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異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
魔力の目覚め
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第37話 伝説の魔法?

翌朝目が醒めた俺は朝飯代わりにルゥに教えられた様々な種類の森の果実を食べていた。

街で購入した食物は昨日の夕飯として全て食べきってしまっていた。


(なあルゥ、属性魔法は教えてもらったけど残りの移動・回復・空間の魔法は教えてくれないのか?)

(そうでしたね。それでは最初は移動魔法なんですが、これはマスターには効果はありません。)

(何故だ?)

(移動魔法の本質は足や腕に魔力で力を与えて素早く動作するための魔法です。マスターの場合は魔法を使用しても居ないのに、馬以上の速度で走れたり、鳥が飛ぶ高さまで跳んだりと魔法なしでも超人的な能力を持っていますよね?)

(そう言われれば確かに・・・。)

(次に回復魔法なんですがマスターは怪我をしても直ぐに回復しますし、毒も効きませんから必要ないですね。)

(ちょっと待て!?怪我の回復は分かるが毒なんて負った憶えはないぞ?)

(いえ、昨日の食事の時に教えた赤い実や先程の食事の森の果物などがありましたよね?)

(ああ、少し変わった色の果物だったが甘酸っぱくて美味しかったアレか?)

(そうです。それらは全て即効性の猛毒を含んだ森に寄生している果物です。普通の人間ならば一口齧っただけで確実にあの世行きです。)


俺は朝食の残りの果物を齧りながら聞いていたが、持っている物が毒物だと分かると急に食欲が失せてしまった。


(ブッ!? なんつう物を食わせるんだ!俺を殺す気か!?)

(マスターは不死身でしょうが!それに初日にリュナイトの爪での攻撃を受けて何とも無かったですよね?)


確かにルゥに言われたとおり初日の修行を始める前に魔物を一掃していたのだが、ちょっとした油断からリュナイトの爪で皮膚を引っかかられたという事が起こった。傷を受けても痛みは感じないし、傷も直ぐに修復されるので考えなかったが・・・。それがどうしたんだろうか?


(マスター、リュナイトの爪には果物とは比べ物にならないほどの遅効性の猛毒が含まれて居ます。 一般の冒険者なら最初は傷口が紫色に変色後、化膿し時間を掛けてゆっくりと皮膚が腐り最終的には腕が千切れて地面に落ちます。 治療する時は皮膚が紫色になった時点で毒治療用魔法の『ポイゾル』を唱えるか、毒消しを患部に当てて時間を掛けて治すかの二つに一つの治療法しかありませんが、マスターには症状が見当たりませんでした。)

(それで最終確認のために猛毒の果物を俺に勧めてきたと・・・。)

(その通りです。申し訳ありませんでしたマスター。)

(いや構わないよ。どっちにしろ不老不死なんだから、毒如きで死んでたら洒落にならないしな。)


それにしても・・・毒の果実とは、道理で街の食物屋で見たことも無い果実ばっかりだと思ったよ。

まぁ、猛毒果実を売るような店屋は不味いだろうしな。いろんな意味で・・・。


(それでは最後に空間魔法なんですが、膨大な魔力のマスターなら使いこなせるかもしれませんね。)

(どういう意味だ?使いこなせた奴が居ないような口ぶりだけど?)

(その通りです。空間魔法とは此処とは別次元に特殊な空間を作り出し倉庫として活用できる魔法なんですが、一般魔術師はおろか王宮魔導師であっても魔力の不足で維持する事が難しいとされています。)

(どうやって造るんだ?)

(何も無い場所に向けて広さを想像しながら呪文を唱えれば異空間に精製されますが、作ったと同時に凄まじい量の魔力が空間に吸収されおよそ2時間後には固定されます。あとは精製する魔法とは別の魔法を使って、いつ何時なんどきでも行き来や出し入れが可能になります。)

(呪文は分かってるのに、誰も成功させた奴は居ないのか?)

(空間を作り出すだけなら魔力値の高い魔術師でも可能ですが、固定されるまでの2時間に渡って大量の魔力を注ぎ込む事が必要ですから、どれだけ魔力が高い魔術師であっても10分すら経たずに倒れます。)


たった10分間で全ての魔力を失って倒れこむ空間か・・・。俺の魔力なら可能か?

もし成功すれば道具袋が要らなくなるし、森に来た時のように巨大な袋を持ち歩かなくて済むな。


(マスター、しかも異空間内は時間の流れが止まりますから、食物などは腐る事はありません。)

(分かった、実行してみよう。ルゥ、呪文を教えてくれ。)

(それは構いませんが拡げすぎないようにしてくださいね?中で迷って出られなくなったりしたら洒落になりませんから!)

(この空間は一つしか精製できないのか?)

(成功させた人間はいらっしゃらないので詳しい事は分かりませんが、事実上は可能だと思います。)


待てよ・・・何か気になる事を言っていたな。成功させた人間!? 人間以外で造れたのか?


(なぁルゥ、人間以外の別種族で作れた奴が居るのか!?)

(は、はい。今から数百年前に別の精霊から聞いた話なんですが、今も存在しているかどうかは分かりませんが、エルフと呼ばれる種族が空間維持を成功させたとの噂を耳にしたことがあります。)


エルフか・・・。それにしても、ルゥは何年生きているんだ?


(それでは、本当に空間を作成なさるのですね?)

(そうだ、呪文を教えてくれ。)

(それでは最初に魔力を中級くらいまで放出してください。)

(分かった中級か・・・。 クラス50!)

(少し多いかも知れませんが、試してみましょうか。呪文は『ドゥーア』です。)


ルゥから呪文を聞いたあと、巨大倉庫のような物を頭の中で想像し唱えた。


「ドゥーア!」


俺が呪文を発した直後、俺の手から目の前の空間へと光の線が伸びていき、空間に魔方陣のような模様が浮かび上がった。

魔方陣が空中に浮かび上がった直後からブラックホールかのように俺の魔力が空間に吸われてゆく。


(マ、マスター!? 一体どれぐらいの大きさの空間を想像したのですか!?異常なほどの魔力が吸われてますよ?)

(それほど大きくも無いと思うぞ?だいたい宿屋1軒分くらいの大きさだからさ。)

(!! そんなに大きいのを造ったんですか!? エルフが作ったのでさえ1m四方の空間だと聞いてますよ?)

(1mの空間か・・・俺のは其れの何倍になるんだろうな。)

(はぁ~~~。ところでマスター、随分と余裕そうですね。苦しくなったりとかしてませんか?)

(勢いよく、吸われている感じはするが至って普通だぞ?)

(変ですねぇ~マスター、ちょっと失礼しますね。)


夢の中ではないのでルゥが何をしているのか分からないが、俺の魔力の中に何かが混ざったような感覚がある。


(マスターの魔力を感じ取りましたが、此れだけの魔力を吸われてるのに1mmたりとも

減っていないのは如何いう訳なんですか!? まさか・・・魔力すら無限なんじゃ。)

(そうだな・・・。全然疲れないからな。そうなんじゃないか知らないけど。)

(マスターは何処まで規格外なんですかーーーー!!)



異世界物ではお馴染みとも言える、異空間倉庫というものを登場させました。

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