⭕ それから 3 / 病院
──*──*──*── 病院
──*──*──*── 病室
いっちぃと一緒に碁罫紙に書き写した棋譜を写メして【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 ~ 碁会所 ~ 】に送信した。
久賀瀬千晴
「 これで沢山セロカPが貰えるね! 」
壹禾
「 そうだな。
よし、もっと対局してセロカPを貯めよう! 」
久賀瀬千晴
「 うん! 」
僕はいっちぃと囲碁を打つ。
いっちぃが退院したら、お祖父ちゃん,お祖母ちゃんが管理人をしている《 碁会所 》へ一緒に行く約束をした。
囲碁の強い兄ちゃん,姉ちゃんが来てくれたら、いっちぃの棋力も上がると思うんだよね。
打てればの話になっちゃうけど──。
久し振りに兄ちゃんの “ 8面打ち ” 見たいな~~。
囲碁の強い8人を相手に指導碁で8勝しちゃうんだよね!
いっちぃにも良い刺激になると思う!
姉ちゃんは、打ち方がえげつないから、初心者のいっちぃとは打たせられないけど、勝負には非情さも必要だから、勉強にはなるかも……。
姉ちゃんは手加減も忖度も一切しないし、トラウマを植え付けちゃうから、皆打ちたがらないんだよね……。
壹禾
「 千晴──お前にさ、聞きたい事が有るんだ 」
久賀瀬千晴
「 聞きたい事?
どんな事ぉ? 」
壹禾
「 ………………歩道橋の階段を上がってた千晴を見付けた時──、千晴の周りにさ…………変な髪型をした学ラン姿の学生が居ただろ 」
久賀瀬千晴
「 え?? 」
壹禾
「 なんかさ、“ ヤバい ” って思ったから、慌てて俺も歩道橋の階段を上がって後を追ったんだ。
千晴が階段から足を踏み外した時には、千晴の傍に居た筈の学ランを着た学生の姿は消えていた…………。
千晴の知り合いだったのか?
千晴の背中を押して階段を下りて行ったとも思えないし── 」
久賀瀬千晴
「 ………………変な髪型をした学ランを着た学生──。
それって……モヒカン,アフロ,パーマ,リーゼント,スキンヘッド,金髪だった?? 」
壹禾
「 あ…あぁ──。
確かにそんな髪型だったかもだな…… 」
久賀瀬千晴
「 ……………………いっちぃ…………それって……誰かに話した?? 」
壹禾
「 いや……未だ誰にも話してないぞ。
千晴に初めて話したんだ 」
久賀瀬千晴
「 ………………いっちぃ、その事は誰にも言わないでくれないかな…… 」
壹禾
「 何でだ? 」
久賀瀬千晴
「 あのね…………その人達はね…………幽霊かも知れないんだ…… 」
壹禾
「 は?
幽霊だって?? 」
久賀瀬千晴
「 うん……。
僕ね、1度《 家 》に帰ってから《 コンビニ 》へ戻ったんだ。
その時にね、大型のタンクローリーが《 コンビニ 》に突っ込んでたんだけど──。
[ 駐車場 ]に入って来た警察官に言われたんだけど…………《 コンビニ 》が出来る前は《 空き地 》で──。
20年くらい前に6人の学生が《 空き地 》でヤクザに殺されちゃったみたいなんだ…… 」
壹禾
「 殺された?!
その6人が千晴の傍を歩いてたって事かよ? 」
久賀瀬千晴
「 僕は歩道橋を歩いてた記憶は無いんだ……。
《 家 》に帰るつもりで歩いてたんだよ。
《 コンビニ 》から《 家 》の間には歩道橋なんて無いし…… 」
壹禾
「 確かにそうだな。
坂道は有るけど、歩道橋は別方向だもんな。
じゃあ何か?
《 家 》へ帰るつもりだった千晴は、無意識に《 家 》とは反対方向に歩いていた──って事になるのか? 」
久賀瀬千晴
「 そうなっちゃうのかなぁ……。
また同じ様な事が起きたら怖いかもぉ~~ 」
壹禾
「 千晴……。
任せろ、千晴!
父さんに相談してみるからさ! 」
久賀瀬千晴
「 えと……どういう事ぉ?? 」
壹禾
「 父さんはさ、心霊系やオカルト系が大好きでさ、詳しい人を沢山知ってるんだよ。
顔が利くって言うかさ。
で、その中でも一押しの祓い屋が居るらしいんだ! 」
久賀瀬千晴
「 はらいや?? 」
壹禾
「 あぁ!
何でも、飛び抜けて凄い陰陽師が居るらしいんだよ。
TVにも出てる有名人らしい。
父さんのコネで千晴の事を相談してもらうよ 」
久賀瀬千晴
「 ………………有り難う……いっちぃ(////)
でも良いのかな…… 」
壹禾
「 千晴は何も心配するな!
ゴリ押しして捻り込んでやるから安心しろって!
千晴は俺の師匠だからな。
囲碁に集中が出来る様に不安要素の芽は早目に摘んどかないとだろ 」
久賀瀬千晴
「 いっちぃ~~(////)」
壹禾
「 千晴の家族には内緒にしとこう。
態々心配させる必要も無いと思うし。
これが切っ掛けで囲碁禁止令を出されたりしたら、困るし── 」
久賀瀬千晴
「 お父さん,お母さんなら言いそうかもぉ~~ 」
神佛が〔 いいよ 〕って出された時、「 マジかよ 」って顔してたもん!
都合の良い理由に使われて囲碁禁止令を出されちゃう可能性は有るよ!
内緒にしといても良いよね?
〔 家族に話なさい 〕って教えられても嫌だから、神佛にはお聞きしないでおこうっと!
《 家 》帰ったら、佛壇の前に座って、神佛に「 御免なさい 」しとこう。
神佛は気も長いし慈悲深いから許してくれる筈だよ!!
壹禾
「 千晴、もう一局だ!
次こそは千晴からアゲハマを取るぞ! 」
久賀瀬千晴
「 未々いっちぃにアゲハマは取らせないよ~~ 」
???
「 お兄~~。
元気してるぅ~~? 」
誰かが[ 病室 ]に入って来たみたい。
誰だろう??
「 お兄ちゃん 」って、いっちぃの事かな?
壹禾
「 螺美……。
何だよ、久し振りだな 」
螺美
「 お兄ったら、また囲碁してるのぉ? 」
壹禾
「 当たり前だろ!
俺は院生になって、プロ棋士になるんだからな!
千晴とは “ 初めまして ” だったよな。
俺の囲碁の師匠だ! 」
久賀瀬千晴
「 初めまして……久賀瀬千晴です(////)
9歳で……小学3年生です 」
螺美
「 初めましてぇ!
眞宮乃螺美です。
小学3年生なのに、お兄の師匠なのぉ?
お兄……小学生に教えてもらって院生になれるの?? 」
眞宮乃壹禾
「 なるんだよ!
千晴は強いんだぞ!
千晴の爺さん,婆さんはプロ棋士だったんだ!
今は《 碁会所 》で管理人をしてるらしいけどな!
千晴はプロ棋士だった爺さん,婆さんと毎日、打ってるんだ。
強い相手と打ち放題なんだから、千晴が自然と強くなるのは当然だろ。
だよな、千晴! 」
久賀瀬千晴
「 強いかどうかは分からないよ。
アマチュアの大会にも出た事が無いもん 」
眞宮乃螺美
「 だったら、アマチュア大会に出てみたら? 」
久賀瀬千晴
「 えと……僕は来週から《 囲碁教室 》に通う事になっていて、院生になるからアマチュアの大会には出られないくなるよ。
院生研修ってアマチュアの大会より優先されちゃうみたいだから…… 」
眞宮乃螺美
「 院生って忙しいのぉ? 」
久賀瀬千晴
「 どうかなぁ?
プロ棋士を目指す為の院生だから──、囲碁三昧で囲碁漬けの生活になりそうかも? 」
眞宮乃壹禾
「 螺美、専属執事の雪吾はどうした?
まさか、1人で来てないよな? 」
眞宮乃螺美
「 一緒に来てるよ。
せっちゃんは廊下に立ってるけど── 」
久賀瀬千晴
「 専属執事が居るんだ。
じゃあ、いっちぃにも専属執事が居るの? 」
眞宮乃壹禾
「 俺の場合は専属メイドかな。
俺は跡取りじゃないから、専属執事は付かないんだ。
螺美は女の子だから、誘拐されない為に護衛も兼ねた専属執事が付いてるんだ 」
久賀瀬千晴
「 そうなんだね。
今、物騒だもんね…… 」
眞宮乃螺美
「 囲碁って面白いの? 」
久賀瀬千晴
「 人に寄るかなぁ 」
眞宮乃壹禾
「 螺美、囲碁を知りたいなら、始める前にこの囲碁漫画を読めよ。
囲碁の事が詳しく描かれているんだ 」
いっちぃは囲碁漫画を螺美ちゃんに手渡す。
螺美ちゃんはいっちぃから手渡された囲碁漫画をパラパラと捲りながら読み始めたみたい。
囲碁漫画は間違いなく面白いから囲碁の事を好きになってもらえるかも知れないね。
◎ 訂正しました。
都合の良い理由を使われて ─→ 都合の良い理由に使われて




