表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
氷の精霊編
128/230

第121話 謎の女性の正体は?

PVアクセス900万到達しました!

たくさんの方達に見てもらえて大変嬉しいです。


これからも頑張りますので宜しくお願い致します。


2012/06/01 

・崖の下の地面までのカウントダウンが不自然だと、御指摘を受けたため文章を一部書きなおしました。

・【『時』が精霊ではない】という記述も第106話と被ってしまっていた為、別の文章に書きなおさせていただきました。

『物知り爺さん』の異名を持つ、ビクトル爺さんの息子であるレナードさんに聞いた、大図書館に収められているという神書に書かれていた『全ての母』の情報を元にシャノルクとウィレンドの街の中間に位置する深い谷に飛び込んだ俺だったが、延々と落ち続ける漆黒の闇の中、漸く底に行き着こうとしていた。


(マスター、あと少しで地面に着地します。衝撃に備えてください)

(地面っていっても相変わらずの真っ暗闇で何処に何があるかサッパリなんだけど…………)


ルゥから『あと少しで地面です』と言われていたものの、即座に反応できなかった俺は飛行魔法で減速する間もなく、そのままの勢いで地面に落下する事となってしまった。

そして次の瞬間、全身の骨が砕け散るほどの衝撃が身体全体を襲い、無事(?)に着地した。


(マスター、大丈夫でしたか!?)

(あ、ああ少し吃驚したけど・・・・・・ってちょっと待ってくれるか? 股関節から下の骨が砕けてしまったようだ) 


自由落下していたときと視界は同様だが、足に力が入らないのと壁に摑まっていないと立っていられないことから足が折れているものだと判断した。

俺は粉砕骨折した足を地面に投げ出すようにして座り、皮膚を突き破って飛び出してきた骨を指で体内に押し込めながら過ごす事、数分後・・・・・・。

完治した足の具合を確かめながら周囲を見るのだが、真っ暗闇なので何処に何があるのやらサッパリだった。


(それにしても真っ暗だな。 いったいどれだけの距離を落ちてきたんだ?)


そう思いながら落ちてきた場所を見上げるが、頭上には一筋の光すら差し込まず漆黒の何処までも続く闇の空間が広がるだけだった。


(まぁ何にしても真っ暗では先に進めないし、灯りを出そうか。 此処なら誰も居ないし魔法を使っても大丈夫だろ)

(此処で生ある者はマスター以外では有り得ないでしょうから問題ないと思いますが)

(何かあるのか?)

(灯りを出した直後に魔物が襲い掛かってくる可能性もあるので注意してください)


とりあえず周囲の気配を確認し、魔物の存在がないことを確かめた俺は掌に照明代わりとなる火炎球を作り出した。

火炎球により周囲が照らされ、漸く周辺が見えてきたが其れは驚くべき光景だった。


谷底は思っていたよりも広い空間だったが、周囲には氷漬けになっている多くの人間達が恐怖で顔が引きつった苦悶の表情で地面に横たわっている。

中には落下途中で壁に身体を打ち付けたのか、肩から先が無くなっていたり、頭だけが地面に転がっていたりと凄惨な光景が広がっていた。


(これは、あの兵士が言っていた犠牲者たちか)

(そのようですね。 皆、何があったのか分からぬうちに命を落としていったのでしょうね)

(生き残りはいないのか?)

(もし落下途中に運良く助かったとしても此処はマイナス何十度の世界です。 マスターなら絶対零度の中でも灼熱のマグマの中でも生きられるでしょうが、生身の人間ではものの数秒で死んでしまいます)

(そうか・・・・・・ん? この娘は!?)

(マスター? お知り合いですか?)

(髪の色は異なるんだが、シャノルクの宿屋で見た少女にそっくりなんだ。 どういうことだ?)

(そういわれれば確かに似ていますね)


謎の少女の氷漬けの遺体を前に考えていると目の前の空間から何者かの念話が頭の中に響いてきた。


(それは私が少女の姿を借りて、主様の御姿を拝見しに行ったからです)

(!? 誰だ、何処に居る!)


俺が問いかけると何処からともなく冷気を纏った青い靄が俺の目の前で人型を形成した。


(失礼致しました、私はこの地を守護する氷の精霊。 主様、お待ちしておりました)

(氷の精霊! おふざけが過ぎますよ?)

(いや良い。 ただし死者を冒涜するような行為は以後絶対に許さない! それだけは憶えておけ)

(申し訳ありませんでした。 処罰は如何様にも)

(反省してるなら良い。 二度としないようにな)

(分かりました。 御恩赦ありがとうございます)

(それはもう良いから精霊玉を貰えるか?)

(はい。 御手数ですが精霊の腕輪を此方に)


俺は未だに頭を下げ続けている氷の精霊と思われる青い靄に対して左手首の精霊の腕輪を向けた。

すると青い靄の一部が青い球状に変化し、腕輪に空いた凹みに綺麗に収まった。

そして氷の精霊に『シャル』という名を授けると青い靄は更に平伏し、音もなく静かに消え去った。


(これでやっと5個目の精霊玉か。 残りは雷・土・闇・時の4個…………いや以前、『時』は精霊ではなく、神だと言っていたから残りは3個か)

(いえ主様、残りは雷、土の2個です)

(残り2世界? 精霊は3体なのに世界は2つだけなのか?)

(はい。 私と同じ最上級精霊である、闇の精霊は火、風、水、氷、土、雷の精霊玉が揃った時、姿を現します。 まずは残り2体の精霊を探しましょう)

(そうか。 考えていても始まらないしな)

(主様、直ぐに次の世界へと飛びますか?)

(稼いだ金で食料を買いたいけど、雪国だから碌な物はなかったしな。 まぁいいか、次の世界に行こう)

(分かりました。 では・・・・・・)


光の精霊であるミラが一声発した次の瞬間、目の前の空間がまるでノイズでも走ったかのように乱れ、歪みが出現した。


(あ・・・・・・るじ・・・・・・さま!?)


ミラの慌てふためいた声が聞えたのも束の間、俺は歪みに吸い込まれるようにして、この世界から姿を消した。

谷底に着地した時の大きな足跡だけをその場に残して・・・・・・。



ストレートに次の世界、雷、土といっても面白くないので、ちょっとしたハプニングと称して閑話を3話ほど挟もうかと思っています。


話の内容的には通じているので其れほど違和感は感じないとは思いますが、宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ