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異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
天界編
222/230

閑話⑨ ガブリエルの視点 【後編】

相も変わらず、インターネット喫茶での投稿です。


この際だからとインターネットプロパイダーを変更しようと手続きをしたのですが、他の予約が殺到している影響で工事等が完了するまで2週間近くかかると言われてしまいました。

従って2週間の間は、インターネット喫茶での更新となります。

前話の前置きにも書きましたが、更新日まで御感想の返信や誤字の修正などが出来ません。

どうか、御了承ください。

下界から戻ってきて私室に帰られた神王様に今度こそ、下界に降りるのは辞めてもらおうと思い、苦言しようとしたところで、神王様の方から『もう下界には降りない』と聞かされました。

話を聞くところによるとクロノス様から、私が言おうとしていたことを言われたらしいです。

その後は暇を持て余しておいでだった神王様に、ミカエル様と御一緒に非常時の軍隊の統制について勉強していただく事となりました。


実際に天界へ魔族が侵攻してきた時はミカエル様やメタトロン様が陣頭指揮を執られる次第となっていますが、憶えておいても無駄にはならないという事で、本来は半年かかる内容を重点だけを絞り込んで1か月という速さで憶えていただきました。


ただ、日数が経過するにつれて次第にやつれてきたようにも思いますが…………。


そして勉強開始から丸1か月が経過して元気を無くしているところで気分転換と称しまして天界巡りを提案したところ、2つ返事で快く賛成してくれました。


「まずは此処より近い場所にある、ヴァルキュリア隊の訓練風景を見に行きましょうか」

「ヴァルキュリア?」

「申し訳ありません、説明がまだでしたね。ヴァルキュリアはワルキューレ、ヴァルキリーとも言われ、その実態は上級神オーディン様の配下の女性の戦士達です」

「ヴァルキリーなら、なんとなく聞き覚えがあるな」


彼女たちは神王様が居られた世界で数多くの物語で登場している事もあってか、神王様は納得したような表情で頷いていた。


やがて1時間ほど経過したところで彼女たちが訓練している場所へと続く扉の前へと到着しました。

情けない話なのですが、数十年ほど前には彼女たちの身体を目当てに訓練場を訪れる男性の方たちがあとを絶ちませんでした。


悪魔討伐隊最高ランク以上の強さを持つ彼女たちですが、自分たちよりも身分が上の方の誘いを断れなかったという事もあったのでしょう。


ある日、陳情とともに訓練場の扉に封印を掛けるように要請しに来ました。

オーディーン様もオーディーン様です。

御自分の部下である彼女たちに起こっていた事態を把握しきれていなかったのですから。


その後は記憶した者しか通ることのできない扉に、神王様の事を記憶させ内部に入りました。

簡単に『女性のみ開門す』という扉でも良かったのですが、女性同士で肉体関係を持とうとする者の存在や、脅されて仕方なく扉をあけさせられる事を懸念して今の状態となりました。


「神王様の場合は出来れば積極的に此処を訪れて、御世継ぎを御作りになられて欲しいというのが願いです」


そうこう話しているうちに神王様は彼女たちの訓練場所へと辿り着かれました。

敢えて自然な訓練風景を見てもらうためにと私は神王様から距離を取って見ていたのですが、其処にヴァルキュリア隊を指揮するフレイヤ様が男性がこの場所に居る事を疑問に思い、話しかけてきました。

このままでは騒ぎになるかと思い、私は姿を現してフレイヤ様に話しかけました。


「お久しぶりです、フレイヤ様。御元気そうで何よりでございます」

「あら? 見知った顔が居ると思えば、ガブリエルじゃない。此処に来るだなんて珍しいわね、貴女も元気だった?」

「はい。今の天界の平和はヴァルキュリア隊の…………ひいてはフレイヤ様、あっての事ですから」

「貴女の他人行儀な挨拶も相変わらずね。私達の仲なんだから、呼び捨てでも良いと言ってるのに」

「そのような訳には参りません。女神様の名を呼び捨てにしたとあってはがオーディーン様に叱られてしまいます」

「もう…………融通が利かないんだから」


無茶を言わないでください! 片や神様から見て単なる一天使である私と、片や女神であらせられるフレイヤ様。


どう考えても、身分に差がありすぎるではありませんか。


「それはそうと此方の殿方はどちら様なのかしら? ガブリエルが一緒に来ているということは、身元がハッキリしているということなんだろうけど」


フレイヤ様は神王様の事を、まるで見下したような視線で見つめるも私が『此方の御方は此度の神王様です』と説明すると、綺麗な其の御顔が台無しと言っても良いほどに驚愕した表情をされた。

フレイヤ様の御様子を見る限りでは、それほど悪い印象ではないらしく安心しました。


その後は魔族に対抗するための武器開発室を見て回ったあと、幻獣舎を見に行くこととなったのですが今から向かうとなると確実に御夕食の時間に間に合いません。

そのため、御案内は翌日に持ち越そうと思っていたのですが、神王様の御提案で飛んで行こうという事になりました。


しかも、ただ飛んでいくだけでは面白くないとの事で幻獣舎まで競争して勝つと何か願いが叶うという賭けをすることになりました。


「面白そうですね。では私よりも早ければ、今日の御夕食の品数を1品追加で如何ですか?」

「それじゃあ、ガブリエルが勝ったら何をしようか」

「そうですね。…………添い寝させていただけますか?」


私はそう言ったものの、自分の発言が恥ずかしくなり撤回しようとしたところで神王様から『了承』の御言葉を頂いてしまったのです。


「本当に宜しいのですか!? 本気に致しますよ。良いのですね! もう撤回は聞きませんからね」


神王様の嬉しい一言に気分が高揚し、ついつい3回も聞きなおしてしまいました。

神王様が持たれている神剣ルゥさんからも『添い寝ですよ!? 本当に良いんですか?』と神王様と念話のやり取りがされているようですが、神王様はそれほど重大視はされてないようです。


その後の結果と致しましては景品(添い寝)に釣られたこともあってか私の圧勝で決まりました。

あまりにも大人気おとなげないと言われても、こればかりは仕方がありませんね…………。


到着した幻獣舎に於いて、神王様が幻獣に甘噛みされたり、圧し掛かられたり、突進されたりと色々なトラブルがあったものの、飼育係の天使の心情とは裏腹に私の頭の中は今晩の事で一杯でした。

そして数時間後、やっと待ちに待った展開が訪れようとしていました。


「さて、それじゃあ一緒に寝ようか」

「はい♪」


私は先に神王様のベッドに横になると背中の翼で包み込むようにして神王様を抱き、眠りについた。

神王様をそう例えるのも可也失礼かと思いますが、子供と一緒に眠るというのはこんな感じなのでしょうか。


時折、神王様から寝言で『母さん……』という言葉を聞くと嬉しい気持ちになります。

そういえば神王様は幼い頃に御両親を亡くしてしまわれていたのですね。


壁に掛けられているルゥさんから、時折『ガブリエル様、いいな~~』とか『ガブリエル様、其処は私の場所です!』とか『今日だけですよ!?』いう抗議の念話が届くのは、この際我慢するという事で…………おやすみなさい神王様…………。





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