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☀ 神様の言う通り  作者: 雪*苺
5月 【 傘 】
9/24

⭕ わらいもの 9


──*──*──*── 小学校


──*──*──*── 2階・教室


──*──*──*── 帰りの会


男子生徒

「 おい、見ろよ!

  雨が降ってたぞ!

  凄い量の雨だ!! 」


男子生徒

「 は?

  マジかよ!? 」


男子生徒

「 天気予報、はずれてんじゃんかよぉ~~ 」


男子生徒

「 濡れて帰るとか最悪だぁ~~~~!! 」


女子生徒

「 やだぁ~~!

  うち、ともばたらきだから迎えにてもらえないのにぃ~~ 」


女子生徒

「 置きがさしてる男子がたら、女子に貸しなさいよ! 」


男子生徒

「 ふざけんなぁ!

  なんで自分の傘を女子に貸さないといけないんだよ!

  諦めて濡れて帰れよ!! 」


男子生徒

「 そうだ、そうだ! 」


 窓のそとから見えるしゃりを見て、男子生徒達と女子生徒達が言い合いを始めた。

 帰りの会が終わると、[ 教室 ]を出るまえに担任教師が口をひらく。


担任教師

「 そう言えば──、玄関の傘立てに、傘が置かれてたよな。

  はカッパを持っててるから、使わないんじゃないか?

  折り畳みがさも持っててたよな。

  から貸りる手も有るか。

  月曜日に返せば、盗んだ事にもならないしな──。

  気を付けて帰れよ~~ 」


 こうろんしている生徒達へ爆弾を投下して、担任教師はなにわぬ顔で[ 教室 ]から出て行った。

 担任教師の言葉を聞いた生徒達の目付きとかおいろが変わる。

 朝の会や短い休み時間を使って、さん(ざん)馬鹿にして、からかったはるの存在を思い出したのだ。


 雲1つ無い晴天だったのに1人だけ、大人用の傘を持ってて、ながぐつ,カッパ,折り畳みがされたぶくろを持って登校してはる──。

 給食を食べ終わったあと、[ 教室 ]を出て行ったきり戻ってなかったはる──。

 [ 保健室 ]からたキノコンがはるの机,椅子,ランドセル,ロッカーのなかの私物まで持って行ってしまった為、[ 教室 ]にははるの所有物は1つも無い状態だった。


 いやがらせで隠していたはるの私物もキノコンに回収されてしまい、はるとうぶんあいだ、[ 保健室 ]で授業を受ける事になった。

 給食の時間にはるへした事が決定打となったのは疑いようも無い。


梅浦

「 ちくしょう!

  はるればいやおうしにうばえたのに! 」


稻羽

「 おい、下駄箱に急ぐぞ!

  ほかの奴に傘を持って行かれるかも知れない! 」


西口

「 いなち、[ 保健室 ]に行かないのか?

  はるに『 貸してくれ 』って── 」


稻羽

「 アホか!

  [ 保健室 ]に行ってるあいだに取られるだろ!

  月曜日に返せば問題無いってマッキー(担任教師)も言ってたろ! 」


埜村

「 よし、行こう! 」


 はるたいして、積極的にいやがらせをしていたいなうめうら西にしぐちむらところの5人は[ 教室 ]を出る。

 2がい廊下を走り、階段を駆けり、1階廊下を走り[ 下駄箱 ]へちょつこうした。


──*──*──*── 1階・下駄箱


 急いでうわきを脱ぎ、下駄箱の中から靴を取り出し、履き替える。

 うわきを下駄箱の中へれたら傘立てへ移動する。

 傘立てには1本だけ傘が立てられた状態で置かれている。


 長くて立派な傘だ。

 安物ではなく、相応の値段の傘なのだろう。

 持ち手には “ 180cmセンチメートル ” と書かれたシールが貼られている。


「 180って結構デカいよな?

  5人で使ってもじゅうぶんなんじゃないか? 」


埜村

「 5人もはいるかな? 」


稻羽

「 引っ付けば濡れないって! 」


女子生徒

一寸ちょっと男子ぃ~~!

  黙って使うなんてくないわよ! 」


埜村

「 うわっ!

  うっせぇ女子がやがった!

  いなち、早く行こうぜ! 」


 ところが傘立てから傘を取る。

 [ 正面玄関 ]を出ると同時に傘をひらく。

 バッとひらいた傘の中へいなうめうら西にしぐちむらところはいり[ 校庭(運動場) ]へ出た。


女子生徒

いな君,うめうら君,西にしぐち君,むら君,ところ君──!!

  レディーファーストしなさいよっ!! 」


西口

「 男女平等の時代に “ レディーファースト ” なんて死語を使うなぁ!

  そもそも、ガキはレディーにはいらないんだよ、ばぁ~~かぁ! 」


女子生徒

西にしぐちぃ~~!!

  月曜日、覚えてなさいよっ!!

  先生に言い付けて、学級裁判の刑だからね!! 」


 傘をうばわれ濡れて帰らなければならない女子生徒達は、[ 正面玄関 ]で立ちまった状態で、いなうめうら西にしぐちむらところの5人を責め立てる。

 キンキンごえでギャーギャーと騒いでいる女子生徒達を無視し、いなうめうら西にしぐちむらところは[ 正門 ]を出た。






稻羽

「 それにしても、この傘──なん破れてるんだ!! 」


梅浦

「 これじゃあ、傘の意味が無いじゃんかな 」


西口

はるの奴──、まさかわざと破れた傘を持ってたのか? 」


埜村

こうなる(拝借される)って予測してかよ?

  あのはるだぞ、有り得ないだろ~~ 」


「 でもさはるは電波野郎だろ。

  かみさまく言ってるじゃん 」


稻羽

「 馬鹿だな。

  かみさまなんかる訳無いだろ。

  はるには友達がないから、ヤバい発言して関心を惹きたいだけの痛い子ちゃんなんだよ 」


梅浦

「 そうだよな。

  かみさまなんかが仮にたとしてもなにも出来ないよ! 」


西口

「 電波はるの言う事をに受けてたら、電波が移るかもな! 」


埜村

「 破れたボロい傘を持ってやがった事を責めてやらないと!

  はるこそ、学級裁判に掛けてやらないとだぞ 」


ばつとして、月曜日はみずめ刑だな!

  便器の水をはるやらないと! 」


稻羽

「 馬鹿だな。

  パンイチで踊らせるんだよ!

  オレ達が濡れたぶんだけ、恥を掻いてもらわないと駄目だろ 」


梅浦

「 パンイチいな!

  花壇に立ちションさせてやろうぜ!

  花壇をれしてるキノコンに吊しげられるよ!

  パンイチで! 」


西口

「 ぎゃはははは(≧▽≦)!!

  キノコンにパンイチで吊しげられる電波はるやべぇ~~~~ 」


埜村

マッキー(担任教師)にも協力してもらおう!

  日教祖思想のマッキー(担任教師)はるを危険視してるから僕達をようしてくれるよ 」


所 

「 学校保健師ははるの味方だから、バレないように手を回さないと── 」


稻羽

「 なら、はる以外のクラスメイトにだけ、一斉メールで内容を伝えよう。

  マッキー(担任教師)にも連絡して、みんなはるを──── 」


 はなしに夢中になっていたいなうめうら西にしぐちむらところは「 プァップァッーーー 」と鳴るクラクションのおとかない。

 あまおとが激しくて聞こえないのだ。

 大人用の傘は大きくて信号が隠れてしまい、色も見えない。


 信号のいろが赤に変わった事にかぬまま、信号無視をして横断歩道を歩く。

 に派手にスリップをした大型バスが突っ込んでた!!

 スリップした大型バスは横転し、道路を滑りながら横断歩道を歩いていたいなうめうら西にしぐちむらところを巻き込んだ。


 大型バスは “ 回送中 ” だった為、乗客は乗っておらず、怪我をしたのは運転手1人だけで済んだが、横転し滑った大型バスに巻き込まれてしまった5めいの子供達は怪我をしただけでは済まなかった。

 道路には大量の血が流れ出るが、雨により流されて行く。

 いなうめうら西にしぐちむらところは大型バスが突っ込んでた衝撃で遠くに飛ばされていた。


 小さな身体からだが衝撃に耐えられる筈もなく、いなうめうら西にしぐちむらところの5人はすでに絶命していた。

 道路に転がっているスマホ(スマートフォン)の画面には、月曜日の学級裁判ではるを吊しげ、恥をかせる為の詳細な内容が出ており、クラスメイトと担任教師へ一斉メールの送信を完了する通知が届いていた。

 画面には返信メールがぞく(ぞく)と届いているが、返信メールに既読が付く事は無い。











 電柱のてっぺんから地上を眺めている2めいの人物がた。

 見た目は若い少女で、10代くらいだろうか。

 少女達には人間に有る筈の影が無い。


 地上を見ながらクスクスと笑っている少女達は、互いに顔を見合わせて、なにか喋っていた。

 地上では事故現場にひとだかりが出来ており、野次馬達はスマホ(スマートフォン)を片手にパシャパシャと写メを撮ったり、動画を撮ったりしているようだ。

 あの人集り(野次馬)の中に警察や消防署へ連絡をしたこころ有るものるかは不明だ。


???

「 盗ったら取られる──。

  世の中の真理(道理)ねぇ~~。

  かみほとけってきびしいわよねぇ~~。

  そのたましい5つ、ゲット出来たから、再来月のノルマ達成ぇ~~♥️

  来月まで遊んで過ごせるわぁ~~♥️

  死んでくれた5人には感謝しなくちゃね★

  (≧▽≦)きゃはははは♥️ 」


???

「 大型バスをスリップさせて、横転させるなんてあらわざく思い付いたよね~~ 」


???

「 普通に突っ込ませても詰まんないじゃ~~ん!

  こういうのには劇的な “ ドラマ ” が必要なのよ。

  演出,演出ぅ~~ 」


???

「 演出ねぇ~~。

  でもさ、ちょうかったよねぇ。

  5人そろっててぇ~~ 」


???

「 キノコン、さま(さま)よね★

  それにしても小学生で窃盗ざいおかすなんて、ぇガキよね。

  だ9歳でしょ。

  可哀想では有るけど、同情は出来ないわよねぇ 」


???

「 死神に “ 可哀想 ” なんて感情は無いんですけどぉ~~。

  課せられたノルマぶんたましいを回収するのが使命の死神に、同情しんなんか邪魔なだけじゃん。

  新しいいのちを送り出す為には、きてるいのちを終わらせて、現存してるたましいを減らさないといけないんだから!

  死神が使命をサボったりしたら、いのちりんてんとどこおっちゃう。

  いのちかずを減らすのはすうこうなる使命なんだから、誇りを持っておこなわなくちゃ! 」


死神

「 だよねぇ~~。

  任期が明ける迄、死神として与えられた使命をまっとうする事がしょくざいだもんね……。

  自殺していのちを捨てた代償って重いよねぇ…… 」


死神

「 勝手に人生を諦めて、途中できるの放棄して、かみほとけの慈悲で授かったいのちを自分の都合で捨てちゃったんだから仕方無いじゃん。

  人間だった頃は真理なんて知らないできてたし、欠片も興味無かったじゃん。

  任期満了まで頑張れたら、また人間に生まれ変わるんだよ。

  頑張るしかないじゃん 」


死神

「 でもさ、記憶は無くしちゃうんでしょ?

  また自殺しちゃうようあくらつな環境の中にまれちゃったら──って思うとねぇ? 」


死神

「 それは言わない御約束でしょ~~。

  死神はなるときも “ ごころを込めて ” たましいを回収しなくちゃね★ 」


死神

「 それな★ 」


死神 & 死神

「「 きゃはははははは(≧▽≦)♥️♥️♥️ 」」


 2めいの死神は、笑いながら姿を消す。

 人間の誰にも死神(彼女達)の笑いごえは聞こえない。

 事のてんまつしっかりと見届けていたミニマムキノコン以外には────。

◎ 訂正しました。

  出来ないよな! 」─→ 出来ないよ! 」

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