✒ それから 4 / 囲碁教室
僕は《 囲碁教室 》に通い始めた。
お祖父ちゃんと対局した棋譜、お祖母ちゃんと対局した棋譜、お祖父ちゃん,お祖母ちゃんと対局した二面打ちの棋譜を持参して、《 囲碁教室 》の先生に見てもらったんだ。
弓弦先生は僕の事を知ってるみたいだった。
何でかな??
6組に入ると、1ヵ月は初めての[ 教室 ]に慣れる為に6組の院生達と囲碁を打った。
[ 教室 ]に慣れると昇級試験を受けれる資格を得られるみたい。
僕は早速、昇格試験を受ける事にしたんだ。
昇格試験を受けるには条件があって、6組を担当している先生に合格を貰う必要がある。
合格をすると、先生が6組の中から院生を10名選抜する。
昇級試験の合格条件は、同じ[ 教室 ]で切磋琢磨している院生達の10名と対局するらしい。
最低でも8勝するのが条件で、8勝 ~ 10勝すると5組に上がる事が出来るんだ。
10勝は難しいかもだけど、6勝はしたいなぁ。
5組に上がる為、先生が選抜した院生達には負けないぞ!
そんな訳で、6組で “ 強い ” と言われている院生10名と対局をして、僕は見事に昇格試験を受かる事が出来たんだぁ!
嘘みたいだけど、10名中10名に勝っちゃった!
僕は6組から5組に上がって、翌日から5組の[ 教室 ]に通う事になったんだ。
その日の夜、お祖父ちゃん,お祖母ちゃんに昇級試験に合格して5組に上がれた事を報告したら、凄く喜ばれちゃった(////)
元プロ棋士で囲碁の強いお祖父ちゃん,お祖母ちゃんと囲碁を打ってるんだから6組の院生に勝つのは当たり前的な事を、お父さん,お母さんから言われちゃった。
赤飯と大好物のビーフシチューを作ってくれたから、お父さんも本当は喜んでくれてるのかな?
5組の実力は6組とは比べ物にならないくらいだ。
6組はアマチュア6段レベルの院生が集まってる[ 教室 ]だったけど、5組はアマチュア5段 ~ 4段レベルの院生が集まっている[ 教室 ]だった。
かなりレベルが上がっている。
お祖父ちゃん,お祖母ちゃん程じゃないから、一寸だけ物足りなさを感じるけど──、そんな事は誰にも言わない。
だって皆、昇格試験を合格して1組に上がる為に頑張って一生懸命だもん。
だから僕も院生達と一緒に次の昇格試験を目指して地道にコツコツと頑張ってる。
昇格試験を受ける為に、5組を担当している先生に合格を貰えた。
昇格試験で先生から選抜された院生10名と対局をして、僕は10勝しちゃった!
僕は4組に上がる事が出来た!
そんな感じで地道にコツコツと昇格試験を受け続けて、僕は年越前──12月の後半には2組の実力者と言われている10名の院生達と対局をして、10勝しちゃった。
来月の1月からは、1組の[ 教室 ]に通う事になった。
何でかな、チョロかった気がする。
6組から始まった昇格試験を全部10勝する事が出来たのは、神佛に助けてもらえた御蔭かも知れない!
勿論、僕も頑張って努力はした。
勝利ってのは、努力を怠らず、継続し続けてコツコツ頑張った結果だもん。
神佛から必要な事を教えてもらったり、助けてもらったとして、本人自身が本気になって努力をしないと勝利を勝ち取る事は出来ないんだ。
努力しないで怠けていたら、神佛からそっぽされちゃうよ。
必要な事を細かく教えて助けてくれる神佛の信頼を裏切ったら駄目だよね!
そんな訳で、1組の[ 教室 ]に通える事になった夜は、クリスマスが終わっちゃった後も関わらず、お父さんが腕に縒りを掛けて作ってくれた御馳走だった。
張り切り過ぎだよ、お父さん(////)
お母さんなんて奮発しちゃって、僕の為に立派な碁盤と碁笥のセットを買ってくれたよぉ(////)
1組に上がれたら、2組に戻らない様に頑張らないといけない。
今まで以上の努力や勉強をする必要が有るんだ。
2組に戻っちゃったら、お父さん,お母さんはガッカリしちゃうだろうな……。
──*──*──*── 新年
──*──*──*── 囲碁教室
1月になって初めて訪れる事になった《 囲碁教室 》で、厳蒔弓弦先生に出逢った。
厳蒔弓弦先生は何時も和服を着ている。
厳蒔弓弦先生に新年の挨拶をしたら、手招きされちゃった。
1組の[ 教室 ]へ行く予定だったんだけど、厳蒔弓弦先生に着いて行く事にした。
厳蒔弓弦先生の話だと、1組で終わりじゃなくて、1組よりも上の組が有るみたい。
その組の名前は────。
案内された場所は《 囲碁教室 》の1階の奥に有る死角だった。
その死角部分には、横にスライドするドアが在る。
スライド式ドアには[ 0組 ]と書かれたドアプレートが付いている。
0組ぃ??
1組よりレベルの高い[ 教室 ]が何で1階の奥──目立たない死角に有るの??
誰にも知られてないのかな??
厳蒔弓弦先生が、スライド式のドアを開けてくれる。
中に入ると “ 0組 ” は[ 資料室 ]だった。
沢山の棚に書物が綺麗いに並べられている。
久賀瀬千晴
「 わぁ~~~~すごぉい……。
これって全部、囲碁の本ですか? 」
厳蒔弓弦
「 いや、全て棋譜帳だ 」
久賀瀬千晴
「 棋譜帳??
これ全部……ですか?? 」
厳蒔弓弦
「 この0組に保管されている棋譜帳は、キノコンが管理してくれている。
扱う時は丁寧にな。
奥には畳が有る。
其処で囲碁を打つ 」
厳蒔弓弦先生が案内してくれた場所には畳が在る。
《 飲食店 》の座敷みたいに履き物を脱いで上に上がる必要が有るみたい。
上質な畳で艶々している。
碁盤も碁笥も超一流の一級品なんじゃないのかな?
凄い……。
お祖父ちゃん,お祖母ちゃんも高そうな碁盤セットを持ってるけど、それ以上かもぉ~~。
久賀瀬千晴
「 厳蒔先生、0組には何人の生徒が居るんですか? 」
厳蒔弓弦
「 1人だ 」
久賀瀬千晴
「 え?
1人……ですか? 」
厳蒔弓弦
「 あぁ…。
久賀瀬千晴──君が初めての生徒だ 」
久賀瀬千晴
「 えぇっ!?
僕が初めてぇ??
どういう事ですか?? 」
厳蒔弓弦
「 6組 ~ 2組の昇格試験を受けた院生で、全て10勝した院生は君が初めてだ。
君は1組の院生達よりも棋力が高く、間違いなく強い。
そんな君を1組に置いていては、未来の有る芽を摘んでしまう事になる 」
久賀瀬千晴
「 え……僕、1組に入れないんですか? 」
厳蒔弓弦
「 あぁ…。
君には今日から0組に通ってもらう。
私が直々に君と打つ。
キノコンとも打ってもらう 」
久賀瀬千晴
「 えぇっ?!
厳蒔先生と打つんですか??
キノコンも囲碁を打てるんですか? 」
厳蒔弓弦
「 あぁ。
これでも私は多忙でな、《 囲碁教室 》を留守にする事が多い。
キノコンは私より強いぞ。
キノコンと毎日、打っていればプロ試験の合格も余裕だろう。
此処に保管されている棋譜を全て覚える様にな。
これは0組の必須項目だ。
第5日曜日には、棋譜試験を行う。
どの棋譜帳から出題するかはランダムだ。
確り励む様にな 」
久賀瀬千晴
「 えぇ~~~~~~!?
……………………努力……しますぅ…… 」
こ…これは大変な事になっちゃったよぉ~~!!
こんなに有る棋譜帳から棋譜試験の棋譜がランダムで選ばれるなんてぇ──、こんなの未来が分かる神佛に教えてもらわないと無理だよぉ~~~~!!
今まで以上に神佛と同行二人で頑張らないとじゃんかぁ~~!!
厳蒔弓弦
「 今日は初日だ。
私を相手に指導碁を打ってもらおう 」
久賀瀬千晴
「 えっ?
指導碁……ですか?
僕が厳蒔先生に指導碁を打つんですか?? 」
厳蒔弓弦
「 そうだが。
君の実力なら出来る筈だ。
自信を持ち打つ事だ。
キノコン、棋譜の記録を頼めるか 」
キノコン
「 はいエリ。
準備を始めるエリ~~ 」
はぅあ~~(////)
キノコンだぁ~~可愛いよぉ♥️♥️♥️
《 マンモス校 》で働いているキノコンと同じキノコンだぁ~~。
[ 保健室 ]でもキノコンと囲碁した事が有るけど、何時も指導碁を打たれてるんだよね。
指導碁打たれる事は有っても、指導碁を打つ事なんて無いから不安だよぉ~~。
然もだよ、初めて指導碁を打つ相手が、プロ棋士の厳蒔弓弦先生なんて、これって何かの罰ゲームなのぉ~~??




