第2話・いざ美術部へ
「ここが美術部の部室、美術室よ。」
そうやって俺らが案内されたのは、正に芸術は爆発だ、という言葉がピッタリそうな、絵の具が爆発しているドアの前。
「な、なんか、見たらすぐに美術部って分かりそう…っすね…ってか汚い((ボソッ。」
「っ!ここで汚いは禁句よ、耕平!」
「え、なんでっすか、桜先輩」
俺が先輩に問いかけると同時に、バタンッと勢いよくドアが開いた。
「誰だ…汚いって言った奴…。」
「っちょ、え!?」
な、なんなんだよこいつ。
扉の向こうには、恐ろしい魔物…
「魔物じゃないよ、アタシは。」
もとい、サトリがいました。
ってか、めっちゃくちゃ怖いんすけど!
「ああ"?」
「ひぃっ…」
「ま、まあまあ、落ち着いてよ、二人とも?」
「…って、あんた桜じゃない!久しぶりだね!!」
「た、態度が一変した…!?」
俺以外の他の二年も、緊迫から一瞬で解き放たれて、何がなんだか分かんなくなってる。
ほんとに、この人一体何者だ?
「わぁぁぁぁ!!!桜!すごい久しぶりじゃん!!」
「うん!元気してた?」
「あったりまえ!」
会話が弾丸のように飛び交ってて、もう俺には聞き取れねぇや。
桜先輩、ほんとヤバイくらい強いわ…
「せ、先輩…?」
俺の後ろから、如音が恐る恐る声をかけたのと、
「あぁ!この子達が桜の後輩なのか!」
美術部の先輩がこっちを向いたのが同時だった。
その時、俺ら二年の心はひとつだった。
(先輩怖い…!それと向き合える桜先輩って素晴らしいっ!)
そして、俺らの先輩信仰は一層深まったのでした。おしまい。
「終わらせてどうするのよ耕平!」
「って!ひっぱたくなよサチ!」
「楽しそうねぇ、あんたたち。」
そうだ、まだ先輩の目の前…あれ?
「改めて紹介するわね。こっちは、美術部の部長、向井真紀。」
「よろしくな。」
にこっ、と笑いかけられると、全く怖くない。むしろ、すごく人懐っこそう…に見える。
「真紀、ごめんね?私がちゃんと言ってなかったせいで…」
「いいって!人それぞれの感性だからな!んで、さっき言ってた用事って?」
「そうそう、それなんだけどさ…」
「あの先輩…私達と同じような人だ…。」
「雫、どうかしたの?」
「わ、わかんないけどね、サチちゃん。あの先輩、怖いけど、私達と同じオーラが感じられる…。」
さすが元占術部。オーラが魔法使わずに見れるなんて、やっぱすげぇわ。
「同じって?」
「う、うーん…」
そりゃ、簡単にわかったらすげ…
「そうね、同じよ。」
「え、桜先輩!?」
エスパーかよ!俺らの話盗み聞いていたんじゃ?
「ふふ。」
「すごーーく意味深なんすけど?」
「ま、桜の特殊能力だから仕方ないよ。」
「へぇ…って、桜先輩能力持ち!?」
特殊能力とは、魔法使いの中でも一握りの者に、天から授けられる贈り物、いわば、才能みたいなもんだ。
努力ではなんともならないし、誰に発現するかもわからない。
だから、多くの能力者はその才能を隠してるんだ。
「まぁ、ここで立ち話もなんだし、中入れば?」
「うん、そうさせてもらうね。さ、行きましょうか。」
桜先輩に促され、そして、いつのまにか後ろに回り込んでた真紀先輩に半ばビビりながら、俺たちは部室のドアをくぐった。
そこには…
俺達の想像を遥かに越えた創造物が並んでいた。