✒ 病院 2
──*──*──*── 5階・病棟
──*──*──*── 病室
スライドするドアを開けて中へ入ったら[ 病室 ]は個室だった。
いっちぃの《 家 》は、お金持ちだからかな、個室の[ 病室 ]からランクの高さを感じるぅ~~。
お母さん
「 夕食の時間になったら迎えに来るから、1人で病院内を探検するんじゃないわよ! 」
お母さんにビシッと言われた僕は「 車椅子でそんな事しないよぉ…… 」って言い返した。
いっちぃはケラケラと笑って、元気そう。
お母さんが[ 病室 ]から出て行くと、いっちぃが話し掛けて来た。
壹禾
「 千晴、怪我はしてないか? 」
久賀瀬千晴
「 うん……。
いっちぃが助けてくれたから、掠り傷で済んだみたい。
有り難う、いっちぃ 」
壹禾
「 そっか。
千晴に大事が無くて安心した! 」
いっちぃは晴々とた顔でニカッと嬉しそうに笑う。
久賀瀬千晴
「 何で笑顔でいられるの??
僕の代わりに怪我したんでしょ!
部活の大会に “ 出れなくなった ” って聞いたよ!
僕を助けた所為で、いっちぃは── 」
壹禾
「 そんな言い方するなよ。
歩道橋から落ちる千晴を見捨てれば良かったって言うのか?
見て見ぬ振りをして、通り過ぎれば良かったって? 」
久賀瀬千晴
「 あ…… 」
壹禾
「 歩道橋から落ちるのが、千晴じゃなくても、身体は動いてたよ。
俺もさ小さい頃、知らない誰かに助けてもらった事が有るんだ。
顔も名前も知らないけど、その人の御蔭で俺は生きてるんだ 」
久賀瀬千晴
「 そうだったんだ…… 」
壹禾
「 そんな俺が、目の前で危ない目に遭う子供を無視するなんて出来ない訳だよ。
千晴を助けたのはさ──、俺を助けてくれた人への恩返しでもあるんだ。
その人が何で見ず知らずの子供だった俺を助けてくれたのか、理由は知らないけどさ、俺にとってはヒーローなんだ 」
久賀瀬千晴
「 じゃあ、僕のヒーローはいっちぃだね(////)
僕も困ってる子を見たら、いっちぃみたいに助ける!!
助けてくれたいっちぃに恩返しするよ 」
壹禾
「 ははは(////)
言うなぁ、千晴ぅ~~。
実はな、部活を辞めるつもりでいたんだ。
大会にも出ないつもりでいた 」
久賀瀬千晴
「 そうなの? 」
壹禾
「 あぁ──。
だから、俺が大会に出られなくなった事を気に病まなくて良いんだからな 」
久賀瀬千晴
「 いっちぃ…… 」
壹禾
「 俺さ、今の部活を辞めて、囲碁部に入部しようと思ってるんだ 」
久賀瀬千晴
「 え……囲碁部??
何で囲碁部に入部するの? 」
壹禾
「 これだよ、これぇ!!
月刊囲碁に掲載されていた伝説の囲碁漫画!
これ読んだらさぁ、もう囲碁を始めるしかないだろぉ!! 」
久賀瀬千晴
「 お祖父ちゃんの人生を変えちゃった漫画──。
いっちぃも読んでたの? 」
壹禾
「 まぁな!
クラスに囲碁部の部員が居てさ、聞いてみたんだよ。
俺は囲碁なんて知らないからさ、漫画を読む為だけに部室へ行ってた訳だけど──、DVDも見せてもらったんだけど── 」
それから僕はいっちぃから囲碁部の話を聞く事になった。
どうやらいっちぃは本気で今の部活を辞めて、囲碁部へ入部する気で居るみたい。
囲碁に対する情熱が半端ないよぉ~~。
壹禾
「 ──ふぅ……。
そんな訳でな、俺はどうしても囲碁部に入部したいんだ。
にも関わらず、顧問や部員達が許してくれなくてさ──、困ってたんだよ。
でな今回のコレだよ!
千晴を助けた事で、俺は全治2ヵ月の入院だ。
大会にも出られない状態だぞ。
この絶好の機会を最大限に活かさなくて、どうするよ!!
ピンチがチャンス、まさに今の状態じゃないか!! 」
久賀瀬千晴
「 そ…そうだね…… 」
いっちぃって転んでも唯では起きない人みたい。
逞しいなぁ……。
落ち込んでなくて良かったよぉ(////)
壹禾
「 それでだ。
千晴に頼みが有るんだ 」
久賀瀬千晴
「 頼みって何? 」
壹禾
「 俺が退院する迄、俺と囲碁を打ってほしいんだ。
千晴はプロ棋士だった爺さん,婆さんと打ってるんだよな?
《 碁会所 》にも行ってて、色んな人と打ってるんだろ 」
久賀瀬千晴
「 う…うん……。
筋は良いって言われてるよ。
本格的な囲碁アプリで練習も出来るし…… 」
壹禾
「 囲碁の初心者の俺に、囲碁の基礎といろはを教えてほしいんだ 」
久賀瀬千晴
「 うん、良いよ。
スマホアプリに【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 ~ 碁会所 ~ 】って言うゲームが有って、DRすると遊びながら棋力を上げれるよ。
普通にアプリをDRすると有料だけど、《 セロッタ商会 》の公式HPに入って、セロカ会員の登録をしてから【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 ~ 碁会所 ~ 】の公式HPに入ると、アプリを無料でDRする事が出来るんだ。
本来なら課金して購入するアイテムもセロカ会員ならセロカPを使って、アイテムを購入する事が出来るよ。
セロカ会員の特典で日曜日には必ず100Pもらえるし、棋力が上がる度にBAが貰えるよ。
セロカ会員だと、キャラクターの会話が全部FBで聞けるし、会話にスキップ機能も使えるし、過去の会話を文章で読み返す機能も使えるよ。
読み返しをボイス付きで聞く事も出来て、囲碁を打つ以外の楽しさも有るよ 」
壹禾
「 詳しいな、千晴…… 」
久賀瀬千晴
「 うん!
お祖父ちゃん,お祖母ちゃんから教えてもらったんだよ。
《 碁会所 》に来て囲碁を打ってる皆、【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 ~ 碁会所 ~ 】のプレイヤーだよ。
AGで練習して、《 碁会所 》で実戦してるよ。
《 碁会所 》に支給されてる専用の碁罫紙に記録した棋譜を写メって送信すると、BPで1000Pが貰えちゃうんだ。
1000Pって大きいから、皆《 碁会所 》に来たら積極的に色んな人と対局するんだよ。
棋譜にもランクがあってね── 」
僕は記録する棋譜のランクについて出来る限り、分かり易くいっちぃに話してみた。
いっちぃは身を乗り出して僕の説明を聞いてくれる。
前のめりに興味津々ないっちぃが一寸怖いかもぉ~~。
壹禾
「 今の俺には小難しくて良く分からないが──、棋譜にもピンからキリまで有る訳だな 」
久賀瀬千晴
「 そうだね。
初心者の棋譜と上級者の棋譜は違うから……。
いっちぃと僕が[ 病室 ]で打った棋譜を《 碁会所 》に支給されてる専用の碁罫紙に棋譜を書き写して、写メって送信してもBPが貰えるよ。
セロカ会員になれるのは中学生からだから、いっちぃなら直ぐにセロカ会員の登録が出来るよ。
セロカ会員だと全国に在る《 碁会所 》へ簡単にフレンド登録が出来るし、【 碁会所検索 】すると現在地から近い《 碁会所 》を教えてくれて、丁寧に案内してくれるナビ機能を無料で使えるよ 」
壹禾
「 中学生からセロカ会員の登録が出来るんだな。
よし、早速してみるか!
会員登録の出来ない千晴は有料アプリ版をDRしてるのか? 」
久賀瀬千晴
「 僕は小学生だから、家族登録してもらってるよ。
お祖父ちゃん,お祖母ちゃん,お父さん,お母さんもセロカ会員だから、子供は家族登録してもらえるよ。
家族共有カードを発行して貰えて、その中にセロカPが貯まってくれるんだ。
中学生になったら、家族共有カードを僕の個人カードに変更してもらえるよ。
囲碁をしている小学生は皆、僕みたいに家族登録してて、家族共有カードを発行してもらえてるよ 」
壹禾
「 そうなんだな 」
久賀瀬千晴
「 セロカPは1000Pずつ現金でキャッシュバックも出来るから、院生を目指してる子達はセロカPを貯めてたりするよ。
院生にもタダではなれないから、ある程度の金額を確保する為にセロカPを活用する方法も有るんだ。
だから子供の時から《 碁会所 》へ足を運んで色んな人と対局して、棋譜を写メって送信しては、セロカPを貯めてるよ。
家族共有カードには現金チャージ機能は付いてないし、支払いにも使えないから買い物をしてセロカPを増やす事も出来ないんだよ。
だから、沢山囲碁をして、棋力を上げながらセロカPを地道にコツコツと貯めてるんだよ 」
壹禾
「 そうか、院生か──。
そうだよな、どうせ囲碁をするなら院生を目指して、プロ棋士にならないとな!!
先ずは院生か!
よし、千晴、2人で院生になろう! 」
久賀瀬千晴
「 え゛っ!?
僕も院生になるのぉ~~? 」
壹禾
「 当たり前だろ!
弟子が院生になるのに、師匠が院生にならなくてどうすんだ!
弟子の俺が院生を目指すんだから、師匠の千晴も院生になるんだよ!
2人で院生になって、プロ棋士を目指そうぜ!! 」
久賀瀬千晴
「 いっちぃ…………プロ棋士って、一般人が思ってる以上に結構ハードな生活だよ。
肉体的にも精神的にもヤバいんだよ。
趣味で囲碁を楽しむくらいが丁度良いと思うんだけど…… 」
壹禾
「 千晴っ!
今から弱気になるな!
千晴は俺より囲碁歴の長い先輩じゃないか。
俺より先に院生になって、弟子の俺を鍛えてくれ! 」
久賀瀬千晴
「 えぇ~~~~。
僕が院生……。
[ 病室 ]に戻ったら相談してみるよぉ……。
《 碁会所 》にフレンド登録したら、院生になる為の手順とか見れるから参考にしたら良いよ…… 」
壹禾
「 おぅ!
有り難な、千晴! 」
いっちぃは嬉しそうに笑う。
僕も院生にならないといけない流れになっちゃったよぉ~~。
お母さんは放任主義だから好きにさせてくれそうだけど、僕にサッカーをさせたいお父さんは反対しそうだなぁ……。
何か、えらい事になっちゃったぁ~~~~。
神佛は此処まで分かってて、10回も[ だめ ]って教えられたのかなぁ……。
どうしたら良いんだろう~~~~。




