side story~パソコン部より日常をお届けします~
私は長谷川真弓、2年生。
パソコン部部長を勤めている。
そしてここは、学園の地下に唯一ある部屋、パソコン室。
今日も、ここではキーボードのリズミカルな音が響き渡っている。
今日は、私達しか知らないであろう日常をここからお伝えしていこうと思っている。
「先輩、プログラムできました…。」
「そうか。見せてみろ。」
「はい。…これなのですが…」
この子は辰野やまめ。
この部活随一の天才プログラマーだ。
「そうだな…ここに検索昨日とかつけたらどうだ?」
「なるほど…!先輩、ありがとうございます…!」
この部活は、
魔法という世界にいながらも、一つ次元を越したヒトの世界にある科学に惹かれ、それを極めようとした魔法使いの集まり…
ではない。
強いて言うなら、ただゲームが好き、だとか、クラスに居場所のないボッチと呼ばれる者が集い、駄弁り、好きなことをしているだけである。
そう、ここは我らの唯一の居場所であり、神聖なる(?)地なのである。
そんなある日。
「し、失礼しますっ!新聞部の者ですがっ!()」
この地に足を踏み入れた上の世界の者が。
「あぁ、お前らか…。いつもとは違うやつらなのだな。」
「せ、先輩達が、僕らに行ってこいって!」
「僕ら…?お前しか見えないが?」
「え?…あ!ほんとだ!あいつら…」
「んー、地下階段真ん中辺りで立ちすくんでるなうー」
「え、な、なんでわかるんで…!?」
「まぁー、この学院の電子機器とかあたしが全部コントロールできるしー?」
この子は鈴城弥富。ハッキングに素晴らしい才能を発揮している2年生。
「や、とみせんぱい、変なこと考えてるときと同じ顔してます…」
「ん?こうするだけよ?」
カタタッとキーボードを弾くと、
「き、きやぁぁぁ!?!?」
四人がなぜかしら部屋に転がり込んでくる。
可愛そうに、ひどく怯えちゃってまぁ…。
「弥富、ありがと。さて、とりあえず聞こうか。今回の用件は?」
「え、えとっ…」
新聞部の少年は早口に、新入部員調査の事だ、と内容を言うと、半ば逃げるようにして出ていってしまった。
「あの少年にも理解できなかったか…。」
この部室を人が避け、入るのを拒むのは、
「さすがにー、暗すぎるんじゃない?」
そう、廊下は何かが出てもおかしくない不気味な雰囲気に、部屋に入ったら真っ暗な中パソコンの灯りだけで生活している私たちである。
目が悪くなる、何て言葉はタコができるほど聞いたが、まぁ、失明したやつは居ないし大丈夫だろう。治癒魔法でなんとかなってる。
「さ、仕事だよ。」
パン、と手を叩くと、暗がりから5人ほど隠れていた部員が出てくる。
新聞部のパソコンにウイルスを送り、向こうに打ったデータがこちらに来るようにして、さらにグラフ化など、難しい作業は私達の腕の見せ場だ。
表舞台に立たない、ということを信条に、裏方に回る私達の日常、少しは見てもらえただろうか。