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異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
武道大会編
70/230

第67話 想定内の展開?

何とか最新話が完成し、更新いたしました。


一気に大会本戦まで話を飛ばしても良かったのですが少しだけ話を挟むことにしました。

武道大会の予選が無事に終了し、宿屋へと戻った俺は酒場にて他の客から噂の的にされながら夕食を食べていた。


「兄ちゃん、あんたに賭けてるからな! 負けないでくれよ?」

「それは分かりませんよ? 勝負は時の運ですから・・・」

「でもなぁ、兄ちゃんが負けたら俺は破産だ。 母ちゃんに殺されちまうよ」

「お前は殺され慣れているだろうが! 酒で殺され、浮気で殺され、今更殺されても構わないだろう?」

「ちげえねえ!」

「「ハーハッハッハ!!」」

「皆、人事だと思いやがって・・・。」


俺に全額賭けたと言う男が他の客からも馬鹿にされ続け自棄酒を飲んでいるようだ。


「実際のところ、結局幾ら賭けたんだ?」

「・・・・・・10000リル。」


男は酒を飲みながら言いづらそうに呟いて金額を口にした。


「10000!? 給料の半分近くを注ぎ込むなんて、幾らなんでも賭けすぎだろう!? こりゃ決勝の日がコイツの命日になるな」

「そう言うお前らは、幾ら賭けたんだ?」

「俺は小遣い稼ぎ程度の500リルだな。 お前は?」

「俺も700リルってとこだな。 此れぐらいなら財布も傷まないしな」

「畜生! レイシアちゃん、酒!!」

「飲みすぎですよ~~~。御身体、壊しちゃいますよ?」


俺はそんなやり取りを見ながら食事を終了し部屋に戻る事にした。


「ご馳走様、美味しかったよ」

「ありがとうございました! 本戦も頑張ってくださいね」

「兄ちゃん! 絶対、絶対に勝ってくれよ!!?」


レイシアと酔っ払いに手を振って部屋に戻りベッドに横になろうとすると、ルゥから念話が届いた。


(マスター御手数ですが、夢の世界へと来てもらえませんか?)

(如何したんだ?)

(光の精霊様・・・。いえ、ミラ様から大事なお話があるとかで)

(ミラから!? 連絡がついたのか?)

(はい。非常に焦っているような口調でした)

(分かった。直ぐに行く!)

(お待ちしております。)


俺はベッドに寝そべったまま、剣の柄を握り締め眠りについた。

最初の頃とは違い、今では意識を自分でコントロールする事により何時でも夢の中の世界へと行く事が出来るようになった。

急いで夢の中へと足を踏み入れると、其処には土下座のような格好で頭を下げているミラの姿があった。


「ミラ!? 如何した、何があった!」

「主様からの再三の呼び出しに応じられなかった事を此処に謝罪いたします。」

「ミラ、そんなことは気にしなくても良い。 精霊にだって事情があるだろうしな」

「そう言って頂けると、心が休まります。」

「それで? ルゥの話では大事な用があるという事だったが?」

「其れなのですが・・・まことに申し訳ありませんでした」


俺は大事な用とやらを聞くと、ミラは先程よりも深く頭を下げ始めた。

ルゥも最上級の精霊が深々《ふかぶか》と頭を下げている様子に困惑していた。


「だから、謝らなくてもいいって。 何を聞かされても怒らないからさ」

「分かりました。 それではご説明させていただきます。 主様から御名前を頂いた日に嬉しさのあまり、他の火の精霊や水の精霊といった他の上級精霊に自慢してしまいました」

「それぐらいなら別に構わないが?」


精霊だって意思がある存在だし、一々何とかの精霊なんて言うのは邪魔臭いしな。


「此処からが本題でございます。 自慢した後、他の精霊達から私だけが主様から名前を貰うのはズルイという事で、皆から責められたのでございます」

「なんとなく答えが見えてきたような・・・。」

「恐らくは主様の考えている通りでございます。 他の精霊から『自分達にも名前を付けて頂きたい』との申し出が多数寄せられました」

「なるほど・・・。」

「それで主様さえ御迷惑でなければ、御手数ですが他の精霊達にも名前を付けて頂きたいと」

「分かった。次の精霊に逢うまでに考えておくから『楽しみに待っていてくれ』と伝えてくれ」

「ありがとうございます。早速、行って参ります」


ミラはスッと立ち上がると音もなく、その場から消え去った。


「恐らくですがミラ様は自分が不用意に自慢した事により、他の上級精霊様からの頼み事でマスターに怒られると思っていたんでしょうね」

「そんな事ぐらいで俺が怒るわけがないだろうに・・・。 そりゃ少しは面倒くさいとは思ってしまったが、精霊に名前を付けるぐらいで土下座はないと思うが?」

「マスターは何れ神様になられる御方ですからね。 一番偉い方に頼み事をするなんて、畏れ多い事なんですよ」

「神なんて自覚、ないんだけどな・・・。」

「この旅自体が神様への道ですから、遅かれ早かれ神様になることは確定ですよ?」

「面倒臭いが仕方ないか」

「マスターって結構、面倒臭がりやなんですね」


俺は夢の世界から出て改めて眠りに着くと、明日は何をしようかと考えていた。


「明日は如何しようかな。 街の中をブラっと散歩でもしようかな」


考えながらも予選での疲れの所為か、瞬く間に眠りについてしまった。




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