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異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
火の精霊編
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第48話 なんで俺が・・・

俺は学園に到着するまでの1時間の間にマリアから色々な事を聞き出せた。

これから行く場所はアメリトス魔法学園といい、イスラントールという国の唯一の学園らしい・・・。

しかも入園式の時間までに間に合わなければ、どんな事情があろうと入園する事は出来ないらしい。

この大陸は北西に位置するイスラントールと北東に位置するスコルピオン国、南に位置するサウスラーズ国が睨みあいをしており、3すくみ状態で中央にある火山の山脈を国境にして膠着こうちゃく状態が続いているという事。


(火山か・・・。光の精霊が言う火の精霊は其処に居るのかな?)


そうこう話している間に賊や魔物に襲われることなく、馬車は学園の入口へと辿りついた。


「到着しましたね。ありがとうございました、ミコトさん」

「護衛の必要は無かったみたいだな」

「そんな事ありませんよ。 命を救われたのは確かですし・・・」


散々会話したあと、マリアは御礼を言いながら馬車ごと学園内へと入っていった。


「さて、火山の場所が何処にあるのか聞かないとな」


俺は学園の部外者でありながら園内へと入り、話しの聞けそうな人を探していた。

周囲を見回すと、手に何かの文字がビッシリと書き込まれた用紙を持って歩き回っているメガネをかけた女性が目に見えた。


「何か声が掛け辛い状況だが他には誰も見当たらないし、しょうがないか・・・」


俺は自分自身を納得させると、意を決して話しかけることにした。


「すいませ~ん!ちょっと聞きたい事があるんですが?」

「あ、貴方!? まだこんな所に居たの? もう直ぐ式が始まるわよ!急いで!!」

「ちょ、ちょっと待・・・」

「話してる時間なんて無いわ! いいから着いて来なさい!!」

「いや、だから俺の話を・・・」


俺の事を誰かと勘違いしている女性は此方の言い分など聞く耳もたずに俺を建物内へと押し込んだ。


「此処で静かに待ってなさい! 1時間ほどで式は終了しますから案内人に従って進むように」

「だから俺は!」

「口答えしない」

「はい・・・」


完全に学園の生徒扱いされた俺は、大人しく式の内容を聞いていた。

内容はというと、式とは入園式のことで1年間の学園生活が今日から始まるとのことだった。

学園長と思われる、やたらと髭の長い爺さんの話によると一度入園してしまうと許可が下りない限り園外への外出は禁止されており、生活費などの費用は構内にあるギルドで仕事をして稼ぐらしい・・・。


(マスター、しっかりとマリアさんの巻き添えで入園してしまいましたね。)

(そうだな・・・。この女性は俺が何を言っても、取り合ってくれないしな。)

(でも、魔法学園ということはマスターの力として利用できますね。)

(それもそうだな。急ぐ旅でもないし、2度目の学生生活を味わうのも悪くないか。)


ルゥと話している間に入園式が終了し、パッと見でも200人以上はいる生徒が一斉に移動していく。


「ほら、入園式が終了して次はクラス分けの為の身体測定よ! 列に並んで待っていなさい」

「身体検査って?」

「ここは魔法学園よ? 魔力検査と適性検査に決まってるじゃないの!?」


俺を此処まで無理矢理に引っ張ってきた女性と会話しながら列に並んで着いて行くと凄く広い空間に2個で対になった水晶玉が置かれていた。

俺が水晶を見ていると水晶玉から声が聞こえてきた・・・。


「・・・魔力値1200 属性、火・水 Gクラスへ」


水晶玉の声が聞こえなくなった後、台からカードのような物が飛び出し、測定を終えた生徒がカードを持って嘆いていたり喜んでいたり・・・・・。


「残るは数人だけね。さっ貴方も測定してきなさい」

俺は隣の女性に促されるまま、2個の水晶玉を前にして手を触れるか触れないかの所で考えていた。


(マスター、大騒ぎになる事は目に見えて確実ですから覚悟してくださいね)

(魔力を放出しなければ大丈夫だろ?)

(いえ、潜在魔力を調べるための水晶のようなので・・・)


俺がルゥと心の中で会話していると。


「何をしてるの!?残りは貴方だけよ。 水晶に手を置いて精神を集中させなさい」


見回してみると先程まで騒いでいた生徒は一人も居なくなり、残っているのは俺と隣の女性と水晶の前で腕組みをして睨みつけている数人の教師だけだった。


「すいません。使用方法が分からなかったもので・・・」

「それならそうと早く言いなさい。まず右手を右の水晶に左手を左の水晶に置いて精神を落ち着かせて」


俺は言われるままに水晶に手を置いて深呼吸しながら気分を落ち着かせた。

その直後、左の水晶玉から『ヴーン』という音がなったと思った次の瞬間には粉々に破裂してしまった。


「どうやら水晶が不良品だったみたいね。此方の最新型の水晶で再測定してみましょう」


女性に連れられて向かった場所には他の水晶よりも一回り大きな水晶が威圧感を曝け出して置かれていた


「先程の要領で両手を水晶に置いて気を落ち着かせて・・・」

直後に先程の水晶と同じ様な『ヴーン』という音が鳴り始めたが、今度は破裂する事は無かったが代わりに別の意味で大騒ぎする事になってしまった。


「魔力値測定不能 属性、火・水・氷・風・土・雷・光・闇・空間・移動・回復。 Sクラスへ在籍」

「「「なっ!!?」」」


女性もその場に残っていた教師達も思いも寄らない測定結果に唖然としていた。

俺はというと、ある程度はルゥとの会話で予測していたため半ば諦めモードになっていた。

数秒の間を於いて水晶の台座から1枚のカードが飛び出してきた。

カードの表面には何時の間に撮られたのか俺の顔写真が貼り付けられ裏を反すと『Sクラス』の文字と属性欄には火・水・氷・風・土・雷・光・闇・空間・移動・回復の文字があり、その下に名前を書き込む欄と意味不明な『S10801』という番号と何が書き込まれるのか分からない空白の場所が空けられていた。


「あの~~俺は此れから、何処に行けば良いんでしょうか?」


俺は未だに固まっている、女性や教師に声を掛けるが誰からも返答は無く、時間だけが過ぎていった。



5/4 属性欄に雷が抜けていたので修正しました

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