⭕ わらいもの 2
──*──*──*── 通学路
お祖父ちゃんに言われた、右足から出すのか左足から出すのかを神佛にお聞きするの忘れちゃった。
別に良いよね!
どっちの足を先に出して歩いたって、何かが変わる訳じゃないもんね!
帰ってから、お祖父ちゃんに聞かれたら「 ちゃんとお聞いしたよ 」って嘘吐こう~~。
《 家 》に居るお祖父ちゃんに分かる訳ないもんね!
歩く速度は………………お聞きしながら歩こう……。
普通とか早足とか駆け足とかゆっくりとか……そんな感じで良いのかな?
一々お聞きしながら歩くのって面倒くさぁ~~い!
人知で歩いちゃ駄目かな~~??
不満を抱きながら通学路をテクテクと歩いていると、後ろから「 千晴! 」って名前を呼ばれた。
僕の知ってる声だ。
千晴
「 いっちぃ!
おはよう~~ 」
いっちぃ
「 はよっ。
何だよ、千晴。
今日は随分と荷物が多いじゃないか。
給食当番か? 」
千晴
「 違うよぉ。
長靴とカッパと折り畳み傘が入ってるんだ…… 」
いっちぃは近所に住んでる中学生のお兄ちゃんだ。
強面な顔のお兄ちゃんだけど、美人の彼女さんが居たりする。
顔に似合わず優しいお兄ちゃんだ。
いっちぃ
「 傘まで持ってか?
千晴の母さんは相変わらずの過保護っぷりだな 」
千晴
「 ははは…… 」
お母さんは全然過保護じゃなくて、放任主義寄りなんだけど……。
こんな荷物を持ってるのを見られたら、勘違いされちゃうのも仕方無いかも知れないね?
否定しない僕も悪いんだろうけど──。
でもでもでも、小学生の僕と仲良くしてくれてるいっちぃに、「 神佛に持って行くように教えられたんだよ 」なんて言えないよぉ~~。
白い目で見られて、「 ヤベェ子供だったんだな千晴って。エンガチョするから金輪際話し掛けんなよ! 」って言われて軽蔑されたら嫌だもん!!
噂になって御近所さんから村八分みたいな事されても嫌だもぉん!!
千晴
「 お母さんの過保護には困っちゃうよぉ~~。
お祖父ちゃんも過保護だし…… 」
なんて、保身の為に嘘を吐いちゃう僕は悪い子ですか、神佛──。
でもでもでもでも、未来の視える神佛なら、僕の気持ちも解ってくれますよね?!
いっちぃに嘘を吐いちゃったけど、どうか僕を罰しないでくださいね!
いっちぃ
「 重そうだな。
《 小学校 》は通り道だから[ 校門 ]まで持ってやるよ 」
千晴
「 いっちぃ?!
持ってもらって良いの?? 」
いっちぃ
「 中学生の腕力をしかと見たまえ! 」
そう言うと、いっちぃは大人用の傘と手提げ袋を持ってくれる。
まさか、登校中にいっちぃと出逢えて、荷物を持ってもらえるなんて思いもしなかったから嬉しい(////)
千晴
「 いっちぃは何時もこの時間なの? 」
いっちぃ
「 ん?
いや、何時もは朝練が有るからもっと早いんだ。
今日は朝練が急遽中止になったから、久し振りにゆっくり出来たんだ。
顧問がさ、ぎっくり腰になったみたいで── 」
いっちぃはクスクスと笑っている。
いっちぃ
「 顧問は最近、30代になったんだけどさ──、ぎっくり腰になるなんて、全く何してたんだろうなぁ~~? 」
いっちぃはニヤニヤしてるぅ~~。
思い当たる節でも有るのかな?
千晴
「 朝練って顧問の先生が居ないと中止になるの? 」
いっちぃ
「 今は昔と違って、生徒だけで朝練や部活動が出来ない決まりになってるんだ。
時代の流れだろうな 」
千晴
「 そうなんだぁ 」
いっちぃ
「 千晴は未だ3年生だったよな 」
千晴
「 うん、そうだよ 」
いっちぃ
「 なら、部活動は来年からだな。
どんな部活に入りたいんだ?
希望は有るのか? 」
千晴
「 うんとね──、僕は囲碁部に入りたいんだぁ 」
いっちぃ
「 囲碁部ぅ?
小3なのに随分と渋いんだな…… 」
千晴
「 お祖父ちゃん,お祖母ちゃんが《 碁会所 》で囲碁の先生をしてるんだぁ。
僕も一緒に行って囲碁してるよ 」
いっちぃ
「 へぇ?
千晴の爺さんと婆さんは囲碁の先生なのか? 」
千晴
「 うん。
《 碁会所 》の先生をする前はね、プロ棋士だったんだ。
今はプロ棋士を引退してるよ 」
いっちぃ
「 へぇ……。
凄い人が御近所に居たもんだな。
囲碁に興味無いから知らなかった(////)」
千晴
「 仕方無いよ。
僕もお祖父ちゃん,お祖母ちゃんと同居して初めて知ったんだよ。
それにお父さん,お母さんも囲碁に興味無いし…… 」
いっちぃ
「 爺さんと婆さんがプロ棋士だったのにか? 」
千晴
「 うん。
お父さんはサッカー少年だったし、お母さんはテニス少女だったから…… 」
いっちぃ
「 スポーツ少年とスポーツ少女だったんだな。
熱血系かな? 」
千晴
「 お父さんは暑苦しいよ。
囲碁してる僕にサッカーチームに入れたがってるもん。
ボールだけじゃなくて、ユニフォームとかシューズとか買っちゃってさ── 」
いっちぃ
「 はははっ。
来年が大変だな 」
千晴
「 うん……。
あっ今週の土,日にね、《 碁会所 》に囲碁の強い兄ちゃんと姉ちゃんが来てくれるんだよ 」
いっちぃ
「 囲碁の強い兄ちゃん,姉ちゃん?
プロ棋士か? 」
千晴
「 ううん。
プロじゃなくて、アマチュアの人だよ。
でもね、皆『 プロより強いんじゃないか 』って言ってるよ。
僕も打った事が有るんだけど、兄ちゃんってば指導碁しか打てないんだよ。
自分より弱い人には指導碁になっちゃうんだって。
だから、アマチュアの大会が有っても出れないみたい 」
いっちぃ
「 何で出れないんだ?
強いんだろ? 」
千晴
「 大会ではね、指導碁を打っちゃ駄目な決まりが有るんだって。
姉ちゃんは誰に対しても忖度しないで打つよ。
プロ棋士が打ちに来てくれた時なんて、容赦無く負かしちゃったくらいだもん。
態度が大きくて誰に対しても偉そうで、言葉使いも性格も悪いんだよ。
兄ちゃんの双子の妹らしいんだけど、嘘みたいに似てないんだよね 」
いっちぃ
「 マジかよ。
囲碁は強いのにヤバい子なのか…… 」
千晴
「 うん。
相当ヤバいかもぉ~~。
でも楽しいよ 」
いっちぃと話していたら《 小学校 》の[ 校門 ]に着いた。
早いなぁ……。
いっちぃ
「 ほらよ。
久し振りに話せて良かったよ 」
千晴
「 うん、僕もだよ(////)
持ってくれて有り難う! 」
いっちぃ
「 コイツ等の出番が有ると良いな! 」
いっちぃはニカッと笑うと《 中学校 》の[ 校門 ]に向かって歩いて行った。
◎ 訂正しました。
聞くのを ─→ お聞きするの
聞いたよ 」って ─→ お聞いしたよ 」って
聞きながら歩こう……。─→ お聞きしながら歩こう……。
聞きながら歩くのって ─→ お聞きしながら歩くのって
小学校は通り道だから校門まで持ってやるよ 」─→ 《 小学校 》は通り道だから[ 校門 ]まで持ってやるよ 」
全く何して ─→ 全く何して
決まりになってるだ。─→ 決まりになってるんだ。
姉? ─→ 姉ちゃん?
容赦なく負かしちゃった ─→ 容赦無く負かしちゃった