第2話・1年生の覚悟
「君たちにこの地獄を生き抜く覚悟はあるかい?」
目の前の1年生達は、驚いたように固まっている。
「え、えと…」
ようやく口を開いたのは誠太郎。
「地獄…ですけど、その…」
うつむいてモゴモゴしてると思ったら、ガバッと僕の方を見て、
「それでも、俺の新聞部に入りたいんで!仕事したいんで!」
覚悟はできてます!と言いたげなその目は、隣に並んでいる他の1年生も同じだった。
「いーんじゃない?」
となりで原稿を書いてるシュンが言う。
「あれ見てもやる気になるなら。だって、俺一回やめようかと思ったしw」
そう、こいつは入部をやめようとしていたのだが、そこをなんとか僕がひき留めたんだ。
「そ、そうなんですか?先輩、すごく楽しそうに…」
「まぁ、俺の能力使ってやりたいことやらせてもらってるだけだし?」
「そっか、先輩ってそのカメラで撮れば、その人や物の考えやデータがわかるんですよね!いいなぁ…」
「いいことばっかでもねーよ?」
「え?」
「例えばな?」
シュンが原稿から顔をあげる。
「ここで俺がお前らを趣味で撮ったとする。んで、お前らが、実は俺を嫌いだと思ってるとする。」
するとそれまで見えるよな。
そう言うと、1年生はハッとしたように顔を見合わせた。
「先輩も…大変なんですね…。」
「ま、そゆこと。とりま、あの地獄を見てもやる気があるなら、お前らは新聞部に入る資格はあるよ。な?秋吉。」
「もちろん。大歓迎するよ。」
1年生達の目がやる気でキラキラと輝いていたことを、
僕は忘れられないだろう。