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異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
風の精霊編
90/230

第85話 悪意ある侵入者

おかげさまで500万PVアクセス、60万ユニークアクセス到達しました!

有難うございます。

今後も『異世界を渡りし者』をよろしくお願いいたします

世界樹の根元にて魔力を吸収している奇妙な石を発見した俺は折れた木の枝を使用して手を触れないで石を巨木の根元から遠ざけると、その場に居る長老とジェニスに絶対に石に手を触れない事と誰もこの場に近寄らせない事を言いつけると自分の家に石を入れる入れ物を取りに戻った。

数分後、手に笊を持って再び世界樹を訪れ、器用に石を笊へと載せていく。


「長老、こんな石は見たことがありますか?」

「いえ、ありません。 私も見たことの無い、色々な魔道具が存在しますから、その類でしょうな」

「故意に誰かが此処に置いた可能性があるな」

「しかし此処に来るまでには森の結界を抜けなければなりません。

 結界を通り抜けられる精霊のメダルがあれば話しは別ですが・・・」

「偶然、外部の人間が辿り着くという風には考えられないのですか?」

「それも有り得ません。 貴方様のように精霊様の加護があれば別でしょうが」


どちらにしろ何らかの方法で、森の結界を潜り抜けた部外者がエルフの集落に侵入して石を此処に仕掛けたというのは間違いなく事実だろうな。


「此処にこのような石が置かれている以上、誰かが近いうちに石を回収しに来る可能性がある。 俺は此処で待ち伏せ、侵入者を捕まえてみる。ジェニスや長老には悪いが、エルフの住民や子供達に此処に近づかないように注意を促してもらいたい」

「それは構いませんが、貴方様に危険があるのでは?」

「いや大丈夫。俺は不死身ですから」

「分かりました。 ではお任せいたします」


ジェニスと長老はそれだけ言うと、早歩きで村へと戻っていった。

俺はというと周辺に人の気配が感じられないことをミラやフレイに確認してもらい、亜空間への扉を開いて中に潜んだ。

亜空間の扉は作った本人である俺以外には視覚することができない為、潜むにはもってこいの場所になっていた。 おまけに俺の畑で実った食料もあるし、一石二鳥という訳だ。


異空間に潜んでから1日、また1日と日数が経過していき、5日目の夜半時にようやく2人のエルフではない人間の姿が見受けられた。

どうやって結界を抜けてきたのかは分からないが、此処に居ること事態が動かぬ証拠だ。


「魔吸石を設置してから10日だ。 そろそろ満タンになってるだろうな」

「それにしても良い狩場を見つけたもんだぜ!こんな所に魔力の塊があるとはな」

「ああ、このメダルを奪った、エルフの男に感謝だな。 今頃は魔獣の腹の中で消化されてるだろうが」

「まったくだ。 ハッハッハ!」


『エルフの男』だと!?どういうことだ?

扉の隙間から男達を見てみると、片方の男の手には長老から手渡された赤褐色のメダルと同じものが握られていた。

なるほど、エルフの民を襲ってメダルを手に入れたという訳か・・・。


「ん?おい、魔吸石を何処に置いた?」

「見て分からないのか? 木の根元に転がってるだろうが」

「見当たらないから言っているんだよ!」

「そ、そんなはずは・・・。本当だ、確かに何処にも無いな」


俺は男達が不可視の扉の傍を通り越したのを確認後、男達の言う魔吸石を手に異空間から外に出た。


「そこのお二人さん、探してるのはこの石か?」

「「!? 誰だ?」貴様、何者だ?」


男達は誰も居ない筈の場所より声を掛けられ、かなり驚いているようだった。


「質問に答えろ! お前達がこの石の持ち主で間違いないのか?」

「あ、ああ、そうだ。 ?・・・お前、よく見るとエルフ族じゃなく俺達と同じ人間だな?」

「何故俺達以外の人間が此処に居るのかは知らないが、さっさと魔吸石を返して貰おうか」


2人の男は腰に装備している剣に片手を添えながら少しずつ俺に近づいてきた。


「『嫌だ』と言ったら?」

「お前を殺して奪うだけだ」

「2対1だ、石を返すなら今のうちだぜ!」


脅しの意味も含めてか、男達は腰の鞘から細剣を引き抜いて構えた。


「石をお前達に返す気もないし、お前等をこの森から生きて帰す気もない」


そう応えると、見るからに眉間の血管が浮き上がり顔を真っ赤にして襲い掛かってきた。


「舐めやがって!おい同時に切りかかるぞ」

「了解した」

「馬鹿な奴だ、俺達2人に殺されるがいいーーーー!!」


1人は馬鹿正直に剣を持って俺に切りかかり、もう1人の男も別方向から切りかかってきた。

俺も瞬時に剣を抜き、2人同時に剣で打ち合っていた。


『ガキンッ! キンッ! ガキンッ』


「やるな、だが防戦一方じゃねえか」

「2対1なら仕方あるまい。 次で決めるぞ」

「了解」


剣で打ち合いながらも反則とは思いながら、雷属性の魔法を掌に作っていた。


「これでトドメだーーー!」


わざと隙を作ってやると『これを待っていた!』と言わんばかりに阿吽の呼吸とばかりに、ほぼ同時に別々の方向から剣を振り下ろしてきた。


「お前がな」


『バチバチバチバチ・・・!!』


「ウギャアァァァァァァ!!!」


男は剣を構えたまま気絶し、もう1人も咄嗟の事で判断が追いつかず、同じ様に魔法で気絶した。


(マスター、お疲れ様です。簡単に捕縛できましたね)

(そうだな。 だが気になることを言っていたな)

(『エルフの男からメダルを奪った』ですか? どういう事でしょうか?)

(分からないが、詳しくは縛り上げて尋問だな)


俺はルゥと話をしながら、念のために用意しておいた長いロープで2人の男を背中合わせに雁字搦めに縛り、俺の家へと引っ張っていった。

男2人を無理矢理に引き摺っていったところで夜が明けた。



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