第7話 討伐依頼① 出発
思ったよりも早く完成できたので更新する事にしました。
今日こそは依頼をこなそうと、フル装備でギルドへと向かった。
「あっ!ミコトさん、昨日は大手柄だったらしいですね。」
ギルドへ足を踏み入れた瞬間、目が合ったローラに話しかけられた。
「今日は依頼を受けに来たんだけど。」
「そういえば、依頼書の見方を教えてませんでしたね。」
確かにギルドランクの事やランクアップについては教えてもらったが、依頼書については何一つとして教えてもらってはいなかった。
「では、この窓口の右側を見てもらえれば分かると思いますが、掲示板に依頼書が貼られています。」
ローラの言ったとおり、壁のボードにはギッシリと採取や討伐といった種類別に沢山、貼ってあった。
「それでは、依頼書についての説明なんですが依頼には大まかに分けて4種類あります。一つは雑用と言われるものです、表現は悪いのですが簡単に言うと城下町に住んでいる市民の方々の我侭を聞くような内容です。」
「我侭?」
「はい、例えば“溝掃除をしてくれ”だとか“敷地内の草むしりを頼む”だとかですね。」
「それはまた・・・」
「まぁこれ等の雑用依頼はH~Eランクの仕事ですのでBランクであるミコトさんには、あまり関係はないです。」
「たしかに現在のランク以下の仕事は昇格の条件には当てはまらないからな。」
「その通りです。続けて2つ目は採取の依頼内容ですが、此れも各々《おのおの》の仕事内容は変わりますが基本的には“鉱山から鉱石を採取してきて欲しい”とか“薬の材料になる毒草や薬草の採取”などです。」
「薬草は分かるが、毒草は何に使うんだ?」
「其処まではギルドの追求範囲外です。」
毒草を使うものなんて思いつかないんだが・・・。
「3つ目は討伐依頼になります。ミコトさんも知っての通り、既にミコトさんによって討伐された“山賊5人衆”や昨日捕まえた強盗団の頭などが対象となります。」
「山賊は殺してしまったが、問題はないのか?」
「討伐対象として手配される者達は基本的に生死は関係ありません。さらに凶暴な魔物も討伐依頼になります。」
「ドラゴンとかか?」
「いえ、ドラゴンは希少生物として保護されているので余程の事が無い限りは対象にはなりません。」
ファンタジーで言えばドラゴンが絡むと思ったが、特別の存在のようだ。
「最後は町から町への商人などの護衛依頼です。」
此処以外の町は知らないから今度、試しに受けてみようかな。
「あとは極稀にですが、騎士団からの依頼として騎士に協力しての特別任務が出る事があります。」
「騎士の依頼か。」
「ただし、依頼を受けれるのはAランク以上とし、成功すればかなりの報酬がもらえます。」
俺はまだBランクだから不可能か・・・・。
「次は依頼書の注意事項を説明します。
依頼書の上部には必ずランクが書かれているので受ける前に確認をお願いいたします。
更にこれは全ての依頼に共通する事ですが依頼書には何日以内に依頼を完遂させるかが記入されています。
もしも期限までに達成できなかったり、何らかの事情で遂行が不可能になった場合、報酬の一割を罰金として徴収いたします。」
すると報酬が銀貨10枚の仕事は失敗すると銀貨1枚が罰金として取られるわけか・・・
「あまりにも失敗が多かったり態度が悪いようだと、ギルドランクの降格処分が下されます。」
「依頼について質問してもいいか?」
「構いませんよ、どのような事ですか?」
「それじゃあ、討伐依頼でだが例えば、とある魔物を退治しろと言う依頼だった場合、倒したという証拠はどうするんだ?」
「それでしたらミコトさんの後ろに本棚がありますよね?」
真後ろに顔を向けるとギッシリと本が詰まった棚が見えた。
「ああ、此れがなにか?」
「この本の中には魔物の生態についての情報が詰まっています。魔物の形状から弱点、そして討伐証明部位などの情報。ただし此れはギルドからの持ち出しは禁止しているので、討伐に出かける前に目を通して暗記してください。」
一度に説明されて何がなにやら、混乱しているとローラから声を掛けられた。
「流石に一度で憶えきれないと思うので分からない事があれば何時でも遠慮なく聞きに来てください。」
「ああ、ありがとう。じゃ早速、依頼を探してみる事にしよう。」
ローラに手を振りながら掲示板の前へと歩いていき、依頼を虱潰しに見ていく・・・
「え~と・・・」
・G級雑用依頼:報酬は銅貨10枚、期間は3日間で内容は敷地内の草むしりか・・・
自分でやれよ、それくらい。
「次は?」
・F級雑用依頼:報酬は銅貨30枚、期間は1週間で内容は隣の婆を痛めつけてください!?
雑用どころか犯罪行為じゃねえか!
「気を取り直して・・・」
・B級討伐依頼:報酬は銀貨10枚、期間は5日以内に畑を荒らす魔物、ワイルドウルフを5匹討伐か
これが良さそうだな。
俺は依頼書を掲示板から外し、依頼書を持ったまま壁にある魔物辞典を開いてワイルドウルフの頁を閲覧した。
其処には手書きで頭に1本の角が生えた狼のような姿が描かれていた。
「なになに、ワイルドウルフは雑食の魔物で爪の先から出る毒に注意。討伐証明部位は頭の角か。」
辞典を元通りに本棚へと片付けた俺はローラの居る窓口へと赴き、依頼を受ける事を申し出た。
「ワイルドウルフの討伐ですね、場所は元ディル村の近くになりますが宜しいですか?」
「ディル村とは?」
「ミコトさんが山賊5人衆を討伐した場所がディル村ですが、山賊に皆殺しにされて生き残りが居なかったため廃村となりました。」
「そうか、あの村か。」
「えっと証明部位を入れる袋は・・・お持ちですね、失礼しました。」
この前、道具屋で余分に買った道具袋をローラが見て、確認したようだった
「一つ注意なんですが、間違っても薬草の入っている道具袋に証明部位を入れたりしないようにしてくださいね。よく間違える方が居るのですがその場合、薬草が血生臭くなってしまい、使用できなくなってしまいますから。」
緑色の綺麗な薬草が魔物の一部から流れ出る血液により、真っ赤な液体が滴る血みどろの赤い薬草に変わっていく様子を想像してみると・・・。
「ま、まぁ気を取り直して討伐しに行ってくるよ。その前に銀行で此れを預かってくれないかな。」
そう言って俺は歩くたびに腰でジャラジャラと音を立てている硬貨を手持ちの銀貨1枚を残し、所持金の銀貨43枚を銀行へと預けた。
「確かにお受け取りいたしました。」
そう言って後ろ手でローラに手を振りながら町の外へと歩いていった。
7話にして、やっと街の外に出発です・・・。