表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
武道大会編
82/230

第78話 次なる異世界へ

明けましておめでとう御座います。 2011年もよろしくお願いいたします!


前回、77話を更新した日にアクセスPV400万到達いたしました。

更に総合評価も8000に達しました。

読んでくれている読者の皆様方に深く感謝いたします

明朝、此れまで世話になった事をレイシアと殆んど会話した事の無い、宿屋の主人であるミディルに深々と感謝をし街の外へと歩みだした。


(此処の世界の人達もいい人ばかりだったな。次の世界も良い所ならいいんだが)

(マスター、その前に火の精霊様に会わないと)

(そうなんだよな・・・長く待たせたことを怒ってなければいいんだけど)

(ミラ様も仰られてたではありませんか、私たち精霊はマスターと同じく不老不死の存在ですので時間という概念があまり無いという事を)

(それでもだよ、どういう理由があるにせよ待たせるのは好きじゃないんだ)


前回のように方位石は持っていないが、感覚で来た道を覚えているため難なく足を進める事が出来た。

街の門を出て約3時間後、身体能力を最大限駆使し襲い掛かってきた魔物を討伐しながら無事に国境である火山へ辿りついた。

つい約2週間前に立ち寄った時に道を塞いでいた騎士の姿は何処にも無く、普通に足を踏み入れる事が可能になっている。


(さて、火の精霊は何処にいるんだろうな)


俺の独り言のような問いかけに答えるように光の玉が輝き始めた。


(主様、火の精霊は火口にて待っていると言っていました。 其方へお願いいたします)

(ん、分かった)


ミラにそう答えながら暫く山道を進むと、三叉路が見えてきた。

分かれ道になっているが道案内などの立て札は何処にも無く、ただ道が分かれているだけだった。

どの方向へ進めば良いか分からなかったが、勘を頼りに左の道を歩いていくと前方に『スコルピオン国』と書かれた看板が目に入り、目を凝らして更に遙か前方に目を向けると見たことの無い鎧に身を包んだ何処かの騎士であろう姿の男達が此方に背を向けて立っていた。


「どうやら此方の道では無い様だな」


来た道を引き返し三叉路へと戻るとイスラントールから見て右の道へと足を進める事にする。

先程の道と同じ様に暫く歩いていくと、またしても道が2方向に分岐していた。

ただ先程とは違い木で作られた立て札が分岐点のほぼ中央の地点に立てかけられ、こう書いてあった。


←火口(危険なため足元に細心の注意が必要)  サウスラーズ国国境→


俺はサウスラーズがどんな国なのか気になりながら、火口への道を歩みだした。

山道から外れて今にも崩れそうな山の斜面を、足元に細心の注意をはらいながら歩き続ける事、凡そ1時間。

ようやく山の頂上ともいえる噴火口へと辿りついた。


(さて、到着したは良いが火の精霊は何処に居るんだ?ミラ、知らないか?)


腕輪に嵌っている光の宝玉に意識を集中させて光の精霊である、ミラを呼び出す。


(主様、火口に到着なされたのですね。今、呼んでみますので暫くお待ち下さい)


ミラからの応答後、光の宝玉が一際激しく輝いたと思うと、それに呼応するかのように火口の底から赤い輝きを放つ何か(・・)が明滅しながら俺の目の高さまで上がってきた。


(私を呼んだのは誰?)


上がってきたのは赤く光る薄っすらと人型を模した影だった。

精霊でも寝坊するのか、片手で顔の目の部分(頭のような輪郭の)を擦りながら話しかけて来た。


(火の精霊!主様の前ですよ!?)

(ん~~? 主様? ・・・・・・・・・! 主様ですってーーーー!?)


人の形をした靄のような赤い影は咄嗟に俺の方を向いて何度も頭(?)を下げていた。


(なぁミラ、此れが火の精霊か?)

(誠に残念な事に・・・)

(主様! みっともない所をお見せして申し訳ありませんでした!!)

(それはもう良いから。何があったんだい?)

(実は数日前に火山の麓で2国でのいざこざが起きていて見るに耐えない物だったんです。 それで私達精霊は静かな場所を好む性質があるので、マグマの中で外部の騒音が聞こえないようにして眠っておりました)

(それじゃあ、熟睡している時にミラから呼ばれて眠気眼で返事をしたわけか)

(面目次第もございません)


火の精霊は何度も何度も頭を下げていた。


(気にしてないから、悪いが契約の証になる宝玉をもらえるか?)


一応は頼みごとをするわけだから精霊に頭をさげると、火の精霊は慌てだした。

(悪いなんてとんでもない! 仮にも貴方様は神様なのですから、私達精霊に頭を下げるなんて事はしないで下さい)

(そうなのか? 俺はまだ神には成ってないが?)


こんなやり取りがゆうに30分は続き、双方が疲れきっていた。


(それでは主様、御手数ですが精霊の腕輪を私の方に向けてください)

(こうか?)


精霊に言われるままに腕輪を装備している左手首を精霊の居るほうへと差し伸べた。

その瞬間に赤い人型の靄の中から赤い宝玉が飛び出し、腕輪へと移動した。


(これでやっと2つ目か。先は長いな)

(ところで主様? 御手数でなければ、お願いしたい事があるのですが・・・)

(ん?なんだい?)

(光の精霊に聞きました。 というか思いっきり自慢されたのですが、名を与えて貰えませんか?)

(そういえば、ミラもそんな事を言っていたな。 火の精霊か・・・)


火に関係する言葉というとファイア、フレイム、マグマ、メラ、イフリート・・・って段々、訳の分からない方向に行ってしまっているな。

赤い靄だけで性別は分からないけど、口調から言って女性だよな。


(マスター? 精霊は基本的に人間的に言うと女性しか居ませんよ?)

(うわっ!?吃驚した。 行き成りだな)

(そうは言いますが、頭の中で考えていた事は私を含めてミラ様や火の精霊様にも丸聞こえでしたよ?)


ルゥに言われ、火の精霊の方を見るとコクコクと頷いていた。


(それじゃあ、火の精霊という事で安直で悪いが、フレイというのはどうだ?)

(私の名はフレイ・・・・・ですか?)


火の精霊であろう靄は腕組みをして考えている。


(気に入らないなら、別の名を考えるけど?)

(いえ、大丈夫です!私はフレイですね。 主様、此れからもお願いいたしますね)

(ところで前々から気になってたんだが、俺だけ主様というのも変だからな名前で呼んでくれないか?)


俺が発言すると今まで黙っていたミラも名前を付けて貰って喜んでいたフレイも表情が凍りついた。


((主様、そんな恐れ多い事は出来ません! 神様を名前で呼ぶなど、以ての外です))


2人揃って怒鳴られてしまった・・・。


(そんな大袈裟な事か? 俺は普通に呼ばれたいだけなんだが)

(((大問題です!!!)))


最終的にルゥまでが精霊たちに加わり、俺の『名前で呼んで欲しい』という願いは音も無く砕け散った。


(それで主様、今すぐに次の世界へと渡りますか?)


ルゥ、ミラ、フレイの3精霊の話し合い(?)終了後、ミラが問いかけてきた。


(特に此処に居る理由は無いんだが、少し気になっていることが)

(如何かなさいましたか?)

(ついこの前まで此処で争っていたサウスラーズとはどのような場所なのかと思ってな)

(それなら私が説明いたします)


フレイは胸(?)を張り、サウスラーズについて語りだした。


(サウスラーズは主様がつい最近までいらしたイスラントールの約2倍の国土を持っていますが、その土地の約7割が砂漠と化していて人の住める土地ではありません。 そのためサウスラーズの国王は比較的豊かな土地であるイスラントールやスコルピオンに幾度となく攻め込んでいるという訳です。 撤退途中の兵士の会話を聞く限りでは国に大変な事態が起きたらしく、味方の兵士に怒声を浴びせながら大急ぎで山を降りていったようでした)

(そうか今行くと別の騒動に巻き込まれそうだしな。 それじゃあミラ、次の世界に送ってくれ)

(分かりました)


ミラが一際激しく輝いたかと思うと、俺がこの世界にいたという記憶とともに、俺の姿がこの世界から掻き消えた。



やっと2番目の世界が終了しました。


最初は1個の世界あたり、14~15話のペースで仕上げていく予定でしたが色々と書き記したい事が増えていき、何時の間にやら30話近くも書いてしまいました。


今現在の状況では完結までにどれ程の話数と時間が掛かるか予測すら出来ませんが、此れからも『異世界を渡りし者』をよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ