第18話 身体の異変
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森に到着して凡そ2時間が経過したが出会うのは低ランクの魔物ばかりでリュナイトには一向に遭遇しないどころか気配さえ感じ取る事は出来なかった。
「この森で間違いないと思うんだけど、どう思うルゥ?」
(・・・・・・)
(ルゥってば!)
(知りません!!)
森に入るまでの事を未だに根に持っているのか俺に対し冷たくあしらわれている。
(ルゥ、もう機嫌直してくれよ。悪かったってば)
(ずっと寂しかったんですよ~~ マスターのバカァーー!!)
ルゥを必死に宥め、ようやく仲直りする事ができた。
(でルゥ、魔物の気配は感じ取れるか?)
(ちょっと待ってください・・・。1、2、3いや、もっと居ますね。マスター此処から真っ直ぐに300エト進んだ先にある湖に、少なくても10体の魔物の気配を感知しました。)
(分かった。静かに近づくぞ・・・。)
周りの状況と足元を注意しながら歩く事、凡そ10分。ようやくルゥの言っていた湖の畔に近づくと、推定で20体以上のリュナイトの群れが騒いでいる事が確認できた。
「あいつ等、何をしてるんだ?」
もう少し近づいて様子を見ようと足を前に出したと同時にルゥからの念話が届いた。
(マ、マスター!? 足元に注意してください!!)
俺はその声に気づくのが遅れ、一歩踏み出した右足で勢いよく木の枝を踏みつけてしまった。
『パキンッ!』
俺は直ぐに『しまった!』と思うが時既に遅く、騒いでいた魔物の目が全て俺に向けられた。
魔物のうちの数体が俺に聞き取れない言語で喋り、群れの内の3体が森の奥へと素早く姿を消した。
残りの魔物が一斉に俺の方へと襲い掛かってきた。
俺は一呼吸置いた後、剣を構え魔物を切り刻んでいく・・・。
幾ら人型とはいえ、あくまで魔物であって人間ではないので躊躇なく魔物の身体に剣を突き立て、命を奪っていく。ある魔物は肩から腹にかけて袈裟切りに2等分され、またある魔物は頭の先から股まで両断され身体が左右別の方向に倒れていく。
戦い始めて2時間後には、その場に両足で立っているのは俺だけになり、後は地面に突っ伏しているリュナイトの惨殺死体が転がっているだけだった。
(お疲れ様ですマスター。此れだけの数の魔物を相手に無傷だなんて凄いです!)
(この程度の魔物ならどうということはない。)
本当は二の腕などを鋭利な爪で何度か切り裂かれていたが瞬時に回復し傷跡は残らなかった。
(マスター、また膨大な魔力を一瞬だけ感じたのですが。)
(何か強力な魔物が、この近くに居るというのか!?)
(いえ、邪悪な気配は感じませんでした。寧ろ、神聖な雰囲気が感じられましたが・・・。)
(それはそうと証明部位を狩らないとな。ルゥは魔物の気配がないか調べてくれ!)
(了解しましたマスター)
確かリュナイトの討伐証明部位は黒い牙だったな・・・。
倒したリュナイトの口を見てみると口の付け根に真っ黒な牙が左右に2本確認された。
「どっちの黒い牙かは知らないが両方、持って行く事にするか。」
俺は剣の刃先を利用して牙を一本一本丁寧に抜いていった。
俺も歯医者は苦手な分類に入るため、牙を抜く感触に身震いしながらも迅速に抜いていった。
さて残すところ1体という所で問題が発生した。
(マスター気をつけてください。その魔物はまだ生きてます)
(え!?)
俺は魔物の顎を右手で掴んでいたため反応に遅れ、魔物の死に際の一撃と言わんばかりに右手を噛まれた。魔物は最後の一撃の後、力尽きて息絶えた。
(マ、マスター!? 直ぐに治療を・・・!!)
(大丈夫だ!気にするな。)
(何が大丈夫なんですか!?マスターの手が傷だらけに・・・?)
ルゥの心配を余所に手の傷は瞬く間に消え失せ、あとには傷のない綺麗な手が残った。
(マスターの手、噛まれましたよね? どうして傷がないんですか!?それに先程マスターから、膨大な魔力の流れが掌に集中しているのを感じ取りました。)
(俺の身体は特殊でな、どんな切り傷を負おうと痛みも感じないし、傷跡も一瞬で跡形もなく治ってしまうんだよ。)
(そんな・・・はっ!ちょっと待ってください、それなら先程の魔力も説明がつきますね。)
(どういうことだ?)
(マスターは普段、微力な魔力しか感じないものの手傷を負ったり、超人的な身体能力を発揮した時には魔力が膨れ上がる。という事はマスター、もと居た世界でも超人的な速度で走れたり飛び上がったりできましたか!?)
(いや回復能力はもと居た世界でもあったが今みたいに一瞬で治るような事はなかったし、身体能力も一般人よりは少しだけ良いぐらいだったな。)
大体が時速100kmで走れたり垂直飛びで10mなんて飛んでたら、間違いなく実験動物として研究所送りになってしまう。
(やっぱり・・・。)
(だから、何を納得しているんだ!?)
(マスターは魔力のない世界から、魔力が存在するこの世界に渡った事で特殊能力が倍増したと考えられます。普段は魔力は感じないものの、能力を発揮する時だけ膨大するという体質を持っていると考えて間違いないでしょう。)
これで、もしも不老不死なんて付いてたら間違いなく俺は人間ではなくなるな・・・。
(いえ、マスターお言葉ですが此方に来てから今日で何日が経過しましたか?)
会話したつもりは無かったのに、ルゥには考えが筒抜けだったようだ。
(そうだなぁ~今日で大体一ヶ月ちょっと位だと思うけど? どうしたんだ突然・・・。)
(今日までに髪を切ったり、髭を剃ったりした事は?)
(この世界に足を踏み入れる直前に髭を剃っただけだけど、それが何・・・はっ!?)
何故、一ヶ月も経ってるのに髪が伸びないんだ?
何故、髭が伸びないんだ。
こんな大事な事に今の今まで、ルゥに言われるまで気が付かないなんて・・・。
(どうやら気づかれたようですね。自分の存在に)
(俺は人間ではないのか・・・。)
俺は地面に項垂れていて気が付かなかった・・・森の奥から近づいてくる強大な何者かの存在を。
次話の更新は金曜日を予定しています。