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異世界を渡りし者  作者: 山田 隆行
水の精霊編
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第100話 集落での生活

何時もに増して難産でした。


物語の話数が進むにつれて書きにくくなってきました。


これもスランプという物でしょうか?

なんとか光の精霊王であるミラの助力を得て各種族の長老達に自分が神である事を証明したミコトは他の亜人達にも精霊の力がある剣を引き合いに出して亜人の里で生活する事を認められた。

ちなみに長老以外の亜人達にはミコトが神である事は秘密にしてあり、長老達には口を滑らせないようキツく念を押しておいた。


「それではミコト殿、集落を御案内いたします」


そう言って俺を案内してくれるのは蝙蝠のような黒い羽を背中に生やしたアリオトという羽翼族の長老だった。


「私達亜人は極一部を除いて基本的に人間族とは友好関係にあるので危険はありませんが、聖域にだけは無闇に近寄らないで下さい。 一応門番にはミコト殿が神であるという事は伏せて話を通してありますが、彼らは聖域への侵入者を許しませんから御注意下さい」

「分かりました。近寄らなければ良いんですね」

「はい。よろしくお願いいたします」


長老達が集まっていた会議場から歩き続ける事4時間、漸く亜人達の集落に辿りついた。

複数の亜人達が暮らす集落は聖域と呼ばれる泉を取り囲むようにしてドーナツ状に広がっているとのことだった。


長老とともに集落に足を踏み入れた瞬間、人間がこの大陸に居るという物珍しさからか、集落に住む亜人達が一斉に俺の前に姿を現した。

ざっと数えただけでも、その数およそ100以上・・・。

空を見ればバッサバッサという羽根の音とともに会話している白と黒い羽を持つ者、地面には頭部が牛のような亜人や下半身が馬のような亜人、狼や兎のような耳を生やした獣人など数多くの亜人が集合していた。


「知っている者も居るかもしれんが、人間の身でありながら精霊様の加護を受けて結界を潜り抜けてきた者を里に住まわせる事になった。 『人間だから』や『人間のくせに』という偏見を持たずに仲良く暮らして欲しい。以上だ」

「ただいま、長老様に御紹介されました人間のミコトと言います。 慣れない地で混乱しておりますが、何卒宜しくお願いいたします」


挨拶をしながら頭を下げ、姿勢を元に戻した時に此方を凝視している白い羽を持つ女性と目が合った。

何処か出逢ったような気もしたが、とりあえず笑顔で場をしめた。

集まっていた亜人達も俺の紹介が終わると、そそくさと集落の奥へと歩いて行ってしまった。

長老も言うだけ言うと集落のリーダーなのだろうか、黒い羽を持つ青年と話をしはじめた。


「ねぇねぇお兄ちゃん、人間ってホント?」

「ん?」


ズボンの裾が何かに引っ張られているような感覚に気づき下方に眼を遣ると、小刻みに羽根を動かしていた子供達が物珍しそうに此方を見つめていた。


「ねぇってば。 どうなの?」

「あ、ああ、そうだよ。 人間を見るのは初めてかい?」

「うん♪ 僕まだ飛べないから外に出られないんだ」


羽翼族の子供達は其れだけを言うと、ショボンと俯いてしまった。

俺は子供達の頭をそっと撫でながら声を掛けることにした。


「誰だって最初は似たようなものだよ。 人間だって小さい頃は歩けないのと同じで君達亜人も成長すれば飛べるようになるさ」

「うん、そうだね。 よ~し、頑張るぞ」


子供は元気に返事すると頭の上に何の遮蔽物のない広場で背中の羽根を小刻みに動かして空を飛ぶ練習を再開した。


「羽翼族とはいえ、生まれた時から飛べるわけじゃないんだな」


子供達の頑張っている姿を見ていると不意に背中に気配を感じた。


「幼子達を見て和んでいるところ申し訳ないが、ちょっと良いかな?」


声を掛けられ振り返ってみるとザンカールの道具屋で見かけたキイラさんが立っていた。


「ええ、構いませんよ。 えっとキイラさん・・・でしたっけ?」

「確かに私の名はキイラだが、何処かでお会いした事があったかな?」

「いえ、ザンカールの道具屋にてご主人との会話が聞えただけです」

「そうだったのか。 では改めて、私は集落リーダーのキイラだ。 ミコト殿には暫く、私の家で生活してもらう事となったが構わないかね?」

「それは構いませんが、キイラさんの御家族に迷惑が掛かるのでは?」

「大丈夫だ。 家内と子供が一人居るが、どちらも賛成してくれたからな」

「そうですか。それならお世話になります」

「長老の話しによれば暫く滞在するらしいな」

「はい。 初めての人間だという事でお世話になることになりました。よろしくお願いします」

「そんな畏まらなくても良いぞ。 此処に居る間は皆家族だと思ってくれればいい、他の皆にも堅苦しい挨拶など要らないからな?」

「わかりま・・・分かった」

「ああ、それでいい。 なら家に案内する着いてきてくれ」


羽翼族という空を飛ぶ種族という事で鳥の巣のような住居をしているのかと思っていたが予想に反して木と藁を使って作られた藁葺き屋根の家屋が所狭しと並べられていた。


「何か不穏な空気が流れたような気がしたが・・・気のせいか」

(マスター、気がついてますか?)

(ああ、白い羽の女性が後をずっとついてきてるな)

(彼女、何処かで見たような気がするのですが)

(俺も気になったが、敵対心は持ってないみたいだし放って置こう)


ルゥと会話しながら歩いているとキイラさんが立ち止まって此方を見ていた。


「如何した? 何か心配事でもあるのか?」

「うん?ちょっとね、亜人の中に人間が1人だから少し心配で」

「まぁ言いたい事は分かるが、基本的には人間と亜人は友好関係にあるからな心配は要らないと思うが」

「前にとある国に立ち寄ったときに亜人達の大陸を『魔族の住処』と呼んでいたから気になって」

「一部の国の人間は姿形が違うというだけで私達を毛嫌いしているからな」

「実際に会話をしてみれば分かると思うんだけどな。 こんなに良い人達なのに」

「ミコト・・・ありがとう」


そんなこんなで集落の色々な場所を廻り、数時間後にキイラの家に到着した。

危惧していたような事は何一つとして起こらず、反対に大袈裟すぎるほどの歓待の宴が催された。


まぁ祝いの料理と称して数多くの虫料理がテーブルに並べられた時は吃驚した。

好き嫌い『ある』『なし』の問題ではなかったが、口で言い表せない感触と味とだけ言っておこう。


序に言うと広場で最初に声を掛けてきた子供はキイラの子供だった。

同年代の友達が逸早く飛べるようになったことで心配になったんだそうだ。




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