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異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
氷の精霊編
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第112話 道に迷いし者?

展開に少し迷いが生じたため、少し更新が遅れました。

守護隊駐留所での取調べ(?)が終了し、準身分証明書を手に建物の外に出た俺だったが、30分が経過して未だにギルドを見つけられず、雪が降りしきる中を彷徨っていた。


(マスター、ギルドの場所見つかりませんね~)

(ああ大抵、それらしい看板か何かが設置してあると思うんだが・・・)


宿屋や武器防具屋、道具屋にはソレを象徴する看板が扉の上部に括り付けられていたが、大通りや裏通りなど何処を探してもギルドを指し示す看板が見受けられなかった。


誰かに話を聞ければ一番なのだが気温が低い所為か、せっせと歩き回って話をする余裕がない守備隊以外、誰一人として街の人は外を歩いてはいなかった。

いや、たまたま住民を見つけても声を掛ける前に建物の中に入ってしまうので結局道を聞く事が出来ない有様だ。

それでも諦めずにギルドの建物を探して歩き回っていると、目の前からつい30分前に顔を合わせていたイノフェルが困惑顔で此方に声を掛けてきた。


「ミコト? こんな所で何をしているのだ?」

「ああイノフェルか、ギルドの建物を探しているんだけど見つからなくて」

「ミコト・・・・・・言っては何だが、君は方向音痴なのか? ギルドなら駐留所の真後ろに建っているではないか」


イノフェルに言われ、駐留所の真後ろにある建物に向かうと看板は見当たらないが建物の壁に『1階冒険者ギルド、2階役所』と書かれているのが見受けられた。

「こんなのって・・・・・・あり?」

「分かったか? ああ、そうそうミコトに渡す物があったんだ」


イノフェルはそう言うと服のポケットに手を突っ込み、表面に鳥が翼を広げた姿が描かれている銀色のコインを5枚手渡してきた。


「財布も身分証明書もなくしたと言っていたからな。 返却期限は2ヶ月後だ」

「これは?」

「兵士が君に渡し忘れたと言っていた、5枚の銀貨だ。 知っているとは思うが役所で身分証を取得するのに銀貨1枚が必要になるし、ギルドで仕事を請け負う時にも前金が必要になる。 まぁ言ってみれば、緊急時に貸し与える駐留所からの借金みたいなものだな」


そうなのか、それじゃあ例えギルドを見つけられていたとしても無駄足に終わるところだったんだな


「担当の者が渡し忘れた事に気づいてギルドに行って見れば、まだ来ていないと言うし・・・・・・まさかとは思ったが、案の定道に迷っていたとはな」

「必ず近いうちにお返ししますから。 今はお借りしておきます」

「そのまま返さずに持ち逃げした者は国内外に手配されてしまうからな、注意することだ。 それではな」


彼女は其れだけを言い残し此方に手を振りながら駐留所に入っていった。

そうか銀貨を返却せずに逃亡すると手配書として張り出される事になるという訳か。

俺は渡された銀貨をポケットに入れギルドの入口を潜った。


冒険者ギルドと言うぐらいだから荒れ果てたようなイメージが頭の中にあったのだが、想像に反して内部は掃除が行き届いており、依頼書の張り紙を見ている冒険者もそれらしい雰囲気は見受けられなかった。


早速、身分証明書を取得しようとギルドの空いている窓口に近づくと俺が声を発する前に受付の奥から声を掛けられた。


「いらっしゃいませ。 御依頼でしょうか? 御受託でしょうか?」

「いえ、身分証明証の発行をお願いしたいのですが」

「証明書の発行でしたら、右手にある階段を上がって左の窓口で手続きしてください」

「分かりました。 御丁寧にありがとうございます」

「いえいえ」


俺はギルドの受付を離れ言われたとおりに右手にある階段を上がり左手の窓口に声を掛けた。


「すいませ~~ん」

「あっ、はい!? 少々お待ち下さい」


声が聞えてから数秒後、椅子が倒れる音、コップが割れる音、悲鳴や怒鳴り声といった騒がしい物音が続いた後、窓口に眼鏡をかけた女性が姿を現した。


「お、お待たせいたしました」

「あの~~~何やら盛大な物音が聞えましたが大丈夫ですか?」

「はい、何時もの事ですから・・・・・・ありがとうございます。 それで今日はどの様な御用件でしょうか?」

「身分証明証発行の手続きをお願いします」

「分かりました。 発行の費用として銀貨1枚が必要となりますが宜しいですか? あと手配されている方とそうでない方を判断するために街の守護隊の証明書が必要となりますが、お持ちでしょうか?」


受付の言葉を聞き駐留所でイノフェルに手渡された証明書と銀貨1枚を窓口へと差し出した。


「それでは御確認いたしますね」


そしてそれから数分後。


「ギルド登録歴なし、手配歴なしと・・・・・・確認しました。 再度御名前を確認いたしますが、ミコト様で間違い御座いませんね?」

「はい」

「それでは此れが身分証明書となります。 万が一にも失くされますと再度、守護隊の証明書と銀貨1枚が必要となりますのでご注意下さい」


手渡された身分証明書を手にとって見てみると光沢のあるプラスチックのような手触りのカードに名前と街の名が刻まれていた。


「これで手続きは終了となります。お疲れ様でした」


呆気ないほどに身分証の発行は終了し、序にギルドで登録する事にした。

身分証を片手に階段を降り、最初に間違えた窓口へと足を進めた。


「あ、先程の方ですね。 今度は如何しましたか?」

「身分証を発行した序にギルドにも登録しておこうと思いまして」

「そうなんですか。 では身分証の提示をお願いいたします」

「あ、はい」


発行したての身分証をギルド受付の女性に手渡した。


「確認いたしました。 登録の手続きを始めますが、説明は必要ですか?」

「お願いします」

「分かりました。 では・・・・・・ギルドランクと致しましてS・A・B・C・D・E・Fの7段階があり、最初は皆Fからのスタートとなります。 依頼の受諾は安全上2個上までとさせていただきます。 もし仕事の途中で命を落とされる事があっても当ギルドは関知いたしませんので御了承をお願いいたします」


依頼受諾=自己責任という訳か。


「次に依頼を受諾する際には報酬の1割を手数料としてギルドに支払っていただきます。 依頼が完了すれば、報酬をお支払い致します」

「じゃあ報酬が銅板5枚だと?」

「手数料として銅貨5枚をギルドにお支払い頂く事になりますね」


なるほど銅板とは銅貨10枚相当ということか。


「さらにランクアップの方法と致しまして、此方の指定する依頼を完了する事によってランクが上がります。 ただし一気にFランクからDランクやCランクといった、飛び級のランクアップは原則として出来ませんので、其れだけは御了承下さい。 これにて説明と登録は終了です」


なんとか登録を済ませた俺は早速、掲示板で仕事を探す事にした。



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