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異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
武道大会編
75/230

第72話 2人の達人級

お待たせして申し訳ありません。


やっと完成し更新することができました

『キンッ!キンッ! ギリリリリリ・・・・・。ガキンッ!』


対タルカス戦が終了してから約5分後に準決勝第1試合、レイモンド対黒騎士戦が始まったのだが・・・

試合開始直後の十数分は2人とも常に一定の間合いを保ちながら相手の出方を見ているようだったが、ほぼ2人同時に剣を抜きながら舞台中央へと走って行き、剣での打ち合いを始めた。

片やレイモンドはバルック戦で抜く素振りも見せなかった腰の剣を躊躇なく引き抜き、黒騎士もガルザード戦で抜かなかった、もう片方の剣を抜き腕に装備している盾を投げ捨て防御無視での二刀流で戦っている。

傍から見ればレイモンドの剣1本対黒騎士の剣2本の戦いなので黒騎士のほうが有利に見えるが、レイモンドも剣一本で難なく黒騎士の攻撃を全て防いでいた。


剣での打ち合い開始から既に30分は経過しているのだが、2人の体力には底が存在しないのか最初と同じペースで息を切らせてないどころかレイモンドの顔には若干の笑みがこぼれていた。

最初の10分間は闘技場に集まった観客達も大歓声で応援していたのだが、同じ光景を30分も見続ければ流石に飽きて来る。


俺も開始直後は達人級マスター同士の戦いという事で目が離せなかったが、今は次の対戦者である魔導騎士のフィンケルと和やかに会話していた。


「一体、何時まで打ち合っているんだ?あの2人は・・・」

「仕方ありませんよ。レイモンド様は私達、近衛隊が隊長以外の全員で掛かっても倒せない御方なんですから」

「其れを言うなら互角に戦っている黒騎士は近衛隊以上の強さを持っているという事になりますよね?」

「認めたくはありませんが、その通りなんですよね」


此処で試合には関係ないが、気になることがあったので少し聞いてみることにした。


「なぁ、開会式のときに空を飛んでいたが、あれはどうやったんです?」

「突然ですね・・・。あれは風の魔法の応用ですよ」

「風の魔法?俺の知り合いに風属性の魔術師が居るんだが、誰にでも空を飛ぶことは可能なのか?」


俺の知り合いというか俺本人の事なんだが・・・・・・。


「修行次第で使えるようになるとは思いますが、魔力量がある程度は必要になりますよ?」

「そういえばフィンケルの対戦相手だった、ログナートも空を飛んでいたよな」

「あの方の魔力値も一般の魔術師と比べれば多いほうでしたね。 私の魔法にあれだけの長い時間、耐えられたのですから」

「実際にはどうやって飛んでたんだ?」

「理屈としては簡単な事ですよ? 身体の周りに風の膜を作って外気との遮断をし、自分の体重を“0”の状態まで持って行き、あとは進みたい方向とは逆の方向に魔力を放てばいいのですから」

「簡単に言うが、出来るまでにどれだけの時間が掛かったんだ?」

「私の場合は1年半でしたね。 すいませんが、ログナート戦で消耗した魔力を回復させたいので精神集中に入らせていただきます。 貴方からも並々ならぬ強さを感じましたので全力で戦うためにも私の魔力を回復させなければ・・・」

「分かりました。試合を楽しみにしてますね」


フィンケルは声を出さずに首を縦に振ると、座禅を組んでいるかのような体勢で目を瞑り、微動だにしなくなった。

その頃、舞台上でのレイモンドと黒騎士戦はというと・・・。


「オヌシ、中々やるのう! 近衛騎士隊長以外で我を此処まで梃子摺らせるとは長生きはするもんじゃ」

「・・・・・・・・」

「だんまりか? まぁいいじゃろ、体力の続く限り打ち合おうぞ!」

黒騎士はレイモンドに応えたのか、ただの振りなのかほんの少し首を縦に振っていた。


『キンッ!キンッ!キンッ!ギリリリリリリ・・・・・』


数秒の間だけ剣戟が止んだと思ったが、直ぐにまた舞台中央での打ち合いが始まっていた。


「爺さん噂に聞いていた通り、中々手ごわそうだな」


さてと、フィンケルの魔力量がどれだけあるのかルゥに聞いてみることにするか・・・。


(ルゥ、頼みがあるんだが構わないか?)

(マスターの考えている事は分かります。それでは計ってみますね)


ルゥが黙り込んでから数秒が経過した後、不意に念話が届いた。


(魔力値計り終えました。フィンケルさんの魔力量はマスター流にいえばクラス20ぐらいですね)

(クラス20か・・・それなりに強いみたいだな)

(そんな事はありませんよ? マスターの魔力値が多すぎるのでそう思うだけです。 一般的な魔術師の魔力はクラス5~10が普通なんですよ?)


『ギンッ!ギンッ!ガギン!!』


ルゥと話していると、先程までの剣戟の音とはまるで違う怪しげな音が聞こえ出した。


「ふむ、どうやら決着が着きそうですね」


俺の横で精神集中を行なっていたフィンケルが目を開け、舞台を見ていた。


「如何して決着が着くと?」

「レイモンド様か黒騎士の剣かは分かりませんが、剣の耐久度が損なわれたようですね」


そうフィンケルと話していると・・・・。


『ガキンッ!ガキンッ!ビキッ!バキンッ!』


聞きなれない音が聞こえたと思うと、舞台でレイモンドと打ち合っている黒騎士の剣の1本が根元から砕け散り、もう片方の剣も縦に大きなひびが刻まれていた。


「それまで! 激戦の末、準決勝第1試合の勝者はレイモンド様になりましたーーー!」


司会の言葉を聞き、黒騎士は片膝を落とし舞台上に項垂れ、レイモンドは勝ち名乗りを上げたあと黒騎士に近づきそっと肩に手を置き声を掛けているようだった。


「それでは続きまして準決勝第2試合、フィンケル選手対ミコト選手の試合を始めたいと思います!」


さて、漸く俺の試合が開始されようとしていた。





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