというべきか血で絨毯が紅く染まっている。
この血すら誰のかも分からない。
もう何も遺すものはない。
本当の最期だ。
さぁ、不動の屍とのかくれんぼの始まりだ。




