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異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
異世界への旅路
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第2話 圧倒的な力

日々忙しかったのですが、なんとか2話目を完成する事ができました。


中身は少しグロイ表現が含まれますので、食事中に読むのは御遠慮願います。

走り始めてから数分後、思いもよらない速さで町に辿り着いたが其処には地獄絵図が待っていた。


「これはいったい・・・」


町へ着くと同時にそこら中から匂って来るなんともいえない悪臭、そして真っ黒な炭と化した木造と思わしき家屋や、地面には人型の黒い焦げ痕、さらにはおびただしい赤い液体が飛び散っていた。

目を背けたくなる現状だったが、近くで話し声が聞こえてきた為、勇気を振り絞って町の奥へと足を進めた。 

奥へ奥へと足を進めるごとに話し声を聞き取れるようになってきた。


かしら、うまくいきやしたね。」

「当然だ!この俺がこんな腑抜けた奴らに遅れを取る筈が無いだろうが!!」

「ちげえねえ、ひゃっはっはっは!」

「それにしても、こんな寂れた村にこれほどの宝があるとはな。驚きだぜ!」

「全くだ、これで暫くは遊んで暮らせるってもんだ」


其処には金や銀に光り輝く硬貨のような物を手にとって騒いでいる、斧を装備した5人の男がいた。

男達に目が行っていた俺は足元をよく見てはおらず、足を一歩踏み出した直後に蹴躓けつまずき声を出して倒れこんでしまった。


「うわっ!?」


その声を男達が聞き逃す筈は無く・・・。


「!! 誰だ!?」


斧を手に持って此方へと近づいてきた

俺はすぐに起き上がり、必死に逃げようとしたが回り込まれて逃げることはできなかった。


「おい、こんなところに生き残りの餓鬼がいるじゃねえか!?」

「見落としていたようで、すいやせん頭。」

「まあいい、此処で始末すれば良いことだ。」


そう言って男は俺に向かって斧を振りかぶったが、俺は咄嗟に隙をついて広い場所へと転がり攻撃をかわした。

転がったついでに、焼けた家の住人だったらしい焼死体の手から剣を手に取り、構えた。

剣など小説で見ただけで使った事はなかったが、重さを感じないくらい軽いものだった。


「何だコイツ?俺達5人に敵うとでも思っているのか?」

「少し遊んでやるとするか。」


5人のうちの2人は斧を構え、笑いながら俺に近づいてくる。


「お前達は何者だ!?」


おおよそ答えは分かってはいたが、聞いてみることにした。


「見てわからねえのか?俺達は山賊だよ。

まぁ、此れから死んでいく奴には関係ないだろうがな!」


そう言いながら、左右から斧が迫ってきた

咄嗟に大好きだった時代劇の殺陣たてを真似して剣で2人の山賊の腹に向かって剣を振るった。

気分的には「安心しろ峰討ちだ・・・。」と言いたかったが、持っている剣は刀のような片刃ではなく両刃なため、2人を見ると普通に足で地面に立っているものの、腰から上は存在してはいなかった。

ドシャっという音と共に斧を持ったままの上半身が地面へと落ちていった。


「貴様、よくも2人を!!」


残っていた3人が一斉に襲い掛かってくるが一瞬で切り伏せる。

一人は先の2人のように上半身と下半身が切り離され、一人は首を刎ねられ、残った一人は腹に突き刺さった剣が背中まで貫通してあっという間に息絶えた。

事が終わり冷静に考えてみると命の危機であったが、この手で5人もの人間の命を奪ったことで震えが止まらなくなっていた。


「俺はこの手で人を殺めてしまった・・・。取り返しのつかないことをしてしまった。」


見につけていた灰色のスウェットは返り血で真っ赤に染まり、おぞましい姿になっていた。


「俺はなんて事を・・・。」


その瞬間、目の前のグロイ光景を目の当たりにして朝食として食べたラーメンを吐き戻してしまった。

更に持っていた剣を地面に落とし、壁を背に体育座りのような格好でうずくまってしまう。

そのまま気を失い、眠っていたのだろうか・・・複数の地を蹴る馬のひづめの音で目が醒めた。


「何だ?誰か来たのか?」


山賊の仲間かとも思ったが、気力が追いついては来なかった


「ようし、散開して生存者がいるか確かめろ!!」

「了解しました!」


目は開けているが気力の無い俺は、剣を手にたたずんでいた。

其処に綺麗な甲冑を見につけた赤い長髪の女性が走りよってくる。


「あ、あなた、大丈夫?」


女性は虚ろな目をしている俺の脈がある事を確かめると声を荒げて報告をした。


「隊長、生存者を発見しました!!凄い出血です!」

「分かった!衛生兵、直ぐに来てくれ!!」

「君!意識はある?」

「俺は、俺は・・・」

「衛生兵、まだなの!?」


数分後、馬に乗った甲冑を着込んでいない兵が走りよってくる。


「お待たせいたしました!直ぐに治療を開始いたします。」


それから更に数分後、あたりを見終えた兵士達が俺の周りへと集まってきて隊長に報告している。


「隊長、町の中を見回りましたが生存者はその者、一人だけのようです。」

「・・・分かった。衛生兵、その男の怪我の具合はどうか?」

「いえ隊長、この男は怪我は一つも負ってはおりません。」

「それじゃあ、このおびただしい血は!?」

「全て、返り血でしょう。」


その時、俺は壊れたレコーダーのように同じ言葉をしきりに呟いていた。


「俺は、俺は、」

「どうしたの?大丈夫?」

「俺はこの手で人を殺した。」


その瞬間、周りの兵士は一斉に腰の剣に手を携えた。


「まさか、町民を殺害したのはこの男なのか!?」

「黙って!!」


女性は手を振るい、騒ぎ立てた兵士を静かにさせる。


「君が町民を?」

「違う!」

「では誰を?」

「・・・山賊だと言っていた。」

「山賊!?」


その時、町の奥へと様子を見に行った兵士が報告のために隊長の下へと帰って来た。


「ご報告いたします。町の広場らしき場所にて斧を手に持った賊と見られる5人の惨死体が見つかりました。」


死体という言葉で俺はビクッと反応してしまった。


「大丈夫よ、大丈夫・・・。」

「死体の状態はどうか?」

「調べた結果、いずれも一刀の元に切伏せられたらしく、見るも無残な格好に。」

「そうか・・・。」


隊長は顎に手を遣り俺を見ながら何かを考えていた。


「隊長、そろそろ。」

「分かった。その者を馬車に収容し、マルベリア城へと帰還するぞ!」

「「はっ!」」


左右から近寄ってきた兵士が未だに放心状態だった俺を担ぎ上げ、馬車の荷台へと乗せる。

更には何故か、先程まで話を聞いてくれていた女性も俺の横へと座ってきた。


「ようし、出発だ!」


馬車は俺が走るよりも遅いスピードで何処かへと向かい走りだしていった・・・。


初めての戦いと初めての人殺しと言う事で、罪の意識に責められる主人公を表現してみました。


このあと、主人公はどうなるのか!?

次話に乞うご期待!

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