表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
火の精霊編
65/230

第62話 登山道にて

久しぶりに39度8分という高熱の酷い風邪を引いてしまいました・・・


朝になって漸く37度5分まで下がったので更新をしようと思います。

荒野で魔物を食べてから更に数時間走り、火山の麓の登山道へと到着したのだが道に赤い鎧を着た2人の男達が立ち塞がっていた。


「ん?君は冒険者かい?すまないが隣国と小康状態になっていてね、通行は制限されているんだ」

「何時ぐらいに規制は解除されるんですか?」

「それは皆目検討がつかないね。おっと、無理に立ち入る事はできないよ? 我々、イスラントール騎士団と火山の頂上付近で睨みあいを続けている、サウスラーズの騎士達が至る所に居るからね」

「それじゃあ、如何しようかな・・・。」

「それなら、此処から西の方向に3日ほど歩いた場所に王都があるから、其処で規制が解除されるまで居るといい。かなり目立つから道に迷う事はないと思うよ」

「規制が解除されたと知るには、如何したら良いのですか?」

「街のギルドに騎士隊から情報が行く事になっているから、規制が解除されればギルドの掲示板に貼りだされると思うよ」

「分かりました。では、そうします」

「最近、巨大な魔物がこの周辺で目撃されているから出会ったらなるべく逃げたほうが良いよ」


すいません。その魔物なら既に俺の腹の中です。

さて騎士のいう王都に向かおうと思ったのだが、西がどっちなのか分からずに再度、聞いてみることにした。


「すいません」

「ん、何だ君か?今度はどうしたんだい?」

「西というのは、どっちでしょうか?」

「君は方位石を持っていないのかい!?良く此処まで来れたね」


方位石?そんなもの、聞いたことも見たことも無いぞ!

持っていないというのは怪しがられるからな芝居をするとしようか。


「いえ、持っていたんですが運悪く、魔物から逃げる時に落としたみたいで・・・。」

「そうか、それは災難だったね。僕の方位石を貸してあげるよ」

「ありがとうございます!あの、お名前をお聞きしても宜しいですか?」

「ああ、僕の名前はロスランだ。君の名前は?」

「俺はミコトと言います。ところで、この方位石はどれが西なんですか?俺の持っていたのとは形状が違うんですが」


形状が違うというより現代の方位磁石とは全然違い、東西南北のかわりに赤、青、黄、緑の4色が石の表面に備え付けられているクリスタルに表示されていた。

さらには自分が騎士から受け取った瞬間に何故か青色が一際激しく輝き始めた。


「ゴメン、言うのを忘れていた。 これは一般的に市場に出回っている方位石とは違い、軍から支給される騎士専用の物なんだ」

「どうりで見たことがない物だと思っていました」


俺は一度、持っていた方位石を目の前の騎士に手渡すと、騎士の手の中で今度は赤色が輝き始めた。


「知っているとは思うけど、これは魔道具の一種で自分の向いている方向を光で指し示してくれるんだ。今、僕は北を向いているから赤色が一際輝いているよね。この調子で赤は北、青は南、黄は東、緑は西という風に見るんだ。だから西に行く時は、緑色が光る方向に足を向けて歩いていけばいいんだよ」

「分かりました。何から何までありがとうございます」

「いいよいいよ、さっきも言ったけど魔物に気をつけてね。僕が道案内をした冒険者が、魔物に襲われて死んだりしたら目覚めが悪いからね」

「はい。では失礼します」


俺は騎士に頭を下げて一礼すると、方位石を見ながら身体の角度を変えていった。

数秒後、緑色が輝いたので再度騎士に頭を下げて方位石が示す方向に歩いていった。


「ロス、いいのか?軍の支給品を隊長に黙って、冒険者に貸し出したりして」

「構わないさ、それにあの方位石は僕のじゃないからね」

「それじゃ誰のだ?」

「分からないけど、今朝テントの傍に落ちていたのを拾っただけだから」

「悪い奴だな。拾った物を貸し出したのか?」

「落とした騎士が悪いんだから、僕が怒られる事はないよ」

「持ち主は可哀想だよな。3日に1回の所持検査の時に持っていないことがバレれば、隊長の容赦ない叱責が延々1時間にも亘って聞かされるんだからな」

「持ち物検査は今日じゃなかったっけ?」

「確か、そうだったと思うが・・・。」

「本番の前に僕達だけで所持品検査をしてみないか?」

「それはいいな、もし忘れてたら今のうちならテントに取りに行けるしな」

「じゃあ決まりだ。行くよ?まずは剣!」

「おう、腰に挿してるぜ」

「次に盾とナイフ!」

「それも・・・ある。しかし、いつも思うが盾の裏に隠し武器とはな」

「愚痴は言わない!次は魔法リング」

「おぅ嵌めてるぜ」

「最後は方位石!」

「それなら此処に・・・。ってポケットに穴が開いて中身がなくなってやがる!」

「どうしたんだい?方位石は持ってないのかい?」

「確かに此処に入れていたんだが、落としてしまったようだ」

「じゃあ、もしかしたら彼に渡した方位石は君のだったかもしれないね」

「じょ、冗談じゃねえぞ!?前回もナイフをなくして、隊長に怒られたばかりなんだぞ?」

「失くした物は仕方ないよ、覚悟を決めるべきだね」

「ロスがアイツに渡してなければ、こんな事には・・・。」


これから数分後、騎士隊長のもと実際に所持品検査が行なわれ、火山の山頂に怒鳴り声と騎士の絶叫が響き渡ったという。

そんな事になっていることなど露ほども知らない俺はというと、問題の方位石を片手に王都までの道を只管に歩いていた。


「それにしても、こんな魔法具があったんだな・・・。」

(世界は広いですね。私も見たのは初めてです)


ルゥと会話をしながら、ゆっくりと歩く事2日、ようやく騎士の言う王都へと辿りついた。


「かなり目立つって、真っ白な西洋の城って何処となく違和感があるよな・・・。」


その街の大きさと違和感のある城に驚きながらも俺は街へと入って行った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ