表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
魔力の目覚め
39/230

第38話 規格外

お気に入り登録数が1000件に達しました!!


読者の皆様方ありがとうございます。

これからも『異世界を渡りし者』をよろしくお願いいたします。

ルゥと会話している間に2時間が経過したようで、魔力の流れも空中の魔方陣も消え失せていた。


「おっ?どうやら空間が出来上がったみたいだな。では早速・・・。」

(マスター、その前にそろそろ強大な魔力の放出を停めてください! ついでに出来上がった空間を開く呪文は『ルーム』です。扉を開くだけなら、微小な魔力だけで大丈夫ですから。)

(お、そうだったな・・・。クラス1!)


そのまま空間を開く呪文を口にした。


「ルーム!」


呪文を言った瞬間に空間に扉が出現し、扉に手が触れると自動的に開いていった。

しかもこの扉・・・裏に回って見てみると其処には扉など存在してはいなく、木々が生い茂った空間が遙か彼方にまで続いていた。元通りの位置に戻ってくると開いた扉が其処にあった。


(一方向からしか見えないんだな・・・。)

(私も実際に見るのは此れが初めてです。中はどうなっているんでしょう?楽しみです。)


空間を作った俺よりも精霊のほうが落ち着かない様子だった。


(マスター、何してるんですか?早く入りましょうよ!)

(分かった分かった、そう急かすな。)


急かされながら空間に足を踏み入れると、想像してたよりも広く感じる何も無い空間が広がっていた。


(これは、ちょっと広くし過ぎたかも知れんな・・・。)

(広すぎますよ!? レインさんの宿屋が1軒、丸々納まるような広さじゃないですか。 この広さを造るのに一体どれほどの魔力を使ったのか大変、興味が注がれますね。)


出来あがった空間を見回してみると、倉庫なんていう広さよりも数倍は広かった。

なにせ、奥の壁までが少なく見積もっても300mはゆうにある位だったから。

俺達は空間をあとにし、元の森へと戻ってきた。

空間の入口である扉を閉めると何も無かったかのように扉は其処には存在しては居なかった。


(マスター、呪文を唱えれば何処からでも空間に入る事が出来ます。)

(それなら、もう此処に居る必要は無いな。街に戻るとするか)


ルゥと会話しながら森の入口へと颯爽と歩き出して、森の入口まで残り100mといった所でルゥから何者かの気配が感じられると告げられた。


(ルゥ、魔物の気配がするのか?)

(いえ、この感じは人間のものです。)

(山賊とか盗賊の類か!?)


俺が剣を鞘から引き抜いて構えようとすると・・・。


(マスター待ってください!! その人間の中から会った事のある気配が4つほど、感じられます。)

(4つか・・・。誰だろうな)

(殺意は感じられないので敵ではないと思います。剣を収めてください)


俺は剣を鞘に収め、いつでも抜剣出来る体勢のまま森の出口へ恐る恐る近づいていった。

森を出た瞬間に出口で待ち構えていた青く輝く鎧を身に着けた男達数人に声を掛けられた。


「君は冒険者か!?今、森から出てきたよな。何か強大な魔物なんかを見なかったかい?」

「修行のために森に入っていましたが、リュナイト数体を見かけただけでそのような強大な魔物は見てません。」

「そうか。一応規則だから隊長たちに引き合わせるが問題ないかい?」

「ええ構いませんよ。」

「じゃあ此方だ、着いて来てくれ。」


俺は男数人に連れられて森の入口から200mほど先にある、何処かで見たような紋章が描かれているテントへとたどり着いた。

男はテントの入口で敬礼しながら、テントの中に居るであろう人物と何やら話をしていた。


「それじゃあ、この中へ入ってもらえるか? 怖がらなくていいよ、取って食うわけじゃないから。」


俺は敬礼をしていた男とともにテントに入ると、其処で見知った顔に遭遇した。

テントの入口付近に立っているエミリアと何時かの取調べで会った隊長さんに、一番奥で机に肘を突いてあきれたような顔のシルヴィアと、何故か筋トレをしている修行初日に街道ですれ違ったガイアスという男・・・。皆一様に金縛りにあったかの如く停止していた。


「あの隊長殿?いかがなされましたか?」

「い、いや何でもないわ。あなたは下がってなさい。」

「はっ! 了解しました。」


男は直立不動でシルヴィアに敬礼したあと、足早にテントの外へと走っていった。


「さてと・・・。「如何してミコト(さん)が此処に居るの(居るんですか)!?」」


シルヴィアとエミリアの言葉が丁度いいところで重なり合ってしまった。


「シルヴィア様、ミコトと面識があったのですか?」

「エミリアさんこそ、知り合いだったとは・・・。」


ついでに何時か見た隊長は手を頭に当てて何かを考えたまま、固まっていた。

すると、更に混乱が起きるかの如く筋トレをしていたガイアスが俺に話しかけて来た。


「おお、この前街道で出会った冒険者ではないか!元気にしておったか?」

「ガイアス隊長!?ミコトさんを知っているんですか?」

「隊長!?」


俺は裏返った声でシルヴィアに問いかけていた。


「そういえば自己紹介しておらんかったの。俺はガイアス、第3近衛隊隊長ガイアスじゃ宜しくな!」


俺がガイアスを見て驚いていた時、シルヴィアから質問が寄せられた。


「それにしてもミコトさんはあの森で何をしていたのですか?騎士の報告では修行をしていたと聞いていますが。 あの森で高魔力が感知されてから、出入り禁止になっているはず・・・。はっ!?」


シルヴィアは少し考え込むと俺を手招きして机の場所へと越させ、小声で話しかけて来た。


「私達は魔力の異常発生を調べるために此処に来たのですがミコトさんは此処で何をしていたんですか? ある程度、予想は出来ていますがミコトさんの口から説明してくださいますか?」

「ご想像のとおりです。森の奥にある湖で魔力制御の修行をしていました。 一時的に全魔力を放出したので、その時に観測されたのだと思われます。」

「やっぱり・・・。ミコトさん、もう少し考えて行動してください!」

「いや、俺も街中でやるわけには行かなかったから森で修行してたんだけど、まさか城まで届くとは思っても見なくて。」

「シルヴィア様?ミコト?コソコソして何を話しているんですか?」


気が付くと、エミリアが何時の間にか直ぐ近くまで接近して聞き耳を立てていた。


「い、いえ何でもないですよ?世間話をしていただけですから。 それではミコトさんは戻っても結構です。お疲れ様でした。」

「それじゃあ、また今度な!」

「ええ、また今度。」


シルヴィアの気になる笑い顔に後ろ髪を引かれながら俺はテントを後にしてマルベリアに戻った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ