✒ わらいもの 6
僕が思い出した事を先生が丁寧にノートへ書いてくれる。
見惚れちゃうくらいの美文字に溜め息しか出ない。
僕も頑張ったら先生みたいな美文字を書ける様になるのかな??
千晴
「 えと──、この時はクラスメイトと目が合いました。
でも……クラスメイトは逃げる様に走って行ったんです…… 」
学校保健師
「 そのクラスメイトの性別,出席番号,名前,生年月日,年齢,血液型,干支,星座…等は分かるかな? 」
千晴
「 えぇと……、性別,名前,出席番号くらいしか知らないです。
それ程仲良くないですし……。
えと…必要なんですか? 」
学校保健師
「 情報が多ければ選択肢が増えて視野も広がるからね。
神佛は数字や文字や言葉を使い、語呂合わせで教えられる事が多いんだ。
名前の漢字にも意味は有るし、出席番号にも意味は有るよ。
無理して調べる必要は無いから、千晴君の分かる範囲で十分だね 」
千晴
「 そうなんですね。
分かる範囲で思い出します! 」
僕に嫌がらせをして来た生徒達の事を思い出して、先生に伝える。
[ 校庭 ][ 正面玄関 ]下駄箱,廊下で嫌がらせをして来た生徒に関しては、名前や学年が分からなくて性別しか覚えていない。
先生は「 それでも良い 」って言ってくれた。
先生が書いてくれたのを読み返してみると、結構な嫌がらせをされている事が分かった。
[ 教室 ]に入ってから起きた事や授業を挟んだ短い休憩中にされた事、給食の時間にされた事──、思い出すだけで哀しくなっちゃった。
“ 悲しい ” じゃなくて “ 哀しい ” だよ。
これを全部、帰ったら家族に見せて相談しないといけないなんて…………嫌かも知れない。
息子が《 学校 》で嫌がらせを受けていて、一部のクラスメイトから苛められてる事を知ったら、家族はショックを受けるんじゃないのかな?
本当に正直に全部を打ち明けちゃっても良いのかな??
学校保健師
「 クラスメイトが29名も居る中で、主に5名の生徒が神佛に使われているね。
女子は13名も居て、使われている子は1名だけ。
男子は16名も居て、使われているの子達は4名だけ。
これだけの人数が居る中で、この5名が神佛に選ばれたされた事にも意味が有るね。
分かる範囲で少しずつ謎を解明してみよう 」
千晴
「 はい! 」
昼休み時間が終わる頃、キノコンが[ 保健室 ]に戻って来た。
キノコンは手ぶらだ。
僕のランドセルを取りに行ってくれてたんじゃないのかな??
そう思っていたけど、僕の杞憂だった。
キノコンは頭の上の笠部分を開ける── 開けれちゃうんだ?! ──と笠の中から机と椅子と僕のランドセルが出て来た。
僕の引き出しの中に入っていたけど、行方不明になっていた私物も出て来た。
千晴
「 僕の私物だ!
キノコン、これ何処に有ったの? 」
キノコン
「 チョロっと絞めたら隠していた場所から出してくれたエリ。
所詮は低学年のガキんちょエリ。
大した事ないエリ 」
千晴
「 有り難う~~、キノコン!
でも…どうして机と椅子も持って来たの? 」
キノコン
「 一時的な処置エリ。
ずっと[ 保健室 ]通いをする訳ではないエリ。
本格的に[ 保健室 ]通いしたいなら、理事長の許可が必要エリ 」
千晴
「 そうなんだ… 」
キノコン
「 授業はキノコンが教えるエリ。
5時間目は社会,6時間目は国語エリ」
学校保健師
「 校長先生には、ワタシから伝えておくね。
掃除の時間は囲碁でも打とうか 」
千晴
「 掃除しなくて良いの? 」
学校保健師
「 構わないよ。
[ 保健室 ]は常に清潔だからね 」
キノコン
「 棋譜の記録はボクがしますエリ 」
掃除の時間が終わる迄、僕は先生と囲碁を打つ事になった。
部活では生徒達に対して、指導碁を打っているみたい。
僕は元プロ棋士のお祖父ちゃん,お祖母ちゃんと打ってるし、《 碁会所 》に通って常連さん達とも打ってもらってるから、指導碁は打たないみたい。
碁盤と碁笥はキノコンが出してくれた。
「 お願いします 」と挨拶をしてから、僕が先行の黒石を盤上に打つ。
囲碁部の顧問をしている先生に勝てるとは思わないけど、アゲハマを1個くらいは取りたいな!
──*──*──*── 放課後
6時間目の授業が終わって、帰りの準備をしていると雨が降って来た。
かなりの土砂降りで、傘を差しても服や靴がビショビショに濡れてしまう程の凄い雨だった。
「 今日は天気予報が外れましたエリ~~ 」なんて、隣でキノコンが嬉しそうに言う。
キノコンは雨が大好きみたいで、湿気の多い環境も好むみたい。
特に梅雨の時期は茸の生育に適しているみたいで、キノコンも梅雨や雨が大好きなのかも??
窓から[ 校庭 ]を見ていると、土砂降りの中をキノコンが楽しそうに走り回っている姿が見られる。
「 ボクも行って来ますエリ♥️ 」なんて良いながら、ガラッと窓を開けたキノコンは[ 校庭 ]へ走って行った。
まるで水を得た魚みたいに生き生きと走り回っている姿を見て「 可愛いなぁ~~ 」って思っちゃう。
どんなに濡れてもキノコンは風邪を引かないみたいだから羨ましいな。
学校保健師
「 これは酷い雨だね。
千晴君、神佛には見抜き見透しだった様だね。
信じて持って来て正解だったね 」
千晴
「 そうですね……。
まさか雨が降るなんて僕も吃驚してます……。
本当に天候って不安定なんですね…… 」
学校保健師
「 カッパと長靴の出番だね。
折り畳み傘は何の為に必要だったのかな? 」
千晴
「 そう…ですよね……。
大人用の丈夫な傘を借りて来たから必要なさそう…… 」
学校保健師
「 ランドセルが濡れてしまうね。
ランドセルを背負ってからのカッパを着ると前が濡れてしまうから、ランドセルカバーを貸すね 」
千晴
「 良いんですか? 」
学校保健師
「 ジャージと一緒に返してくれたら良いよ 」
千晴
「 有り難う御座います(////)」
僕はジャージの上にカッパを着る。
カッパの上からランドセルを背負うと、先生がランドセルにカバーを掛けてくれた。
脱いだ靴は使用済みのタオルを入れているビニール袋を使う事にした。
汚れていない側のタオルを内側にして、靴を包んでからビニール袋に入れ様と思う。
一応、直ぐに使える様に折り畳み傘もビニール袋の中に入れておく。
忘れ物が無いかも確認したし、僕は[ 保健室 ]を出る事にした。