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魔王の弾丸  作者: eXi
第二章 冒険の書 三部 専守防衛
33/39

一話 故郷

俺は気がつけば荒廃しきった砂漠……

文字通り、土しかない大地を踏みしめた少年だった。










自衛隊。日本の国民であれば誰もが知る組織に俺は属していた。

第一空挺団やレンジャー部隊など、様々な部隊を転々としたが

紛れもなくどこも地獄かという程の訓練をこなしてきた自負があった。


優秀な部隊は立ったままの睡眠を許可されたり

パラシュートが開かずにそのまま雪原に着地して任務をこなす化け物や

上官がヤクザを訓練と称して部下たちにボコボコにする実演を行ったなどと

話を聞けたりと中々に愉快な一面もあったが……。


間違いなくその時は俺は「地獄」を乗り越えた兵士だと思っていた。




その後、俺はイラク派兵のメンバーとして選定され

現地で治安維持のための活動に邁進していた。


そこでは各国の軍隊が揃っており、そこには同盟国である米軍はもちろん

仮想敵国とされるような奴らも派兵されてきており

そこにいる奴らは結局のところ人間なんだなと思わされる日常を送っていた。


そんなある日のことだった。


あるイラク人の男性がトラブルが起こったといい

私はその対応のために、彼に付いていくことになった。

このようなことは日常茶飯事であり、私はそのイラク人の男性に

ついていくと、何故かあまり人気のない場所に連れて行かれた。


その瞬間である、なんとも間抜けな話で後頭部を強打されて俺は気絶した。


イラク人との交友は盛んであったため、日数も経っていたためか

俺は油断していたのだと思う……。


気がついたときには俺は朦朧とした意識でよくわからない暗い部屋の中で

ロウソクだけの付いた部屋に怪しい文様が記載された暗い部屋に

マスクを被されて両手両足をロープで縛られて拘束されていた。


そしてあまりに強烈な眠気のようなぼんやりとした間隔。

おそらくだが何らかの薬を打たれている可能性が頭をよぎる。


俺は不運にも現地語が苦手であり、日常会話にもついていけないことが

多々あるほど苦手としていたが、朦朧とする頭の中で

彼らが何を言おうとしていたのかを理解しようと努めた。


結果は何を言っているかわかからないってことだったが

状況からしてわかったのは俺は何らかの儀式の生贄か何かに

捧げられるようであった。


まるで目を見開いたかのような目玉のような文様が

様々なところに書かれており、そしてそれは

何らかの血液を使用されているようであった。

そのまさしく血なまぐさい匂いがそれを教えてくれている。

俺はそれが人間のものでないことを俺は祈るばかりであった。


ただ俺が日本人であったことからだろうか。

儀式の是非について「彼ら」は口論している様子が少しだけ頭に浮かんでいる。

各国毎に方針の違いはあれど、どの国もそれなりに

イラクのために尽くしていたとは思う。

だが日本人に対しては特別にイラクの人たちは

好感を抱いているという話は同僚から聞いてはいた。


しかし俺は結局また腕を掴まれると

また何らかの薬剤が入った注射器を腕にあてがわれ

朦朧とした意識のせいで俺はそれを振り払うことすら叶わず

意識を失うのであった。










俺は死んだのか?

しばらくした後に薄っすらと意識が回復し始めていた。


我思う、ゆえに我ありという有名な言葉がその時俺の中には浮かんでいた。

考えられてるのだから死んではいないのだろう。

そう、前向きに考えていた。


数多の厳しい訓練を経て俺は極限状態でも精神を保つ精神力を持っていた。

だがその精神力を持っても、その現実はあまりに理解を超えていたのである。








そんな俺の前には土煙しかない、雑草一本生えてもいない

土と岩だけで出来た大地に立ち尽くしていた。


そしてすぐに自分の体の異変に気がついた。

俺は俺ではなくなっていた……。

みすぼらしい衣服を身にまとったその体は

鍛え抜かれた肉体は元より、背格好からして

元の肉体ではない誰かのものに精神が入れ替わったとしか言いようがなかった。





その後、俺は大地を数十キロほど歩き回っただろうか。

三日近く、ほぼ飲まず食わずで歩き通した。

精神的には自衛隊時代にも似たような経験をしたが

それは鍛え抜かれた肉体の上で行われたことである。


わずかに生えてる雑草すら水分の摂取のために抜き取って口にして歩いた。

それでもこの幼い肉体にはあまりにも過酷だった。


俺は最後に意識を失うかのように倒れたところに

やせ細った大人が現れて、辛うじて死にかけていたところを救われたのである。






幸い孤児院というものがこの「世界」にも存在したようだ。




何故この「世界」などという言い回しをするかといえば

ここの連中は全員ではないが「魔法」という怪しげな物を使用し

文明は著しく衰退していた……いやそもそもこの世界は

そこまで文明が進化していない。


その事実を受け入れるのに俺は一日近くを要した。


それが早いのか遅いのかはわからない。

ただそう結論付けて次に行動に移さなければ俺は死ぬかもしれない。

「ここ」はそう思わせられるだけの世界だった。


孤児院などといえば聞こえはいいが、雨水をしのげるだけで

一日一食の固くて香りもしない乾パンのような

ガチガチのパンが支給されるだけの施設だった。


それでも俺は自衛隊時代に鍛えられた精神力でその状況を耐え忍んだ。




話は長くなるが、この世界での「生活」は

先に言っておくと「地獄」のレベルの最高新記録があるとすれば

この世界は間違いなく俺が経験してきた自衛隊での経験を超えている。



孤児院という名の牢屋一歩手前みたいな施設はその食糧難から

名前も知らない子が気がつけばいなくなってることはザラだった。

孤児院といっても大人二人ばかりが営んでいる。

そのうちの一人が地面をスコップで掘っている場面を何度もみたことがある。

大抵はその日一人、いつもいた名も知らぬ子が居なくなったときだ。




何故名前を知らないのか。

それは皆名前がないからだ。

名前が付く前に親が死んだり、捨てられたり、理由は様々だ。


実際俺にも名前はなかった。




そんなやばい環境の孤児院にも稀に豪勢なシチューが振る舞われることがあった。

当然皆の顔は明るい。

何故このようなことがあるかといえば、孤児院をでて傭兵として

戦場で活躍して稼ぎを得るようになった子がわずかながらに存在したからだ。




特に熱心に孤児院の面倒を見てくれた弓兵の男が居た。

名をロビンといった。


彼は魔法の才能に恵まれては居なかったが、弓を射るのが得意だった。

矢に魔法を込め、撃った矢は狙った敵を確実に仕留めることができた。

それで戦争に参加して稼ぎを得ていたのである。


俺はこの地獄から這い出るために彼に話を聞いた。

彼は真っ先に俺に言った。

「お前、まず魔法は使えるか?」

そんなそっけない問いかけに俺は答える。

「そもそも魔法がどんなものかわからない」と。


「じゃあ掌を水をすくうように出して」


言われたように俺は指示に従う。


「なんでもいい、水でも火でも、なんなら食い物でもいい。

 イメージしてそれを作り出すイメージをしてみろ」


火をイメージした俺の掌に一瞬だけ火がついたがそれは1秒も立たずに霧散した。

俺はそれをみて落胆したがロビンは言った。

「お前、魔法の才能あるよ。ただ火の適性は低いみたいだ。

 たぶんお前、いま魔法を使ったときに頭の中にイメージがなにか

 湧いたはずだ、それがお前の特別な魔法になるはずだが

 もし忘れてしまってたり、ピンとこないようなら

 何度でも試してみるしかないな」


そう言われ、俺は水や雷等様々なものを試すがどれも

ほとんど瞬時に霧散してしまうばかりだった。


そんな俺の様子を見て彼は言う。


「まぁそんなこともある、魔法は後天的に成長させられるから

 あとは練習に励むことだ。俺から言えるのはそのぐらいだ。

 せいぜいがんばりな」












そんなアドバイスをくれた彼が次に個人院に戻ってきた時。

あの気さくな彼はすっかり青ざめて呼吸もしてない「遺体」であった。


利き腕が亡くなっていた。

おそらく得意の弓をやられたのだろう。


最後に孤児院を出た時に彼は「俺」の事を話していたらしい。

ひょっとしたらもう一人の稼ぎ頭が出来るかもしれない。

だからもっと頑張らないとならないと彼は張り切っていた……。


そう彼は言っていたらしい。


そう、きっと彼は張り切りすぎたのだ。

戦場では多くの人間が死ぬため、詳細はわからないが

彼の仲間曰くは、彼はいつもより「些か」慎重さを欠いており

弓もろとも魔法の矢を逆に打ち込まれてそれが致命傷になった。

それが彼を連れてきた男たちが語ったロビンの最後であった。


皆が祈りを捧げ、俺も祈りを捧げていたが俺の中には

どす黒い怒りにもにた青白い炎が体の中を巡っていた。


彼は今までの貢献を考慮して特別に墓石を建ててもらっていた。

墓石と言ってもそこら辺の大きな石を拾ってきて

そこに彼の名前、ロビンと記載されただけのものである。


皆がただ祈るだけの寂しげな葬式が終わると

俺は一人で皆に目立たない森の中に入っていって

ロビンの仇討ちのために必要なものは「アレ」しかないと

手にそれをイメージすると、それは血反吐を吐くほど構え、練習した

アサルトライフルが瞬時に生成され手に握りしめられていた。


それは恐ろしいほどに手に馴染みんだ。

これが俺が生涯を共にすることになるあまりにも歪な魔法の形だった。

言うまでもなく現実ではなくフィクションです……。

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