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異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
武道大会編
80/230

閑話④ 黒騎士

やっと黒騎士登場の回から構想を練っていた閑話が完成いたしました。


黒騎士の正体が気になっている読者様も少なからず居ると考え、この話を作成しました。

準決勝戦が終了した後、城内のとある控え室にて1人の青年が黒い鎧を脱いでいた。

すると其処へ青い鎧を全身に見に纏った厳つい男が兜を小脇に抱えて話しかけて談話しだした。


「ふぅ~」

「ケイアス様、御奮闘でしたがあと一歩及びませんでしたね」

「ん?ロウエンか、いや師匠と呼ぶべきかな?」

「ロウエンで結構ですよ。 してレイモンド卿との対戦の手応えはいかがでしたか?」

「やっぱり強いね。全然敵わなかったよ」

「俄仕込みの訓練にしては良いところまで行けたんじゃないですか?」

「お世辞は言わなくてもいいよ・・・対戦した僕が一番良く分かっているからね」


青年と全身鎧を身につけた男が会話していると別の軽鎧を着た男が脇腹を押さえながら控え室に入ってきた。


「タルカス、具合悪そうだな・・・大丈夫か?」

「はい。なんとか」

「タルカスにしては呆気ないほど簡単に負けたんだな」

「俺も今年こそは優勝を狙って決勝戦でレイモンド様と戦うつもりだったんですが・・・」

「まぁね、僕達の間でも決勝戦の組み合わせの予想はレイモンド卿vsタルカスだと思っていたからね」

「おや?御自身vsレイモンド卿の決勝戦は考えられなかったのですか?」

「一朝一夕の訓練で其処までいけるほど武道大会は甘いものじゃないよ」


3人の男達が武道大会の事を各々話し合っていると、パタパタという足音とともに妙齢の女性が息を切らせながら控え室に走り込んできた。


「ハァハァ・・・ケイアス殿下、このような所に居られましたか。 国王様がお呼びです玉座の間までお越し下さい」

「もしかしてバレたのかな?」

「何の事を言っているのか存じませんが『急ぎ連れて来い!』と強い口調で私達に命令されておりますので機嫌はあまり宜しくないかと」

「殿下、頑張ってください」

「お気をつけて・・・」

「2人とも他人事だと思ってぇーー!」

「ほらほらケイアス殿下、行きますよ?」


ある意味、黒騎士としてレイモンドと戦ったケイアス皇子よりも力強い妙齢の女性は半ば皇子を引き摺るようにして玉座の間へと連れて行く。

その後、イスラントール城にある部屋の一室には一晩中明かりが点いたままとなっていた。


そして瞬く間に夜が明け武道大会決勝戦当日を迎えた。


「それでは只今より、第38回イスラントール武道大会決勝戦を行ないます!!」


武道大会司会の発言のもと、最後の対戦である決勝戦が始まろうとしていた。


王族達が座る観客席の一番高い場所には国王が座り、その横には皇子であるケイアスがやつれた様な表情で椅子に沈み込むようにして座っている。

更に皇子と国王を間に挟むようにして青い鎧で全身を覆っている重騎士が2人と正面には杖を持った魔術師が不慮の事態に備え、緊張した表情で立っていた。


「ケイアス、お前は我が亡き後この国を背負って行かねばならないのだぞ?軽はずみな行動は慎め」

「はい。 父上」

「しかし、こう言っては不謹慎だが、お前がレイモンドとあれ程までに渡り合えるほどの実力を持っていようとは・・・国王の立場から言えば許せぬ行為だが、個人としては嬉しくもあり複雑な気分だな」


国王の顔は険しい表情から穏やかな表情へと変化し、何処か嬉しそうな表情を醸し出していた。


「父上、司会による選手紹介も終わりましたし、そろそろ試合が始まるようですよ」


ケイアスがそういうや否や一言二言の会話後、レイモンドとミコトとの剣の打ち合いが始まった。


「ふむ、ケイアスはこの決勝戦如何みる? 片や近衛騎士名誉顧問という肩書きをもったレイモンドと無名の剣士でありながら魔法を使ってフィンケルやタルカスを打ち破って決勝に勝ち上がったミコトとかいう剣士。 どちらが勝つと予想する?」

「レイモンド卿は御高齢でありながら近衛騎士隊長以外では誰一人として敵う者が居ないつわものですが、相手のミコトとかいう剣士も只者ではないでしょう。 フィンケルやタルカスは運だけで勝てるほどあまくありません」


そんな会話がされている間に決勝の舞台では、ミコトが風魔法の陰に隠れながらレイモンドに切りかかる行為が行なわれていた。


「ほうレイモンドとほぼ互角に打ち合える者が近衛隊長以外に存在していようとはな」

「やはりレイモンド卿は僕の時に本気を出されていなかったようですね・・・」

「ん?どうやら試合に変化が訪れたようだな。 大気が目に見えて震えておるぞ」

「舞台の周りにいる魔術師達は何をしているのでしょうか? 皆一様に蹲っていますね」 


レイモンドと会話があった次の瞬間にはミコトが持つ白銀の剣が魔力を伴って黄金色に光り輝きだした。

その波動に連動するようにして国王の前で不慮の事態に備えていた魔術師も舞台の周囲に居る魔術師と同様に身体を震わせて蹲ってしまっていた。

観客席で試合を見ていた一般の魔術師も同様で、中には気絶している者さえいるようだった。


「皆、如何したのだ? 何があった!?」

「も、申し上げます。 あのミコトという剣士から有り得ないほどの魔力が放出されております。 あれだけの魔力で魔法を放たれた場合、私ども結界魔術師が100人がかりでも防ぐ事は出来ないでしょう」

「並みの者ではないと思っていたが、それほどのものとは・・・」


そして一気に決着がつく事となった。レイモンドが持つ剣は原型をとどめないほどに粉砕され、ものの数秒後にはミコトとレイモンドを直線で結ぶ延長線上にある闘技場の外周壁すらも轟音を立てて崩れ去っていた。

壁を破壊した轟音と同時に魔術師を苦しめていた魔力は切れ、次の瞬間には魔術師ほぼ全員が緊張の糸が途切れたかのように地面に突っ伏していた。


「それまで!レイモンド選手の剣が砕かれた事により第38回イスラントール武道大会優勝者はまさかの大番狂わせ、無名剣士ミコト選手に決定いたしましたーーーー!!」

「父上、司会が言うように大番狂わせが発生したようです」

「まさかレイモンドが負けるとはな・・・」


その頃ミコトは自分の攻撃によって傷を負ってしまったレイモンドを治療し舞台を降りてしまっていた。


「あのような実力を持つ者を見過ごす手はないな。タルカス!ロウエン!あのミコトとやらを騎士団に入隊させよ」

「宜しいのですか?」

「何としてもミコトを我が国の騎士にするのだ!まかり間違っても他国に・・・特にサウスラーズに取られるような事態は回避すること。 更にもし仮にタルカスの呼びかけにより騎士入隊が決まった場合はタルカスの手柄とし、タルカスの隊に所属させる物とする」

「「了解いたしました!!」」


こうして本人の知らないところでミコト争奪戦とも言える勧誘劇が開始され、騎士隊隊長であるタルカス、近衛騎士隊隊長ロウエン、魔道騎士隊フィンケル達を始めとする魔術師や騎士達が我先にと動き出したのであった。




2度の不運な出来事により執筆中の文章が消えるというアクシデントがありましたが、負けずに完成いたしました。


1度目は保存せずにトップ頁に戻った事で全てが消え・・・・

2度目はタイトルを入力せずに“編集〔確認〕”を押して全て消してしまいました。


皆さんもこのような馬鹿みたいなポカミスをしないよう注意してください。

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