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異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
天界編
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第199話 訓練終了、そして腕試しへ…………

訓練風景という事で複数の話に分けようかと思いましたが、思いのほかアイデアが出てこなかったため、1話のみに纏めて書き上げました。



神騎士セフィリアと新しく配属された竜人族リグルド、それに武術・魔術の指南役兼世話係として連れてきたガブリエルの3人を連れた俺は、亜空間倉庫の入口から1kmほど離れた場所に来ていた。


当初はガブリエルを連れてくる予定はなかったのだが、リグルドの四肢と首元に装着されている『制約のリミッター』を外す事が出来るのは神である俺か、ある程度の神気を持つ天使に限られるという事らしい。

今の今まで『制約の環』の存在を知らなかった俺は当然の事ながら解除法を知る由もなく、挙句の果てには無理矢理外そうとすると爆発する仕組みになっているらしい。


「これから、この亜空間内で1年間の訓練を開始する。因みにこの空間で何年、何十年経過したとしても現実世界では瞬きする時間すら経過していないので安心するように」


セフィリアとリグルドは不安そうな顔をしながらも、どうにか納得したような顔で頷いている。


「リグルドは討伐隊での訓練場で8体の案山子を同時に相手していたが、1vs多数の訓練は可能か?」

「はい。常に死角を取らせない訓練を行なってきたので問題ありません」

「では、リグルド対俺+セフィリアで訓練する。最初は『制約の環』をつけた状態で訓練を行なうが、徐々に『制約の環』を一つずつ外していく物とする」


こうして俺達はリグルドに『相手や立場を気にせずに、遠慮なく打ち込んで来い!』と言い訓練用の刃を潰した剣を持って訓練を開始したのだが…………。


訓練開始から1ヶ月が経った頃に『制約の環』を完全装着したリグルドに対して、俺もセフィリアも1対1で余裕で打ち合うことができるようになっていた。


その為、訓練をより厳しい物にするとの事で『制約の環』を1個外させたのだが、此れまでと比べ物にならないほどにリグルドの力が上がっていた。


「たった1個の『制約の環』を外したリグルドが此れほどまでに強いとは」

「全てのリミットを解き放ったリグルドが何処まで強さを増すのか、大いに興味が湧きます」


5個の『制約の環』を身に付けたリグルドは、本来の力の20%程度しか発揮する事が出来ない。

それが、たった一つ外しただけで、俺とセフィリアが同時に切りかかってもビクともしない強さに変わるのだから驚きだ。


しかもリグルドは『瞬動』が苦手ということもあり、この1ヶ月は一度も使用してはいない。


「まいったな…………だが、此処まで実力が離れていると逆に清々するというものだ。リグルドは如何だ? 久々に力を解放してみるのはどのような気持ちだ?」

「悪魔討伐隊に所属してから、凡そ70年。此れまで一度も外す事の出来なかった『制約の環』が外れると何処となく、寂しい気持ちもありますな」


今の現状としては『制約の環』を1個外したリグルドと10戦して、3回勝てるかどうかという苦戦を強いられている。


その後、戦って負ける毎にセフィリアと作戦会議(別名:反省会)を開き、スピードを駆使して翻弄する戦い方や、リグルドが苦手とする『瞬動』を用いて悪戦苦闘する訓練が繰り広げられていた。

そして訓練開始から瞬く間に10ヶ月が経過して、用意した食料が底を尽き掛ける頃になると、俺とセフィリアは『制約の環』を4個外した状態のリグルドと略互角に戦えるようにまで強くなっていた。


しかしながら訓練開始から半年が経過した頃からは、リグルドも『瞬動』をぎこちないながらも使いこなせるようになり、俺達は苦戦を強いられる事となっていた。


「こ、これで、残すところは、完全な状態となったリグルドと戦うのみか」


此処まで来るのに11ヶ月が掛かり、当初持ってきた食料は既になくなっている。訓練で使用する武器類も根元から砕けたりと使い物にならなくなっていた。


剣が折れただけならば、俺の錬金術で元通りに修復することも可能なのだが、剣の素材である鉄や鋼そのものが金属の粒子状態になるまで砕けて使い物にならなくなってしまえば、完全に元に戻す事は事実上不可能となってしまう。


どちらにしても食料無しでは訓練を続けることが出来ないので、一旦亜空間の外へと出ることにした。


現実世界へと出て、ものの数時間で数か月分の食料と訓練用の武器を調達する事が出来たのだが。

11ヶ月もの間、訓練し続けていたため、丸1日の休養をリグルドとセフィリアの2人に勧めたのだが、2人から返ってきた言葉は『このまま訓練を続けさせてください!』や『感覚を忘れないようにしたいので休みは要りません!』との言葉だった。


これにはガブリエルも予想外だったのか、俺にすぐさま亜空間倉庫を開くように言ってきたのだった。

そして再度亜空間倉庫で訓練をし始めてから更に半年後、漸く『制約の環』を全て外したリグルドに太刀打ちできるまでに強くなっていた。


因みにその戦歴はというと、俺は10戦8勝1敗1分で、セフィリアは10戦6勝4敗という結果になっている。

2人で戦う分には余裕で10戦10勝しているのだが、中々上手くいかないものだ…………。


その後、食料が完全に尽きるまで訓練は続けられ、結果的に亜空間内部の時間で2年経過した。

最終的には俺とセフィリアは単独で『瞬動』を使用することなく『制約の環』を全て外したリグルドに余裕で勝てるまでになり、リグルドもまた俺とセフィリアと行動を共にする限り、『制約の環』をつけずに天界内で行動する事を許されたのであった。


そして俺達3人は訓練の成果を試すために、悪魔探知の部屋を訪れていた。


「…………というわけで下界に下りたいんだけど?」


悪魔討伐隊本部を訪れた俺達は指揮を執っているミカエルに事の次第を話し、グールや悪魔憑依者ではない中級悪魔が現れそうな世界を探してもらうのだった。


「現在、把握している情報によりますとMA-8170ですね。『水の精霊』の管理世界で、場所はアルフェクダとなっていますが、如何なさいますか?」


俺が水の精霊世界から、次の氷の精霊世界に渡った時には既にアルフェクダは崩壊してたから、此れから俺達が行く時代は過去の世界という事になるな。


過去の自分に会わないように細心の注意をしないとな。


「分かった。その世界を貰おう」

「了解いたしました。最近は下界で不穏な気配が漂っているそうです。どうかお気をつけ下さい」


序にガブリエルから中級悪魔の存在を懸念して俺達3人に色々な耐性をもつ、神騎士用の白い鎧を手渡してくるのだった。


そんな中で感心したのは、よく2m近い体格のリグルドに合う鎧があったなぁ~という下らない事だった。


俺はミカエルの手から下界行きの札を受け取ると、クロノスの宮殿を経由してアルフェクダの地に降り立ったのだった。


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