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異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
剣の精霊編
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第32話 ルゥの提案

宿屋の自室のベッドに横になった俺はあっという間に夢の中に誘われた。


(ここは・・・夢の中か?)

(正解ですマスター。少し気になる事があり、話したかったので此方に呼ばせていただきました。)

(ルゥ、俺は旅で疲れているんだけど?)

(心配しなくてもマスターの身体はグッスリと熟睡していますから疲れは取れますよ?)

(精神体だけって・・・。疲れないだろうな)

(大丈夫ですってば! 早速ですが、マスターはどのようにして今のような身体になったか憶えてますか?)

(それが気になる事か?前に言ったかも知れないが、家族旅行の際に乗っていた飛行機が爆発炎上して俺だけが無傷で生き残って・・・。その当時から俺には驚異的な能力が備わったと思ってるが?)

(で、其れから10年後に夢の世界で誰かに呼ばれて、この世界に遣って来たという訳ですね?)

(その誰かもレグリスの糞女だと判明しただろう?)

(それがおかしいんですよね・・・。)


俺にはルゥの言っている“おかしい”という意味が理解できなかった。


(それを今から説明するんですってば!!)

(心を読むなよ。)

(聞こえちゃうんですよ。)

(だから何がおかしいんだ?)

(レグリスの姫が夢に交信を出来る程の強い魔力を持っている事自体が驚異的でもありますが、恐らくマスターの世界で呼びかけていた方はレグリスの姫ではないと思います。)

(だが、あの時の糞女は一ヶ月前からと言っていたし、時期は合ってたぞ?)

(それも偶々《たまたま》だと思います。どれほど強力な魔力を持った人であったとしても、異世界まで届くような交信は人の身では絶対にありえません。)

(じゃあ、あの時の声は?)

(考えられる事は神様であるか、または私と同じ精霊であるかしかないと思います。)

(神か精霊・・・。精霊ってルゥ以外にも居るのか?)

(居る事は居ますが、膨大な魔力を持っている方か同じ精霊でないと姿を見ることはできませんし、声を聞くことも出来ません。私の場合は剣に宿っている精霊ですので、波長があえば今のように会話できますが・・・。)

(じゃあ、俺には無理なのか。)

(此処でマスターに提案なんですが、魔力の修行をして見ませんか?)

(修行?魔力を増やせるのか!?)

(普通の人なら何十年かの修行が必要ですが、マスターなら上手く行けば数日で魔力を増やせるかもしれません。)

(魔力が上がれば魔法を使う事が出来るとか?)

(勿論可能ですし、マスターの回復時の魔力量から言えば無詠唱で魔法を使う事も出来ると思います)

(じゃ早速、修行開始といくか。)

(待ってください。夢の中では精神体だけのため修行は出来ません。目が醒めてから誰も居ないところで修行しましょう。)

(分かった。とっとと目覚めるとするか)


俺が自身で目を覚ますと夢の中であれだけ会話していたにも拘らず、疲労感は全く無かった。


「身体の疲れも全然感じないし、朝飯でも喰ってこようかな。」


俺は剣も鎧も身に付けずに酒場へと降りると、レインから呆れた様な声で話しかけられた。


「ミコト、やっと起きてきたのかい?よっぽど疲れてたんだね~。もう昼過ぎだよ?」

「ええーー!?俺、そんなに寝てたんですか?」

「アタシも朝食時に起こそうとして戸を何度か叩いたんだけどね、全く起きる気配は無かったよ。」

「それじゃ朝食は?」

「朝食は無理だけど、昼食なら今から作れるよ?」


レインの発言に他の客達からも苦笑の声が上がっていた。


「依頼で稼いできたので4人前くらいの量でお願いします。」

「金さえ払ってくれれば構わないけど、残したりしたら許さないよ!」

「大丈夫ですよ。」


数分後には4人が座れるテーブルに大量の料理が並べられた。


「4人分だと此れだけの料理になるよ?本当に食べ切れるんだろうね!?」

「さてと、取り掛かりますか。」


それから30分後・・・。


「ごちそうさまでした!!」

「まさか、こんな僅かな時間で全て食べてしまうとは・・・。」


テーブルの上にはピサの斜塔のように倒れそうで倒れないアンバランスな皿の山が積み上げられていた。


「美味しかったですし、量も十分でした。代金はお幾らですか?」

「あ、ああ。銅貨20枚だよ。」


俺は道具袋に手を突っ込んで銅貨を取り出しレインさんへと手渡した。


「じゃあ、部屋に戻りますね。」


俺は部屋へと戻ると直ぐに剣の柄を握ると、俺が喋る前にルゥから話しかけられた。


(マスターすいません。会話に夢中になっていて起こすのを忘れてました)

(いや、いいよ。のんびり出来たしね)

(それでは、軽い討伐依頼を受けて修行を開始しましょうか。)

(場所は何処のほうがいいんだ?)

(マスターの場合は特別な方法を用いますので人目につかないよう、森の中の方がいいでしょう。)

(通常はどんな修行なんだ?)

(普通の魔術師なら毎日毎日、魔力がなくなるまで魔法を使い続け1日1日で魔力を少しずつ増やしていくような修行が一般的です)

(俺は魔法なんて使えないからな・・・。)

(それでマスターの能力を生かした修行方法を試してみようと思いますが、用意していただきたいものが一つあります。)


俺の能力といったら超人的な身体能力と回復能力しか思い浮かばないよな・・・。


(簡単に手に入るものか?)

(はい。武器屋か道具屋にて使いやすそうな小型の錆びにくいナイフを購入してください。)

(錆びにくいナイフか、今から買いに行くぞ。)

(はい。)


数分後には宿屋を出てハイドさんが営む武器屋へと到着した。


「おぅ兄ちゃん、今日はどうしたんだ?」

「ちょっと小型のナイフが必要になりまして・・・。」

「兄ちゃんの武器は剣だろ?何に使うんだ?」

「ちょっと修行と言うか、雑用をするための道具ですね。」

「雑用か・・・。それなら軽くて使いやすい方がいいよな。今此処にあるナイフといえば、鋼のナイフか銀のナイフだな。」

「錆びにくいナイフはどちらですか?」

「それなら銀のナイフだ。買うか?銀貨2枚でいいぜ!」

「買います。」


そう言って銀貨を取り出しハイドさんへと手渡した。


「兄ちゃん、仕事頑張れよ~~」


俺はハイドさんに手を振りながら武器屋を後にしてギルドへと向かって歩いていった。


「あ、ミコトさん。今から仕事なんですか?」

「ああ、何か森に行くような討伐依頼が無いかと思ってね。」

「ミコトさん、ひょっとしてリザードマンを倒しに行こうとかって考えてません?駄目ですよ!!」

「違うよ、ちょっと修行がしたくてね。なるべく人目につかないところに行きたいんだ。」

「修行って・・・ミコトさんは十分すぎるほど強いのに。」

「とりあえず掲示板を見させてもらうね。」


ギルドの入口でローラと別れ、掲示板へと歩いていくが、どれも平原にてB級の討伐依頼ばかりでランクアップの経験値になるA級依頼や森に行くような依頼は何処にも無かった。


「条件があうような依頼が存在しないな・・・。」

「少し前にミコトさんが森でリザードマンを見たと仰られてから森に行くのは危険ということで、森方面の討伐依頼や採取依頼は当分の間、受理しない方向になっているんです。」

「そうなのか・・・。」


ギルドから外に出ると空は既に夕焼けから夜の暗闇に変わろうとしていた為、その日は外に出る事を諦めて宿屋に戻る事にした。


レグリスの皇女が召喚した事を否定する内容にしてみました。


この後の展開で物語の内容に変化が訪れます。


此処でネタをバラしてしまっては面白みがなくなるので、次の更新を楽しみにお待ち下さい。

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