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異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
異世界への旅路
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第3話 街に到着

なんとか3話目を更新できました。



俺を乗せた馬車は約4時間後、町へとたどり着いた。

町の中央には西洋を思わせるような立派な城がそびえ立ち、馬車は城へと姿を消していった。


「到着だ!エミリア直ぐにその男を客室へと運び、綺麗にしてやれ!」


隊長が声を発すると同時に俺の横に座っていた女性が立ち上がって敬礼した。


「了解しました隊長!」


俺は馬車に乗せられるときと同じ様に数人がかりで、とある一室へと運ばれメイドらしき者達の手により隅々まで綺麗に洗われた。

俺は男だし女性に洗われるのは抵抗があったのだが、抵抗虚しくされるがままになっていた。

そんな中で驚かれたのは血で染まった為、赤だと思われていた髪の色が真っ黒であった事だった。


「ねえ、この方の髪・・・」

「信じられないわ!黒い髪だなんて」

「こんなの見たこと無い。」


洗い始めてから数十分後、高そうな服を見につけて椅子に座っている俺の姿があった。


「「「それでは失礼いたします。」」」


3人のメイドは一礼し、その場を後にした。

入れ替わるようにして村で指示を出していた隊長とエミリアと呼ばれた女性が部屋へと入ってきた。


「なるほど、黒髪に黒目か・・・あの村の者ではないようだな。」

「隊長、悪い人には見えないのですが・・・。」

「それはまだ分からんな。さて、まずはお前の名前を聞かせてもらおうか?」

「俺は峰藤みねふじ みことと言います。尊が名前です」

「ではミコト、何故お前はあの村に居た?」

「草原を歩いていた時に黒い煙が見えたので火事かと思い村へと急ぎました。

村に入ると燃えた家屋と焼け死んでいる人たちが目に入って・・・生存者が居ないかと思い、村の中を歩いていると話し声が聞こえたので声のするほうを見に行くと山賊5人と出くわしました。」

「その5人はお前に何をした?」

「『まだ生き残りが居たか!』と言われて追いかけられ、まずは2人に斧で襲い掛かられました。」

「それから?」

「俺は転がって攻撃を回避し、焼死体が握っていた剣を取り山賊に切りかかり2人を殺害しました。」


話しながら目をエミリアに遣ると真剣な眼差しで俺を集中して見ていた。


「山賊は全員で5人いたと聞いたが?」

「2人を斬った直後、残りの3人が一斉に襲いかかってきて、一気に切伏せました・・・。」


再び人を殺してしまった事を思い出してしまい、悲しげな気分になってしまった。


「で、一休みしているところに我々が現れたというところか」

「はい、俺は山賊とはいえ5人を殺めてしまいました。覚悟は出来ております」

「何の覚悟だ?」

「は!?」

「ミコトは自己防衛のために5人を殺したに過ぎん!殺さなければ自分自身が殺されていたであろう?」

「そうよ!それにあの山賊は見つけ次第、抹殺の指示が出てたからミコトは悪くないわ!!」


見つけ次第抹殺とは指名手配犯か何かだろうか?


「ミコトは此れからのアテがあるのか?」

「いえ、気の向くまま、足が向くままの気軽な旅をしてきたため、此処が何処かも分かりません。」


本当は異世界からなのだが、信じてもらえる筈は無いと判断し旅人とすることにした。


「この城はマルベリアという、町にはギルドもあるから其処で登録し生活すると良い。」

「此れが山賊退治の証明書よ、ギルドのランクで言えばA級の手配書だったから証明書をギルドに渡せば一気に上位ランクから開始できるわよ。」


そう言ってエミリアは俺に一枚の用紙を手渡してきた。

この世界の文字は見たことも無いミミズが、のたくった様な文字だったが何故か読むことが出来た。


「ギルドは宿屋の向かいにある、行けば直ぐに分かるだろう。」

「あの、この服はどうしたら?」

「前の血に染まった服は此方で処分してしまったからな、代わりといっては何だが貰ってくれ。」


前に着用していたスウェットに比べたら素材も質も比べ物にならないほど良質な服だった。


「この町は広いからな、ミコトが迷って餓死したら大変だ。エミリア、ギルドに案内してやれ。」

「分かりました!」


俺が返事をする暇も無く、道案内としてエミリアがギルドまで一緒に来る事となった。


「それじゃあミコト、行きましょうか。」


何故か嬉しそうに退室するエミリアと引っ張っられるままに城の客室から出て行く俺の姿はかなり目立っていた・・・。そして俺を引っ張るエミリアの顔は髪の色と同じ様に真っ赤に染まっていた。

城の客室のある階から城の入口までは凡そ50段はあろう、長い階段があった。

『これは転げ落ちたら大変だろうな』と思いながら降りていくと三分の一くらい降りたところで何かにつまづき、1階までの残りの階段を頭から転げ落ちていった。

俺はそのまま落ちて行き、一階の床へ派手な音と共に叩きつけられた。

直ぐ横に立っていたエミリアは勿論、一階の廊下で警備をしていた兵士も最悪な展開を予想していた。


「ミコト!!大丈夫?直ぐに衛生兵を呼んで、急いで!!」


エミリアが発言したと同時に一人の兵士が城の奥へと走っていった。


「どうしたんですか大騒ぎして?俺なら無事ですから心配しないで下さい」


オロオロとしている兵士を余所に、何事も無かったかのように歩き出す俺を見て周囲が固まった。


「ミコト・・・心配させないでよ、もぅ~~~」

「スイマセン。じゃあ、行きましょうか?」


俺とエミリアが去ってから、一騒動が起こりつつあった。


「なんで、あの高さで頭から落ちて無事なんだ!?」

「打ち所が悪ければ死んだとしても、おかしくは無い高さなのに・・・。」

「「あの男はいったい何者!?」」


兵士は空いた口が塞がらずに放心していると、杖を持った僧官が現れた。


「お待たせいたしましたハァハァ・・・。衛生兵が到着しましたが、患者は何処でしょうか?」

「・・・普通に歩いて行ってしまった。」


急いで走ってきたのか、息切れで動悸の激しい僧官が怒りをあらわにしていた。


「こっちも忙しいのですから悪戯はやめてくださいよ、本当にもう!」


衛生兵の僧官は怒りながら来た道を戻っていった。


「これは俺達が悪いのか?」

「なんとも言えないな。」


その騒ぎの元凶とも言うべき俺はというと、大騒ぎになっているとは露知らずエミリアとともに町を歩いていた。




ミコトの能力の一部が垣間見えた内容にしてみました。

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