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第9話 魔獣

 お待たせしました!

 迷宮都市〜光と闇のアヴェスター、第9話「魔獣」です!

 ワンテンポ遅れて走り出した少年を大猪(マッド・ボア)が追う。自らの窮地を知った少年は脱兎の如く林立する木々の間を縫っていく。


 「本気(マジ)かよ!?」


 少年の背後を追う巨大な姿に、本気度が跳ね上がっていく。忽ち全力疾走するユウの息が上がる。詰められる距離に、少年の焦りが顕になっていた。

 鼓動が激しく脈打つ。息が苦しい。だが、そうも言ってられない状況に、ユウは必死で足を動かし、頭を働かせた。

 即座に判断しなければならない現状に猶予は無い。突進を回避すべく、少年は踏み荒らされた足場が拡がる道を避け、山肌の方向へと向かう。

 一切の躊躇なく木々の間に身を躍らせ、全力で斜面を駆け上がる。


 (やばいだろ、これ!)


 地面を蹴る大猪(マッド・ボア)の蹄の音が聞こえてくる。確かな響きとなって聞こえる振動(其れ)が森の木の葉を揺らす。

 絶叫に近い魔獣の咆哮が、少年の背後を取る。

 只ならぬ気配を察知し、ユウが振り返ると、其処には頭を低く下げて突進してくる大猪(マッド・ボア)の姿があった。大質量の筋肉の塊が、地響きを立てて迫って来る様に、少年の理性が飛ぶ。

 迫る巨大な二本の牙が道無き道の表土を削り取り、あらゆるものを巻き込んでいく。下生えや低木などまるで意に介さない。

 巨体が雄叫びに震える。


 「Boooooooaaaaaa!」


 ユウは斜面を駆け上がり、上を目指す。息が切れるのも構わず走る。木々の間を縫うように上を目指し、急勾配を登る。目に付いた段差の上にある高木林の根に手を伸ばして、全力で飛び上がる。もはや一刻の猶予も無い。体勢を崩しながらも、何とか太い根を掴んだ。

 大猪(マッド・ボア)の牙が少年を追う。斜面を駆け上る魔獣が勢いを引き換えに獲物に急迫する。

 弧を描く双牙は次の瞬間、ユウの二の腕を貫いたように見えた。雄叫びと共に突き上げられた双牙は、恐ろしい勢いで樹齢数十年の木々を薙ぎ倒していく。

 飛び退いた距離が、そのまま明暗を分けた。少年の横、数十センチに魔獣の鼻先が届く。だが、その僅かな距離がユウに与えられた神の祝福だと思えた。土砂を押し退けて巨体が突進してきた衝撃に、少年は砂や埃を手斧を翳して避けるしかなかった。翻弄される少年の身体が木の葉のように揺らされる。

 黄色い魔獣の眼がギロリとユウを捉える。

 巨大な目玉だ。少年の拳より大きな其れが、遠くない場所から此方を見つめていた。

 ユウは視界に入った状況を確認する。其処には傾いだ一本の大木が、魔獣と少年とを隔てているのみだった。

  停止した魔獣の身体がゆっくりと重力に引かれて下へと滑り降りていく。魔獣も四肢でじめんを捉えようとするが、勾配が天運をわけていた。

 魔獣が滑り落ちていく僅かな間に、少年と睨み合う大猪(マッド・ボア)の視線が絡み付く。

 血の気を失いかけた顔で、ユウは喉を嚥下させるしかなかった。

 あれが自分を襲えば、助かる見込みなど無いことを理解させられたからだ。まるで現代日本で表現するなら大型トラックに轢き殺されるようなものだ。

 なおも足掻く魔獣が前脚で地面を穿つや、その体躯を斜面の途中に縫いつけていた。そして、少年を殺すべく牙を向けた。


 「は、はは……」


 乾いた笑いが口を突いて出てくる。しかし、少年を襲う運命は過酷だった。


 「Boooooooaaaaaaaaaaaa‼︎」


 怒れる魔獣の咆哮が、辺りに死と破壊の予感を振り撒く。続けざまに魔獣が起こす前脚での蹴りつけに、今にも突進してくるぞという意気込みのようなものが見える。

 少年の背中を這い上がる得も言われぬ不快な衝動。今や頭の中には盛大に警鐘が鳴り響いていた。


 「ユウ! ユウーー‼︎」


 ダルクハムの声が少年を呼ぶ。

 いつの間にか木々の足場に飛び移って来ていた戦友が、少年を助けるべく参戦していた。その距離は十数メートルといったところか。おそらく直接近付ける手段が無いのだろう。少年の近くに来るには、傾斜地である事などを考慮すると時間がかかり過ぎる。ユウでもそう判断できる距離だ。

 しかし、決して近くはない距離にだが、ダルクがいる。弓手に矢をつがえようと急ぐ友の姿が見える。その事実に、ユウは勇気づけられた。

 二回目の突進が来る。そんな直感がユウの脳裏を掠めた。

 少年がダルクハムの方を見る。咄嗟に叫んだのは、ユウの直感だった。


 「ダルク! パァーース!!」


 手を広げ、あらん限りの声で叫んだ少年に、ダルクハムは驚きより危急の瞬間を感じ取っていた。

 ユウの声に触発されたのか、突然、荒い息を吐きながら魔獣が走り出した。大猪(マッド・ボア)が前進する。斜面の勾配をものともしない馬力でもってユウに迫る。

 その牙は少年を心臓に向けられている。獲物と認めた少年を血祭りにあげるべく、魔獣の牙が向けられる。目の前で動き出した状況(危機)に、ダルクハムは無意識に手を動かしていた。麻痺毒の入った小さな壺を握りしめる。ちょうど鏃に毒を付けていたところへユウの呼び掛けを耳にしたのだ。

 手に当たる感触を目で確かめる余裕もないままダルクハムは其れを投げていた。

 ユウの助けとなるかもしれないなど、意識しないままに、遠投の要領で投げて寄越す。

 高鳴る振動が不安を煽るなか、少年は高く掲げた手で其れを掴む。


 「ナイス!」


 振り返ったユウの眼前に、大猪(マッド・ボア)が急迫する。

 象を彷彿とさせる巨大な体躯が駆けてくる迫力たるや、まごうかたなき死を予感させた。流れる風が魔獣の足音を運び、不吉な匂いすら感じ取れた。


 「おいっ! 思わず投げちまったじゃねぇか!」


 叫ぶ友の声を聞いての反射的な行動に、ダルクハムは自分自身でも納得していなかった。

 少年には矢毒の扱い方すら教えてないのだ。誤って万一自分が毒を喰らえば、僅かな量で成人男性が数分で運動中枢が麻痺してしまうような代物だ。

 今回は特に奈落の主をたおすためだけに、後々、食肉としての利用など考えていない。確実に倒すことだけを考えて致死性の毒を選んだのだ。大型獣を狩る時にのみ使用される麻痺毒を入手したのは、そのような彼の考えに基づいているのだ。

 もしユウが誤って毒に触れたなら、取り返しのつかない事態になることは容易に想像できた。今そのような事態に陥れば、助かる見込みは皆無となる。死地に飛び込んだ男達に危機が迫った。

 突進して来る大猪(マッド・ボア)の全身が見える。集中する少年の目に、嫌にハッキリとした映像が映る。

 力強く躍動する四肢。低く構えられた頭部。二つの牙は邪魔をするものすべてを蹴散らしていく。土埃があがり、その度に宙を駆け上がるようにさえ見える魔獣。その巨体から想像できない俊敏さで迫る勢いは、いまだに信じられないほどだ。


 (これでタイミングが合わなきゃ……。いや、ダメでも何でも合わせるまでだ!)


 決意を宿した目が、少年を支える。立ち上がり我武者羅に走り出す先には、他ならぬ魔獣。

 大猪(マッド・ボア)の目を真正面から睨みつける。大地を踏み荒らしながら死と破壊を撒き散らす死神のような存在感。その死神と対峙する。

 重力を利用して加速する。駆け下りる一歩一歩を慎重に、意識して疾走する。

 彼我の距離が詰まる瞬間、少年が左へと飛び出す。ユウの動きに魔獣が追随する。獲物を逃すまいと巻き上がる土煙。巨大な双牙が天空へと突き上げられた。

 スローモーションのように思える刹那の邂逅は、少年が放る小さな壺を魔獣の口へと運んだ。

 

 「だあぁぁぁー!」


 気合いを入れた少年の叫び声は、魔獣の突進が齎す轟音に掻き消されていたことだろう。

 斜面を勢い良く滑り落ちる少年の姿を樹上から見つけ、ダルクハムに安堵の息が漏れる。これは強運だと言っていい。

 少年の行動を支える確かな心。其れが、運気を引き寄せているとしか思えなかった。

 滑走していく少年を援護するべくダルクハムが矢を引き絞る。ギリギリまで狙いを定めて溜めを作る。


 「ユウ、お前って奴は!」


 視線の先には突進後の硬直か、動きの鈍った魔獣の姿があった。

 小さな風切り音の後、風を切って飛ぶ白い矢は寸分の狂いもなく魔獣の片目に突き刺さった。血飛沫が舞う。その途端、魔獣の口から痛みに喘ぐ咆哮が上がった。

 矢を背中にからった矢筒から取りながら、ダルクハムが口の端を上げていた。その瞳には、諦める事を知らない確かな光が宿っている。


 「ここからが本番だぜ! 覚悟しろ‼︎」









 友の援護を受けて逃げ延びた少年が、斜面の下で立ち上がる。

 お尻を抑えて苦鳴を漏らしたのは宜なるかな。


 「くそ! 痛ってぇ……」


 本気で涙目になりそうなユウが魔獣を睨む。

 かっこ悪い、と溢したのも束の間、すぐさま魔獣との対決を意識する。手にした手斧を持ち直し、ダルクハムを探す。

 滑り降りてきた斜面を見上げるが、段差があるためか魔獣の姿さえ満足には見えなかった。倒れてる木々と凄まじい咆哮が、その存在を知らせてくれる。

 いまだ戦闘は継続しているというのに、ユウはふと辺りの明るさに意識を取られた。いつの間にか明るさを増した空が、ユウ達を見下ろしていた。

 指笛が朝焼けの空に響く。

 合図に気付いた少年のもとへ、高木林の足場から降りたダルクハムが斜面を駆け下りて来る。そのままユウは抱き着かれ、首に手を回される。


 「まったく、お前って奴は! やったな‼︎」

 「ダルク、まだ終わってない! さっき奴の口の中にあの壺を放り込んだんだ。ここが勝負どきだ、戦うぞ!」


 喜びに背中を叩いてくるダルクを宥めて、少年が真顔で言う。その瞳に触発されて、ダルクハムが魔獣を見遣る。


 「なに⁉︎ ホントか?」


 純粋な驚きにダルクハムが聞き返す。少年の瞳が真っ直ぐに自分を見返していた。


 「分かった、任せとけ。俺の矢で奴の右眼は潰した。ここから反撃だ!」


 揃って魔獣との戦闘態勢を取る二人は、顔付きも真剣そのものだ。

 期せずして、魔獣に追加の麻痺毒を食らわせる事が出来たのだ。ここで戦わない選択肢は無かった。


 (毒を喰らった大猪(マッド・ボア)が動けなくなるまでが勝負か……)


 ユウは意外なほど冷静に現状を分析して考えていた。彼の耳には魔獣が低木などを踏み越えて来る音が既に聞こえている。


 「ダルク、あの量の麻痺毒だと、あとどれくらいで効いてくるんだ?」

 「普通なら、すぐだろうな。胃の腑に入った途端、全身に回るはずだからな。いくら奴が“奈落”の主でもだ」


 二人の視線が自然と合う。

 またと無い好機に、どちらともなく声を掛け合っていた。


 「牽制は奴の死角側に回り込むってことでいいな?」

 「風向きには気をつけろ? さっき焚いた匂い袋の煙が都合良く流れてくれるとは思わない方がいいからな」


 頷き合い、二人は何方からともなく駆け出していく。

 牽制と攻撃に二人の狩人が走る。此処に来て漸く二人の息が合い始めていた。

 ユウが素早く死角に回り込み、ダルクハムが弓と短刀で牽制する。木々を盾代わりに接近して少年が手斧を振う。


 「せーのっ!」


 魔獣の剛毛に阻まれて傷は付かないが、それでも構わない。少年が全力の一撃を入れ、魔獣が狙いを変えた隙にダルクハムの放つ矢が首元を正確に射る。僅かに肉にめり込んだ鏃は、次第に本数を増やしていく。手負いの大猪(マッド・ボア)を翻弄して、懸命に戦う。

 地上での戦いとなった第三幕が、こうして切って落とされた。


 「そっちにいったぞ!」


 足元をウロウロするユウ達を潰そうと大猪(マッド・ボア)が踏付けを繰り返す。地響きに揺れる大地を蹴って、少年は駆ける。

 死角側に回り込み、魔獣を翻弄する。その隙を突くように、ダルクハムが矢を放つ。

 怒りの咆哮を真近に聞きながら、少年は足を止めない。


 「ユウ、左だ!」


 ダルクハムからの合図を受けて、少年がクルリと踵を返す。巨体の向きが変わる瞬間、巨大な双牙が少年を襲う。唸る風切り音。巻き上がる土煙。鳴り響く地響き。

 ひとつ間違えば命を落とす。極度に緊張する膠着した戦況が続いていた。

 首を振って少年を追いかける大猪(マッド・ボア)の牙が細い木々を根元から叩き折る。倒れる倒木の影から、二人の狩人が油断なく魔獣を睨む。

 此処にきて、ようやく魔獣の動きに異変が生じていた。

 痺れるような筋肉の震えが大猪(マッド・ボア)の脚を鈍らせていた。


 「様子が……。ハンッ、効いてきやがったな!」


 額を流れる汗も構わずダルクハムが叫ぶ。

 少年が目を向けた時、僅かに魔獣の目元が痙攣しているのが見えた気がした。聞きようによっては苦しげな咆哮を漏らす口元からは、よく見れば涎が片側から垂れている。恐らく内臓は既に麻痺毒に侵されているのだろう。

 その巨躯を支えきれなかったのか、魔獣が脚を縺れさせ倒れた。

 どう、と倒れた体躯の周囲に土煙が舞う。倒れてなお、魔獣はユウ達に狙いを定め威嚇している。

 ユウ達を睨んでくる目に、怨みのような負の感情が覗いていた。


 「よっしゃぁぁ!」


 猛るダルクハムが声を上げた。

 狩猟用の麻痺毒は、川辺に住む毒蛇から取った神経毒を使っていた。一度傷口から体内に入って獣の運動中枢を侵したならば、やられた方は自然回復など見込めない。巨躯を誇る魔獣が脚を鈍らせた段階で、二人の目論見はほぼ達成されていたと言えた。


 (やったのか⁈ ホントに……?)


 息を弾ませて少年が魔獣を見る。離れた場所ではダルクハムがいち早く気付いたようだった。

 手を挙げて、ユウに合図を送ってくる。その合図さえ、何処か信じられないと言いたげに少年は足を向けた。


 「ユウ、こっちだ」


 近寄って見る巨体は、まごう事なき“奈落”の主。まるで巨象かマンモスのような体躯を誇る魔獣が、其処にいた。濃い茶褐色の体毛は鋼のように太く、硬い。筋肉の塊である四肢は、巨躯を支えるため相当な太さを持っていた。さっきからフイゴのような大きな呼吸音が聞こえ、それに合わせて魔獣の胸部が上下していた。

 並み居る魔獣を屠った主。其れに相応しい威容であった。

 倒れた魔獣の目だけは、今も二人の敵を見据えて爛々としている。


 (……聞いたことがある。野生の獣は死ぬ寸前まで痛そうな顔をしない、と)


 ユウは最後を迎える筈の魔獣を見て、何故かそんなことを思い出していた。

 ダルクハムが近くに寄って来る。弓は背中に背負い、手には短刀を把持している。


 「ユウ、頼みがある……」


 勝手な言い草だ、断ってくれてもいいがと前置きしてダルクハムは少年に尋ねた。これまで見たことの無い神妙な顔でだ。


 「こいつに恨みが無いなら、俺に最後のトドメを刺す権利を譲ってくれ」

 「ダルク?」


 意外な申し出に、少年は戸惑っていた。ユウにとっては、この狩り自体特に拘りなどないのだ。見知らぬ世界に来て、突然放り出された場所でダルクハムと出会い、彼に力を貸していただけなのだから。

 ユウを見つめるダルクハムの眼差しこそ、何か事情を抱えている者の其れであった。それが分かったからこそ、少年は二つ返事で承諾した。


 「分かったよ」

 「すまねぇ、恩にきるぜ」


 そう言って魔獣へと向き直るやダルクハムの手が短刀の柄を握り締めるのが分かった。

 短刀を持つ腕の筋肉が緊張に収縮する。尚も少年らを威嚇するように睨んでくる魔獣に、ダルクハムは近寄る。

 深呼吸をするように、ダルクハムの厚い胸板動く。その後、何かを語りかけるように大猪(マッド・ボア)に言葉を掛けているようだ。少年の位置からは何を言っているなかまでは分からなかったが。

 大きな仕事をやり遂げた達成感か、少年の知らぬ過去への感傷か、ダルクハムの表情は伺えなかった。


 「悪く思うな。はああぁぁぁぁー!」


 ダルクハムの掛け声とともに短刀が振りかぶられた。そうして、長年この地に住む人々に災禍を見舞ってきた魔獣へトドメの一撃が刺された。


 「Boooooooooooaaaaaaaaaaaa!」


 怒れる獣の本能が、自らに致命の一撃を与えた相手を教えているのか。

 ダルクハムの刺創は致命傷となっていた。にも関わらず、魔獣の隻眼は少年を捉えていた。突如として大猪(マッド・ボア)が身体を起こし、四肢を踏み締め、少年達に向き直る。強力な麻痺毒を受けているとは思えぬ動きで小山のような巨体が踊る。

 土埃が風に攫われ、魔獣の巨躯が現れる。その威容に改めて畏怖を覚える。

 大猪(マッド・ボア)の気配が殺気を含み、膨らんでいく。二つの牙がユウを狙う。

 震える脚で大地を割らんばかりに踏み締め、魔獣は突進する。

 目前に居た少年の人影が、大猪(マッド・ボア)の其れに呑み込まれた。

 突進した魔獣の咆哮が、一際大きな声で辺りに響き渡った。

 土煙を上げて山肌の斜面に突っ込んだ魔獣が動きを止めていた。それは、どう見ても獲物たる犠牲者に会心の一撃を与えた証拠だった。







 奈落の主による突進が、少年を巻き込む。最後の抵抗を見せる魔獣に、果たして抗う術はあるのか?

 次回、第10話「討伐」でお会いしましょう!

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