第1話・入部希望調査
それは、もう五月になるようなある日のこと。
「今年も入学式が終わり、新しい一年が入ってきた。」
俺こと三嶺秋彰は、みんなを見渡すとこう切り出した。
「既に誠太郎達みたいに、一年生は本入部届けを提出しているだろう。そこで、俺達に仕事が来た。」
「え、仕事…ですか。」
この少年が、澤部誠太郎。うちの新聞部の ニューフェイスだ。
「おう。毎年のことなんだが、先生がめんどくさがってな…。んで、俺達にアンケート調査、というかたちで入部希望調査をとることになってるんだ。」
「そうなんですか!」
「なんか、楽しそうだね、若葉!」
「うん!ほんとだよね、草葉!」
一年生は、まだ学校新聞を作ったことがないからかもしれないが、とても浮かれている。
「1年生、やる気バッチリだねぇw」
「最後まで続けばいいんだがな」
「…と、いうわけだ。やることは分かったな?」
「「「「はい!」」」」
やっぱ、元気なのが一番…か。
まず始めにやることは、
「んじゃ、1年はパソコン部に行ってこい」
パソコン部に、企画があることを伝え、文書の作成をお願いすること。
「さて、と。しばらく待つか…。」
自分は少し休憩しようと思ってた、そのとき。
「スクープスクープ!!」
…来た。
「何がだよ」
「3ーFの水無月先輩と、2ーBの服部くんが付き合ってる!」
「なんだと!?」
いきなり飛び込んで来たこいつは、蕗野根 シュン。
この学院有数の特殊能力持ちだ。
「ほんとほんと!現場写真と僕のカメラが証拠さ!」
こいつの能力は、カメラで写したものの本心、本性などをすべて暴ける、というもの。お陰で、新聞部では重宝するけど、他のところだと厄介者になるときもある。
「よし!写真と文面を!」
「任せて!」
「に、しても、なかなか珍しいな…水無月先輩が新聞に乗るようなことするなんて…」
「なんかね、水無月先輩、本気らしいよ」
「…なんだと!?」
「ほんとだって!ほら、先輩進学先決まってるし、恋もしたいんでしょ。」
「な、なるほど…。」
ちょうどそこへ、1年生が帰ってきた。
「た、ただいま……です」
「あ、1年生諸君じゃん。なんかあったの?」
出ていったときのテンションの内の20%位で帰ってきた。まぁ、そんなもんだとは思ったけどね。
「とりまパソコン部に行かせたとこ。」
「あ…なるほどね?1年生に魔界を見せた、と。」
「そゆこと。」
「いいの?そんなことして。やる気落ちても知らないよ?まぁ、そしたら僕が全部やるけど((ドヤァ」
「はいはい。そんなもんでやる気がなくなるようなら、この部活にはいられないよ。そうだろう?」
「まーねw」
そこまで駄弁ると、1年生を見て問いかける。
「君たちに、この地獄を生き抜く覚悟はあるかい?」
書き忘れていましたが、若葉と草葉は1年生の女子部員です。
いつか、この子達の物語を書く日が来るといいのですが…。