⭕ わらいもの 4
──*──*──*── 昼休み
──*──*──*── 給食時間
机の中に入っていた僕の私物は見付からないまま、3時間目が終わって昼休みに入った。
今は大好きな給食の時間──。
配膳するのは給食係り担当の5班。
その5班の中には西口君が居る。
クラスメイトは規則正しく一列に並んで順番を待っている。
クラスメイトは1人ずつトレーを取って、空っぽの食器と食具をトレーの上に置いて、前へ進んでいく。
僕の番になったけど、明らかに悪意を感じた。
僕の分だけ明らかに量が少ないから……。
今日の給食は皆が大好きなビーフシチューなのに、僕の食器に注がれたビーフシチューには具が入っていないし、半分しか入れてもらえていない。
何でこんな幼稚な嫌がらせを平気で出来るんだろう。
もう9歳なのにね……。
今から西口君の将来が心配になって来ちゃったよ。
友達選びって、すっごく大事なんだと思う。
誰と仲良くしたら自分に良い影響を与えてくれるのか、良く考えないといけないんだ……。
自分より弱い相手に嫌がらせをして喜んで優越感に浸る様な幼稚で残念な奴を友達に選んじゃ駄目って事だね。
配膳が終わって全員が席に着いたら、日直が「 合掌 」と言う。
全員が一斉に胸の前で両手を合わせる。
日直が「 生産者の皆さんに感謝します。いただきます 」と言った後、全員で「 生産者の皆さん、有り難う御座います。いただきます 」と言う。
担任の先生が「 皆さん、頂きましょう 」と言った後、生徒は給食を始めた。
僕のビーフシチューは具なしだから、パンに付けて食べる事にした。
順番を神佛にお聞きしながら食べる事を幼い頃から叩き込まれているから、僕の癖になっている。
両手が空いてる時は両手を合わせて神佛にお聞きするんだけど、食事中とかは片手でお聞きする事にしている。
何時も給食中に左手の人差し指と小指をピクピクと動かしながら食べているから「 変な奴ぅ~~ 」って思われているかも知れない。
僕は給食のコッペパンが苦手なんだけど──、神佛が教えてくれた通り、付ける量も細かくお聞きした事もあって、食べ切る事が出来た。
ふぅ~~~~。
今日も神佛に教えてもらえた通りの順番で食べたら、残さずに食べ切る事が出来た。
噛む回数もちゃんと神佛にお聞きしながら食べれた自分を褒めてあげたい(////)
最後にデザートのプリンを食べようと手を伸ばしたら、梅浦君が僕より先にプリンを取った。
「 プリンを救出しました、隊長! 」なんて言ってる。
稻羽君と西口君もニヤニヤして笑っている。
楽しみにしていたプリンを奪うなんて悪質ぅ~~!
返してもらわなくちゃ!
僕が椅子から腰を上げようとしたら、稻羽君と西口君が牛乳の入った瓶と、空になったプリンカップを僕の机の上に置いて来た。
空になった僕の牛乳瓶は取られて、大湊さんの机の上に置かれる。
「 牛乳、美味しかったね~~ 」なんて、大湊さんは笑顔で女子達と笑っている。
大湊さんが黒幕って事ぉ??
僕が振った事を根に持ってるのかも知れない。
僕が食べる筈だったプリンは稻羽君の手によって、大湊さんに献上された。
自分のプリンを大湊さんに献上すれば良いのにぃ~~!!
自分の1本分を飲んだ後なのに、他人の牛乳なんて飲みたくないよぉ……。
飲まないといけないのかなぁ……。
僕が溜め息を吐いていたら、机の上に置かれていた牛乳瓶が消えた。
牛乳好きのクラスメイトが飲んでくれるのかと思ったら、頭の上が冷たくなった。
白い液体が頭の上から垂れて来た。
えっ、牛乳っ!?
誰かが僕に牛乳を掛けた!?
何で牛乳を頭から掛けられないと駄目なのぉ?!
???
「 千晴、牛乳くっせぇ~~ 」
???
「 きゃはははは(*≧∀≦*)!!
やだぁ~~、きったなぁ~~~~い! 」
???
「 コイツも被ってろよ! 」
埜村君が何かを持って来ると僕に掛けた。
僕が掛けられたのはチョークの粉だ。
黒板消しを綺麗にするクリーナーの中に溜まっているチョークの粉──。
千晴
「 けほけほっ── 」
埜村
「 あはははっ!
千晴、真っ白じゃ~~ん 」
???
「 ざまぁないな、千晴!
自慢の神様に助けてもらえよ!
『 神様ぁ~~、可哀想な僕を助けてぇ~~ 』ってな! 」
千晴
「 こんな状態じゃ授業を受けれないよぉ…… 」
僕の両目に涙が溜まる。
泣くもんか!
泣いて堪るかぁ!!
僕はランドセルの中に入れていたタオルを出して、牛乳で濡れてしまった机や椅子を拭く。
だって誰も拭いてくれなさそうだもん。
自分で拭くしかないよね。
食具と空になっている食器を乗せているトレーを返した後、僕は[ 教室 ]を出た。
1階に在る[ 保健室 ]へ向かって走る。
[ 保健室 ]は僕の避難場所だから──。
[ 保健室 ]には長身の優しい先生が居てくれる。
囲碁が強くて、学校保健師と囲碁部の顧問を兼任している先生なんだ。
僕が囲碁部に入ろうと思っている理由だったりもする。
◎ 訂正しました。
お聞きながら ─→ お聞きしながら
聞くんだけど、─→ お聞きするんだけど、
聞く事にしている。─→ お聞くする事にしている。