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異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
天界編
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第191話 レイモンドへの悪戯心

PVアクセスが1700万に到達いたしました。



セフィリアにレイモンドの悪魔討伐隊入隊を知らせるためにクロノスの宮殿へと足を踏み入れると、其処には心配そうな表情でクロノスのメイド達と談話している彼女の姿が見受けられた。


顔の表情から見れば、談話に花を咲かせているように見えるが内心は不安なんだろう。

よく見ればテーブルの下で足が小刻みに震えていた。


そんな時に俺の姿を見つけたセフィリアは一目散に俺へと詰め寄ってくる。


「神王様、レイは…………レイはどうなりましたか!?」

「今話すから落ち着いてくれ」 


セフィリアに事を話そうとするも、興奮していて埒が空かないのでイシュナムの用意してくれた気分を落ち着かせる紅茶を飲ませて、何とか落ち着かせる事に成功した。


「さて審判の結果だけど、レイモンドは更なる力を求め、悪魔討伐隊に入隊する事になった。将来的にはセフィリアと同じ様に、俺の神騎士として働いてもらうつもりなので覚悟していて欲しい」


俺が此れだけを一気に言うとセフィリアが安堵の溜息をついていた。

レイモンドが地獄行きにならなかった事に安心したのか、それとも自分と同じく悪魔討伐隊に入隊したことが嬉しかったのか。


俺がクロノスの宮殿に足を踏み入れてから始めてみる、穏やかな笑顔だった。


「レイモンドが地獄行きにならないで安心したか?」

「はい。それ以上にどんな顔をしてレイに会えば良いのか分からずに困惑もしています」


まぁ、50数年前にレイモンドと生き別れたセフィリアが、其の当時の全く歳を取っていない姿で話しかけられても混乱するだけだよなぁ。

と此処で、ちょっとした俺の悪戯心で火がついてドッキリを敢行する事を思いついた。


(マスター…………また悪戯を思いついた子供のような笑みを)

(いや、審議の間で俺を見て驚いている表情を見せたレイモンドを見ていると悪戯心が湧いてきてしまってな。レイモンドにセフィリアのことをカミングアウトする絶好の機会だと思わないか?)

「おや? 何か面白そうな事を思いついた顔をしているね?」


クロノスも子供のような表情で笑いかけてくる。

姿形は紛れも無く子供なのだが、実際の年齢は桁が通常では有り得ないほどの超高齢の人物(?)だ。


「なんか思いっきり、失礼なモノローグが流れたような気もするけど…………まぁいいや。どんな事を思いついたんだい? 出し惜しみしないで教えてよ」

「教えてあげたいのは山々だけど、メインの大立ち回りはセフィリアだからね。彼女が了承しないと事が始まらないんだよ。で、如何?」


俺とクロノスに立ち位置を挟まれているような格好で困惑の表情を見せているセフィリアに、何気なく協力を求めると。


「何を思いついたかは想像できませんが、クロノス様や神王様の表情を見る限りでは面白そうですね。是非参加させてください」

「それじゃ決まりだ! なら作戦会議と行こうか」


こうして悪巧みという名の作戦会議は、1時間余りもの時間を掛けて入念に執り行われた。


この件でセフィリアへの注意事項が…………。


1、地下訓練場や通路でレイモンドとすれ違っても話しかけたりしないこと。

2、他の悪魔討伐隊の者にも絶対に口外しないこと。

3、絶対にレイモンドに俺のことを言わない事。


この3つを守って貰う事を徹底した。

事の決行は明日の夜、俺の私室で執り行うと2人に説明し、此処は解散となった。


そして俺は私室で待っているであろう、ガブリエルにレイモンドの事とクロノスとセフィリアに話した内容を伝えるべく私室へと足を進めた。


「神王様、お帰りなさいませ。ご無事で何よりでした」


俺が部屋に足を踏み入れると、何故かウリエル、ラファエル、ガブリエル、ミカエルの4天使が俺を待ち構えていた。


「この度は上位魔族メフィスが下界にいる事に気がつけず、申し訳ありませんでした」


ミカエルが代表してそう言うや否や、4人の天使が一斉に俺へと頭を下げてくる。


「いや構わないよ。思いがけず、いい経験も出来たし」


俺の実力ではグール、又は低級悪魔にしか敵わないという事が判明した、いい機会だったからな。


「それよりも、皆に話があるんだけど構わないかな」


4人の天使と会話しやすいように椅子へと座り、事の真相を説明していく。


此度の悪魔憑依者の1人が、俺の神騎士隊に所属するセフィリアの義弟レイモンドだった事。

レイモンドが審判の間で悪魔討伐隊入隊を希望した事。

それなりの力をつけてから、レイモンドを神騎士隊に入隊させたい事などを簡潔に話した。


「了解いたしました。ですが、悪魔討伐隊に入隊した者は先ず始めに魔力を半強制的に覚醒させねばなりませんので戦力として考えるには、其れ相応の時間が必要になりますが?」

「通常だと、どれくらいの時間が必要になるんだ?」

「魔力に少しでも心得がある者であれば、10日ほどでなんとかなりますが………魔力の魔の字も知らない者となると下手をすれば最低でも2ヶ月は掛かるだろうと思います」

「無理矢理、魔力を覚醒させようとすれば、心が壊れてしまう可能性もありますから、絶対に無理はさせられません」


此処まで話したところでクロノス達と考えていた、もう一つのイベントを皆に話すことにした。


「其の事も踏まえて皆に協力してもらいことがあるんだけど」

「何で御座いましょう? 我等に出来る事なら何でもお申し付け下さい」

「先程の話にあったレイモンドに、生き別れた姉のセフィリアに逢わせて上げたいのが一つ。そして俺がどんな存在であるのかをレイモンドに悪戯を踏まえてカミングアウトする計画が一つだ」

「『悪戯』ですか? 我等は何をすれば宜しいのでしょうか?」

「明日の夜にこの部屋に何も知らないレイモンドを呼び寄せて事を決行するつもりなんだけど、其の時に……」


こうして思いのほか食いついてきた、4人の熾天使にドッキリの内容を伝えた。

そして説明し終わった頃には日が完全に沈んでいたため、明日の夜を楽しみにして解散となった。


興奮し過ぎて寝不足になったのは言うまでも無い。


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