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異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
光の精霊編
49/230

第47話 到着早々、命の危険?

お待たせいたしました。


2番目の異世界の始まりです

宿屋の部屋にて光の精霊に次の世界への道案内を頼んでから数秒後、俺は四方八方から風を受けていた。

少し前までは宿屋の自室に居たんだから身体全体に風を受けるのも可笑しいし、足元が覚束ないのも可笑しかった。


(主様、到着いたしました。)

(光の精霊よ・・・、到着したのはいいが何でこんな場所なんだ?)


俺が立っている(?)場所はというと遙か下に薄っすらと木々が見えるほど、遙か上空だった。

今現在の状況はといえば、時速300kmほどの速度で地上に自由落下している最中だ。


(申し訳ありません。送信先の座標の設定に失敗してしまいました)

(俺はこの世界で何をすればいいんだ?)

(主様、この世界には火の精霊が居ますので探して精霊玉をお受け取り下さい。)

(分かった。)


俺は光の精霊との会話を終わらせると地面に落下する恐怖を覚悟した。

地面激突まで凡そ残り10m・・・残り5m・・・3・・・2・・・1・・・!

次の瞬間には地面に巨大なすり鉢状のクレーターを作りながらも、怪我も無く無事に地面へと両方の足で立っていた。


(ふぅ~死ぬかと思った・・・。)

(マスターお言葉ですが普通の人間なら、あの高さから落ちれば間違いなく即死ですよ?)

(絶叫度が高いジェットコースターのような感覚かな)

(死亡率100%は確定ですがね。)


精霊達と色々と会話していたが最寄の街に逸早く着きたいがため、あても無く歩き始めた。

とりあえず、原っぱの真ん中に立っているわけにも行かず少し歩いてみると野原のあぜ道に馬車の車輪が通ったであろう溝が残されていた。


「これは馬車が通った時に出来たわだちで間違いないよな。 問題はどっちの方向に街があるかなんだけど。」


確率的には50%の賭けだったが、ヤマカンで道を選んで歩き始めた。

歩き始めてから十数分後、前方に幽かにだが塔のような影が見えてきた。


「どうやら、この方向で間違いなかったようだな。前の世界のレグリスみたいな国でないことを祈ろう」


そう考えながら20分ほど歩いていると、目の前に馬車が停まっていた。

更には誰かが争っているような剣戟の音や、何者かの叫び声が聞こえてきた。


「・・・・ら、・・・しく金を・・な!!」

「見て・・・・・の? お金な・・・・・よ!」

「・・・の斧が・・ないのか!?」

「無・・・は無・・よ!」


一瞬『なんだろう?』と思ったが、斧という言葉が聞き取れた時に賊に襲われていると確信した。

俺は逸早く腰から剣を引き抜き、念のために魔力を解放して馬車の停まっている場所へと駆けつけた。


「そこまでだ!」

「なんだテメエは!? 正義の味方気取りか?たった一人で何が出来る!!」


俺が到着した頃には馬車の周りに護衛らしき武装した兵が数人倒されていて、賊の頭であると思われる髭面の男と馬車の荷台で震えながら受け答えしている中学生ぐらいの女の子が此方をみていた。


「テメエみたいな奴一人で此れだけの人数相手に勝てるとでも思っているのか?とんだ笑い種だぜ!!」

「何処かで聞いたような台詞だが、遺言はそれだけか?」

「舐めやがって!てめえら殺っちまえ!」


男の合図とともに馬車の周りに群がれていた大勢の男達が俺の方へと襲い掛かってきた。


(俺はよっぽど賊に縁があるのかねぇ~)

(今のマスターなら数百人で襲われても難なく撃退できるでしょうね。)

(そうだな。)


俺はルゥと会話をしながらでも賊を一人、また一人と打ち倒して行き、数分後には賊の山が出来上がっていた。


「残るはお前だけだが、命乞いでもするか?」


襲い掛かってきた賊を数分で全滅させた俺は賊の頭の首に剣を突きつけ、どっちが悪者か分からないような顔で問いかけをしていた。


「た、助けてくれ! どうか命だけは・・・。」

「無様だな。何処へなりとも行くがいい。 その代わり、2度と俺の前に姿を見せるな!!」


剣を鞘へとしまい馬車で震えている少女に声を掛けようと歩き始めた時、背中に違和感を感じた。

見ると俺の背中から腹に掛けてナイフが貫通していた。


「とんだ甘ちゃんだな。あんな芝居に引っかかりやがって!!」

「あぁーーー!? なんて卑怯な真似を。 命を助けてくれた相手に襲い掛かるなんて・・・。」

「ウルセエ!どんな状況でも最後には勝てばいいんだよ!! そんな事より自分の心配をしたほうが良いんじゃねえか?助けに来た男はこの通・・・!?」


俺は何事も無かったかのように立ち上がり、背中からナイフを引き抜いて逆に男の背中に刺して直ぐに引き抜いた。


「お前のナイフだろ?返すぜ」

「てめえ、何で生きていやがる!? 確かに急所を刺した筈だ・・・。」


男はそれだけを言うと背中から大量の血を噴出し、うつ伏せに地面へと倒れ動かなくなってしまった。

土色だった地面は男の流す血の色によって、どす黒い赤へと染まり代わりに男の顔が土気色へと変化していった。


「嬢ちゃん、怪我は無かったか?」

「私は隠れてたので大丈夫ですが、貴方こそ背中を刺されたのに平気なんですか!?」

「ん?ああ、瞬時に回復魔法を掛けたからな。」


そう言いながら少女に傷口を見せるが、そこには痕すらなく破れた服があるだけだった。

本来は異常な回復力のおかげなのだが、説明するわけには行かず魔法とすることにしたのだが・・・。


「魔法が使えるということは、あの学園の卒業生の方なんですか!?」

「学園?」

「違うんですか?遠くに見えるあの塔が学園のシンボルである魔力塔です。 私は入学のために学園を目指していたんですが、賊に襲われてしまい一緒に入学する筈だった幼馴染は逸早く逃げ出してしまい、護衛に雇った方々も賊にやられて全滅してしまいました。」


街だと思って目指していたものは学校だったのか・・・。まあいい、学校まで行って道を聞くか。


「あの、ご迷惑でなければ学園まで御一緒していただけませんか? 報酬もお支払いいたしますから。」

「他に用事は無いからな、学園の入口までなら付き合おう。 方向は一緒だしついでだからな、報酬は必要ない」

「そんな!? 仮にも命を助けてくださった方に、御礼をしないというのはあまりにも・・・。」


う~ん、どうしようか? こんな性格の子は言っても聞かなそうだしな。そうだ!!


「なら金銭の報酬ではなく此処らへんの案内を頼めるか? つい先程、到着したばかりで右も左も分からない状況なんだ。案内してくれると助かる」

「それなら学園の道すがら御説明いたします。 長々と話しこんでしまっては入園式に間に合いませんし」

「じゃあ出発しようか。此処から学園までは遠いのか?」

「馬車でなら1時間もあれば余裕で到着できますよ。 そういえば自己紹介がまだでしたね、私の名前はマリアと言います。 貴方の名前を聞かせていただきますか?」

「ああ、俺の名はミコトだ。宜しくなマリア」

「はい!よろしくお願いしますミコトさん。」


こうして賊や護衛の死体が並ぶ広野を馬車は動き出し、一路学園へ向けて出発した。




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