表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
剣の精霊編
32/230

第31話 護衛依頼⑧ 尋問、そして帰還へ

アクセスPVが50万を突破し、ユニークアクセスも9万に到達いたしました。


読者の皆様方、ありがとうございます。

賊の頭は目覚めた直後、目が見えないことに対して混乱していたがフィルが事情を話すと半ば諦めたかのように大人しくなってしまった。


「それで、此処は何処だ?」

「此処は馬車の中です。貴方はこれからマルベリアへと身柄を拘束させてもらいます。」

「俺が何したって言うんだよ!? 俺は寧ろ、あの凶暴な男に襲われた被害者だぞ?」

「その男を最初に襲ったのは、あなた方ですよね?」

「はぁ?何の証拠があって俺が犯人扱いされなきゃならないんだ?」

「調べはついているんですよ?貴方がガルデアの裏路地を牛耳るゴロツキの頭で町の住民からも『あいつ等』と呼ばれていることも」

「『あいつ等』だ?何を訳のわからねぇ事をほざいてやがるんだ。」

「シラをきっても無駄ですよ? 街の住人からも噂話として聞きましたよ?裏路地は『あいつ等』の縄張りであり、先程の貴方の言う男に襲いかかった時に貴方は“此処は俺達の縄張りだ”と言い、他のゴロツキ達から頭と慕われていましたね?」

「さっきから何のことを言っているのかサッパリだな。」

「はぁ~~埒があきませんね。」


シルヴィアは俺が座っているほうを見ると手招きして俺を呼び寄せた。


「ミコトさん、協力してもらえませんか?声は出さずに、頷いて返答してください。」


シルヴィアは俺にしか聞こえないように小声で俺に話しかけて来た。

俺は黙ったまま首を縦に一回振ってシルヴィアの提案に応じた。


「私がこれからミコトさんに男に対して色々な事をするように言いますが、殴るようなフリだけで良いので私に合わせてもらえますか?」


俺はもう一度、頷いてシルヴィアの提案に応じた。


「此処まで応じてもらえないとすると力づくでの尋問になりますよ?」

「俺が其の男に襲いかかったなんて証拠は何処にもないんだ、尋問しても無駄だよ。」

「仕方ないですね・・・。」


シルヴィアは男の目隠しに使っている黒い布を剥ぎ取ると、男の顔が俺の正面になるように顔の向きを修整した。


「どうした?目隠しを外して、俺を解放する気になった・・・のか・・・!?」


男は俺の顔を直視した瞬間、蛇に睨まれた蛙の様に微動だにしなくなった。


「ではミコトさん、見せしめに男の腕を一本捥ぎ取ってもらえますか?」

「了解した・・・。」


俺が指の関節をポキポキと鳴らしながら近づくと、男は必死に後退りして逃げようとするが男の座っている位置は既に荷台の端っこで、ロープで雁字搦めに縛り上げてあるために逃げる事はできなかった。


「わ、分かった!何でも話すから、そいつを俺に近づけないでくれ!!」

「最初からそう言えば良いのに・・・。ミコトさん、その場で止まってください。」

「やっぱり、お前らの仲間じゃねえか。」

「いえ仲間ではなく、私達の護衛です。」


シルヴィア・・・それはズルいんじゃないのか?


「さて質問を再開するとしましょうか、先程の問いの答えですが貴方が『あいつ等』のかしらで間違いありませんね?」

「ああ、そうだ。」

「それにしても変ですね・・・。

 どうして街の警備兵は貴方がたを野放しにしているのでしょうか?」

「警備兵だぁ!? そんなもの、あの街には存在してねえよ。」

「そんなはずはありません。常時20人の警備兵が街に滞在している筈です」

「ああ、言い間違えた。警備兵の制服を着ている奴は居る事は居るが、中身は俺達と然程代わらないぜ。」

「それはどういう事ですか?」

「俺達が利益の一部を警備兵に支払う事で犯罪を見逃して貰ってるんだよ。それどころか町の住人から街を守ってやってるからと金銭を要求している奴らもいるからな。」

「なによそれ~!? ガルデアの警備兵になってるのはマルベリアの衛士達なんだよ?」


荷台の隅で尋問に参加せずに傍観者を決め込んでいたフィルが男の一言に初めて反応を示した。


「エフィル、落ち着いてください。 

 それでは住民達は貴方達にも警備兵達にも苦難を強いられているということですか?」

「そういうことだ。」

「下劣な男が!」

「ミコトさん!? 落ち着いてください!」


俺はシルヴィアの制止を無視して男の襟首に手を触れると、男は叫び声とともに白目を剥いて失神した。


「ミコトさん・・・。 だから言ったのに。」


シルヴィアは顔に手を当てて俯いてしまった。


「シルバード様、急いで上に報告しないと! ドレイク、あとどれくらいで到着するの?」


フィルは声を大にして御者席で手綱を握るグレイに話しかけていた。


「これ以上飛ばすと馬が潰れちまう。 今の速度で行けば到着はあと5時間ってとこだな」

「ドレイクさん、無茶をさせないようになるべく急いでください!」


シルヴィア、其れってかなり言葉が矛盾してないか?


「一応やって見ますが、休憩を挟まずに走り続けているので到着と同時に馬が動かなくなると思いますが宜しいですか?」

「住民の気苦労に比べれば馬一頭なんて安いものよ!」


未だに俯いている状態のシルヴィアに成り代わりフィルが返事をしていた。

その後、4時間ほどでマルベリアに到着したが馬は4本足で立っているのも辛いらしく、ペタンと町の門で息を切らせて座り込んでしまった。


「直ぐにこの男を収監してください。私達は大急ぎで城へと向かいますよ!!」


シルヴィア達は全速力で城へと走っていったが、何故か途中で引き返してきた。


「ミコトさん、護衛ありがとうございました。また何れ、依頼をすると思いますのでその時は宜しくお願いしますね。」

「ミコト、楽しかったよ。またね」

「ミコト、今度飯でも行こうや!じゃあな。」


軽い挨拶を済ますと、今度こそ振り返らずに城への道を走っていってしまった。

俺はそのままギルドへと向かい、護衛依頼完遂の報告をして銀貨80枚を報酬としてもらい更にミノタウロスの討伐分として銀貨9枚を追加で貰った。



その後、宿屋で少し早い夕食を摂った俺は疲れのためか、ルゥに呼ばれたかは分からないが逸早く夢の世界へといざなわれた。



なんとか、この回で護衛関係の物語を終了させ、次回からは魔法関係の物語を作る事を頑張るつもりです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ