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私立魔法学院の日常  作者: 月兎
合唱部の日常編
2/10

1話・合唱部の憂鬱

春ですね…。

今年も、桜が綺麗に咲いています。

もちろん、先生や園芸部員の魔法で。

でも、咲いている…ということは、同時に新入生の入学が迫っている、ということ。

私こと緋月桜も、2年前にあの下を通って入学したのです。

「弱りましたねぇ…」

「どうかしたんですか?緋月部長?」

「はぁ…。」

考えるだけで憂鬱になりそうです…

「あの、先輩!私でもお手伝いできることがあれば、教えてくださいね?」

目の前のかわいい後輩、奈津辺サチが、心配そうにこちらをのぞき込んでいます。

「うん、ありがとうね。」

「いえいえ!あの、よければその悩み事、教えてください!私も、先輩の力になりたいんですっ!」

ほんとに、たくましい子だと思う。

「そうね…。ここだけの話にするのもなんだから、みんなを集めてくれない?」

「了解しました!!」

私の、ううん、私が部長を勤める合唱部の悩みごとは…。


「合唱部は、部員が少なすぎますよね。」

まさに、この一言なのです。

今、この第2音楽室にいる生徒は、私をいれても7人。

「あー、確かにそーだねー」

この、やる気のなさげな男子は、副部長の原皐月。私と同じ、三年生。

「さ、皐月先輩、廃部の危機ですよ!何とかしましょうよ!」

この子は、音楽大好き、立野鈴奈。

なにかと周りを気にしてくれる、しっかりものだ。

「でもさ、どうすれば良いんですか?歌が好きなら軽音部に行くだろうし、楽器ならブラスだと思うし。俺らのとこに来る人は、真面目に合唱好きな人だけじゃないっすか。」

こちらは二年男子の鈴木耕平。

「私も分かんないです、先輩。何をするって言うんですか?」

そして、同じく二年、松葉如音(ゆきね)

「…それを話合おうと思ってたの。みんな、部活を宣伝するのにら何か良い方法はないですか…?」

「先輩、それでさっき、あんなに思い詰めた顔してらしたんですね…!」

「さっき…って、サチ、先輩のそんな顔見てたの!?いーなー…」

この子も二年、榎本ゆい。私たち三年生をストーキングする、ちょっと恐ろしい子…。

まぁ、それはおいておくけどね?

「そうなのよ…。今年こそ、何とかして一年生を大量に獲得しないと…。」

「…あの、先輩…。」

あ、珍しい。この子、山野雫ちゃんは滅多に喋らないの。

「うん、どうかしたの?雫ちゃん」

「あの、その…部活紹介のとき以外にも、ビラ…とか…」

「なるほど!配れば良いってことっすか!」

「…(コクリ」

「なるほどね…。うん、いいかも。」

「でもさー、それやるなら、問題はどうやってビラ作るかじゃね?」

「皐月の言うことも、もっともね。絵は魔法では描けないもの。」


魔法は、なんでも出来るわけではない。それがこの世界の普通だし、だからこそ、科学が両立しているの。


「どうする?私たちで下手にビラ描くのは、ちょっとね…」

全員がうーん…とうなり、黙り混んでじゃった…。どうしようかな…

「はぁ。わーったよ、俺に任せろ。」

「え、さ、皐月?」

「先輩、何かいい考えがあるんですか!」

「ああ。」

「何があるの…?」

「いいか?」

そう言うと、皐月はドヤ顔で喋りだした。

「とりま、俺達がビラを配れないり理由って何だ?如音。」

「えっと…ビラを描けるだけの画力がないから。ですよね?」

「そう。なら、俺ら以外で描ける奴は居ないか?んーと、耕平」

「え?あ、えと、そりゃ、その辺の女子や、美術部の奴なら…」

「なるほどね!」

「やっと分かったか、桜。」

「ええ。美術部の人に、何とかお願いしてつくってもらう…のね?」

「そのとーり。どうだ、良いだろ?」

少しドヤ顔がうざ…いえ、なんでもないけど。

「そうね。確かに。なら、私が行ってきましょうか。」

「あの、先輩!」

ゆいが不思議そうに声をあげた。

「美術部の人って、変人が多いって聞きましたけど?アブナイ人達じゃないんですか?」

「あ…うん、そうね。アブナイ人達ではないわ。」

この学校で美術部と言えば、それは変人を意味する。でも、本当は…。

「さーくらー、頼みにいくついでにつれてけば?」

皐月が早くも漫画を読み始めながら、そう言ってきた。

「…そうね。行きましょうか。」


かくして、私達は美術室へ向かうことにしたのです

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